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銀行員の副業はどこまでOK?就業規則・金商法166条(インサイダー)・守秘義務の線引きと、投資から距離を取る副業の選び方2026

キャリア・横断
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銀行員の副業は、公務員のような法律上の許可制ではありません。線を引いているのは就業規則です。ただし銀行員には、他の会社員にはない「法律の線」が2本あります。金融商品取引法166条のインサイダー取引規制と、銀行業の守秘義務です。副業が「株の情報発信」「投資助言」「知人の資産相談」に寄りやすい職業だけに、この2本を知らずに始めると、就業規則の処分では済まない領域に入ります。この記事は、就業規則・金商法166条・守秘義務・労働基準法38条(労働時間の通算)の4本で、銀行員の副業の線引きを整理します。


結論:銀行員の副業の線は「就業規則」+「インサイダー」+「守秘」

根拠 中身
①就業規則 各行の就業規則・兼業規程 禁止・許可制・届出制のいずれか。銀行は伝統的に禁止が多かったが、届出制・許可制に変える行が増えている。本務への支障・信用・競業・利益相反に当たれば懲戒
②インサイダー取引規制 金融商品取引法166条 会社関係者(取引先の上場会社の重要事実を職務で知った者を含む)は、重要事実の公表前にその会社の株式等を売買してはならない。副業の発信・助言にも波及する
③守秘義務 就業規則・銀行の守秘義務(判例上の義務)・個人情報保護法 顧客の預金・融資・取引情報は在職中も退職後も漏らしてはならない
④労働時間の通算 労働基準法38条1項 雇われて働く副業は本業と労働時間が通算される

「できるか」を決めるのは①、「刑事責任になるか」を決めるのは②③、「続けられるか」が④です。銀行員の副業で最も重いのは②で、副業の内容が投資に近づくほど線に近づきます。


線①:就業規則——「禁止」と書いてあっても、確認すべきは3点

銀行は金融機関としての信用を重視するため、兼業を原則禁止とする就業規則が多く残っています。一方で、届出制・許可制に切り替えた行も増えています。まず就業規則の兼業条項がどの形か、次に次の3点を確認してください。

  1. 利益相反の有無:副業先が取引先・融資先・競合金融機関でないか。銀行は利益相反管理を法令で求められているため、ここが最も厳しく見られる
  2. 信用:銀行員の肩書を使った副業(投資セミナー、保険・不動産の紹介など)は、本人に悪意がなくても「銀行が勧めている」と誤認させるため止められる
  3. 本務への支障:勤務時間外・休日に限れるか

「禁止」と書いてある場合でも、勤務時間外の私生活への制約は限定的に解釈されるのが一般的な考え方です。ただし銀行は①②③が重なりやすい業種なので、「規定を無視して始める」ではなく「届出・許可の形に載せる」のが現実的です。


線②:インサイダー取引規制——副業が「投資」に近づくほど危ない

金融商品取引法166条は、会社関係者(役員・従業員のほか、契約の締結・交渉・履行に関して重要事実を知った取引先の者を含む)が、上場会社等の業務等に関する重要事実を職務に関して知った場合、その重要事実の公表前にその会社の株式等を売買してはならない、と定めています。銀行員は融資・審査・法人営業の職務を通じて、取引先企業の未公表の重要事実(業績の大幅な変動、合併、増資、不祥事など)を知る立場です。

副業との関係で効く場面は次のとおりです。

  • 自分の投資:副業以前に、職務で知った重要事実をもとに売買すればインサイダー取引。銀行員は自社株・取引先株の売買について社内ルール(事前届出・取引制限)があるのが通常
  • 投資情報の発信(ブログ・SNS・有料コミュニティ):重要事実を他人に伝えて売買させる行為も規制の対象(情報伝達・取引推奨の規制)。「ここだけの話」を書いた時点で線を越える
  • 投資助言の副業:そもそも投資助言・代理業は金商法の登録が必要な業務。無登録で有料の助言をすれば金商法違反

つまり銀行員の副業は、投資そのもの・投資情報の発信・投資助言の3つが構造的に危険域です。一般的な金融知識(制度の解説、家計の考え方)の発信と、個別銘柄・未公表情報の発信は、まったく別の扱いになります。


線③:守秘義務——顧客情報は退職後も使えない

銀行には、判例上も確立した顧客情報の守秘義務があり、就業規則・個人情報保護法でも裏づけられています。副業で危ないのは、悪意の漏洩ではなく「事例」として書くことです。

  • ブログ・執筆で、顧客が特定できる情報(業種+地域+規模+時期+取引内容の組み合わせ)を出す
  • 「うちの支店では〜」と内部の運用や特定の融資判断を書く
  • 家計相談・起業相談の副業で、本業の顧客情報を使って答える

金融の経験を書く・話すときは、個別事例ではなく一般化した知識として扱い、勤務先・顧客を特定させないことが最低ラインです。


線④:労働時間の通算——雇われる副業は重い

労働基準法38条1項により、事業場が違っても労働時間は通算されます。銀行員が休日に別の会社で雇われて働くと、通算して法定時間を超える部分が時間外労働の扱いになり、副業先の割増賃金・上限規制・本業側の安全配慮が絡みます。銀行員の副業が執筆・講師・業務委託に寄るのは、①②③に加えてこの通算の構造があるからです。


