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公務員の退職後の副業・起業・再就職に制限はある?地公法38条の2「退職後2年間の古巣への働きかけ禁止」と退職前にできる準備2026

キャリア・横断
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公務員を退職すれば副業は自由——これは正しいのですが、「退職後に何も残らない」わけではありません。地方公務員法38条の2は、退職して営利企業等に就いた元職員が退職後2年間、古巣に働きかけることを禁じています。そして34条の秘密を守る義務は退職後も続きます。この記事は、公務員(市役所・県庁・警察・消防・教員など地方公務員)が退職した後の副業・起業・再就職について、「自由になること」「残る制限」「退職前にできる準備」を条文から整理します。自衛官は自衛隊法に独自の規定があるので自衛官の退職後の副業・再就職規制に分けてあります。


結論:退職後の副業・起業は自由。残るのは「2年間の古巣営業の禁止」と「秘密」

時期 規制 根拠 中身
在職中 副業は許可制 地方公務員法38条 任命権者の許可なく、営利企業の役員・自営・報酬を得て事業や事務に従事してはならない
在職中 再就職のあっせん・求職の規制 地方公務員法38条の2以下(自治体の条例・規則で具体化) 職員が利害関係のある企業等に対して他の職員の再就職を依頼すること、在職中に利害関係企業等へ求職することを規制する仕組みが置かれている(自治体により規定の有無・範囲が異なる)
退職後2年間 再就職者による依頼等の規制 地方公務員法38条の2第1項 退職して営利企業等の地位に就いた元職員は、離職前5年間に在職していた執行機関の組織等の職員に対し、その自治体とその企業等との契約・処分に関する事務で離職前5年間の職務に属するものについて、離職後2年間、職務上の行為をするよう・しないよう要求・依頼してはならない
退職後ずっと 秘密を守る義務 地方公務員法34条 職務上知り得た秘密は、退職後も漏らしてはならない
退職後 副業・起業・掛け持ちの制限 なし。38条は職員でなくなった時点で外れる

つまり、退職後に個人事業を始める・会社を作る・複数の仕事を掛け持ちすることは自由です。縛られるのは「古巣に営業をかける」ことと「在職中に知った秘密を使う」ことの2つです。


条文で確認する|38条の2は何を禁じているか

38条の2第1項は長い条文ですが、要素に分けると次の4点です。

  1. 誰が:退職して営利企業等(営利企業、および国・自治体等を除く法人)の地位に就いている元職員(「再就職者」)。自分で設立した会社の役員も「営利企業等の地位」に当たる
  2. 誰に対して:離職前5年間に在職していた執行機関の組織等の職員(役職員)やこれに類する者
  3. 何について:自治体とその企業等との契約(売買・貸借・請負など)や処分に関する事務(「契約等事務」)で、離職前5年間の職務に属するもの
  4. いつまで離職後2年間、職務上の行為をするよう・しないよう要求・依頼してはならない

要するに、「自分がいた部署に、自分の再就職先(自分の会社を含む)の契約や許認可の話を持ち込む」ことを2年間禁じています。元職員が古巣とまったく無関係の仕事をする分には、この条文は関係ありません。なお、違反行為の調査・公表・罰則の仕組みは38条の3以下と各自治体の条例に置かれています。


「退職後の副業」に置き換えて読む|自由なもの・残るもの

退職後にやりたいこと 規制 見立て
執筆・講師・コンサル(古巣と無関係) なし ◎ 在職中は許可が要ったものが自由に
個人事業・会社の設立 なし(38条の2は「古巣への働きかけ」だけを縛る)
複数の仕事の掛け持ち なし(雇われる仕事同士は労働時間の通算が残る)
自治体と取引のある企業に再就職 38条の2(退職後2年の働きかけ禁止) ○ 再就職自体は可。2年間は古巣の契約・許認可に関わる営業をしない
自分の事業で古巣の部署に営業する 38条の2 △ 離職後2年・離職前5年の組織・契約等事務に関わるものは不可
在職中に知った住民情報・内部情報を使う 34条 ✕ 退職後も禁止
「元○○市職員」と名乗って集客する 法律上の禁止はない ○ ただし34条(秘密)と信用の面で、内部の話を売りにしない

退職前にできること|「許可がいらない範囲」で退職後の土台を作る

退職後は自由でも、退職してから動き始めると収入の空白が生まれます。在職中に許可なしでできる準備は次のとおりです。

  1. 学習と作品づくり:報酬が発生しない活動は38条の対象外。退職後に売るためのポートフォリオ(文章・資格・教材)を在職中に作る
  2. 資産運用:事業でも事務でもない。退職金の運用設計も在職中に
  3. 案件の相場を知る:クラウドソーシングに登録して募集を眺めるだけなら報酬は発生しない。ランサーズのようなプラットフォームで、自分の経験(行政手続、広報、教育、防災、会計など)がどんな案件に結びつくかを把握しておく(在職中に受注すると38条の許可の対象になるので、受けるのは退職後か許可後に)[PR]
  4. 許可を取って単発の講演・執筆を始める:退職後の顧客・実績づくりとして最も効く。許可の通し方は公務員の兼業許可申請の書き方
  5. 取引先への個人的な就職活動はしない:自治体によっては在職中の求職を規制する条例・規則がある。再就職の相談は人事の正規ルートで

退職までの逆算カレンダー|「何年前に何をするか」

退職までの時期 やること 規制との関係
3〜5年前 退職後に売る技能を決め、学習と作品づくりを始める(報酬なし)。資産運用の設計 報酬がなければ38条の外。求職規制にも当たらない
2〜3年前 許可を取って単発の講演・執筆を始める。人事に退職後の希望(再就職か独立