仕分け表|銀行員の副業を4本の線で見る

副業 ①就業規則 ②インサイダー ③守秘 ④通算 見立て
金融・家計の一般知識の執筆・監修(制度解説、ライフプラン) 届出・許可で通りやすい 個別銘柄・未公表情報に触れなければ対象外 事例を書かない 対象外 ◎ 最も線の内側
FP・簿記などの資格講師 同上 対象外 勤務先を出さない 雇用形態による
個別銘柄の情報発信・有料コミュニティ 信用で止まりやすい 情報伝達・取引推奨の規制に触れうる 対象外 ✕ 銀行員が最も避けるべき型
有料の投資助言 止まる 無登録の投資助言は金商法違反
保険・不動産・金融商品の紹介で報酬を得る 利益相反・信用で止まりやすい 顧客を相手にしない 対象外 ✕ 銀行員の肩書と結びつくと「銀行の勧誘」に見える
金融と無関係の執筆・デザイン・翻訳(業務委託) 届出・許可で通りやすい 対象外 対象外
自分の資産運用(株式・投信・NISA) 社内の売買ルール(事前届出・制限銘柄)に従う 職務で知った重要事実を使わない 対象外 ○ 副業ではないが社内ルールが厳しい
小規模な不動産賃貸 届出・許可。融資先物件は利益相反 対象外 ○ 自行で融資を受ける形は避ける

「金融の知識を生かす副業」と「投資の副業」の境目|3つの対比

テーマ 線の内側(一般化した知識) 線の外側(個別・未公表・助言)
NISA・iDeCo 制度の仕組み、税制、口座の選び方を解説する 「この銘柄を買え」と個別に勧める(投資助言)
融資・住宅ローン 審査の一般的な考え方、金利タイプの違い、返済計画の立て方 「うちの支店ではこの属性なら通る」と内部基準を書く(守秘)
企業分析 決算書の読み方、公開情報の見方を教える 取引先の未公表の業績・再編に触れる(インサイダー)

銀行員の知識は副業の強みになりますが、「公開されている情報を一般化して伝える」形に限ることが線です。個別・未公表・助言の3つに寄った瞬間、就業規則ではなく法律の問題になります。


処分・トラブルになる形|4つの典型

  1. 無届の副業:①の違反。住民税の額の差で発覚することが多い
  2. 投資情報の発信で未公表情報に触れた:②の違反。就業規則の処分では済まず、課徴金・刑事罰の領域
  3. 顧客が特定できる発信・相談:③の違反。信用失墜として重い
  4. 取引先・融資先での副業、自行融資での不動産投資:利益相反。銀行が最も厳しく見る類型

線の内側で始めるなら|銀行員向けの順番

  1. 就業規則の兼業条項と、有価証券の売買ルールを読む。人事(コンプライアンス部門)に一言入れる
  2. 「投資」から距離のある型を選ぶ。制度解説・家計・ライフプランの執筆、資格講師、金融と無関係のスキルの受託
  3. 個別銘柄・未公表情報・顧客事例を書かない設計にする。経験は「一般化した金融知識」として書く
  4. 肩書を売りにしない。資格(FP等)は書き、銀行名は書かない

執筆・監修の案件は、クラウドソーシングに「FP監修」「金融ライター」の募集があります。相場と条件を眺めるだけなら届出も費用も要らないので、ランサーズのようなプラットフォームに登録しておくと、届出・許可申請の「内容・報酬」欄を具体的に書けます(受注した時点で届出・許可の対象になるので、受けるのは手続き後に)。[PR]


税金|副業の所得は自分で申告する

届出・許可を取って報酬を受け取り始めたら、申告は自分でやることになります。副業の所得は、勤め先の年末調整では処理されません。所得税の確定申告が必要かどうかは金額によります(給与以外の所得が年20万円を超えれば必要)が、住民税の申告は原則として必要です。どちらの場合も、1年分の収入と経費を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


よくある質問

Q1. 銀行員が匿名で投資ブログを書くのは?

匿名でも、職務で知った未公表の重要事実に触れればインサイダー規制(情報伝達)の問題になり、収益化すれば就業規則の副業規定の対象です。一般的な制度解説に限る設計なら線の内側に入れますが、銀行員の場合は届出・許可で記録を残すのが安全です。

Q2. FP資格を生かした家計相談の副業は?

一般的なライフプラン相談は投資助言に当たらないのが通常ですが、個別の金融商品の売買を勧めれば投資助言・金融商品仲介の領域に入ります。相談の範囲を「制度・家計」に限り、商品の推奨をしないこと、本業の顧客を受けないことが条件です。

Q3. 退職後も制限は残る?

就業規則の線はなくなりますが、在職中に知った顧客情報・未公表情報を使うことは退職後もできません(守秘義務・インサイダー規制は退職後1年間は会社関係者でなくなった後も適用されます)。

Q4. 副業がバレる経路は?

最も多いのは住民税です。副業の所得があると住民税の額が給与だけのときと合わず、給与担当が気づきます。銀行は人事・コンプライアンスの管理が厳しいので、普通徴収で隠す発想は通用しません。

Q5. 信用金庫・信用組合・証券会社も同じ?

就業規則の線は各社で異なりますが、インサイダー規制と守秘義務は金融機関共通です。証券会社は自社の売買ルールがさらに厳しいのが通常です。


まとめ|「投資から距離を取る」のが銀行員の副業の線

銀行員の副業は、就業規則で「できるか」が決まり、金商法166条と守秘義務が「刑事責任になるか」を決めます。副業の内容が投資に近づくほど線に近づくので、線の内側は制度・家計の一般知識の執筆や講師、金融と無関係のスキルの受託。届出・許可で記録を残し、個別銘柄・未公表情報・顧客事例を書かず、銀行名を売りにしない——この設計なら、銀行員でも副業は進められます。


参考にしている主な一次情報:金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第166条/労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、兼業の運用は各金融機関の就業規則・内規によります。実際に動く前に、所属の人事・コンプライアンス部門にご確認ください。

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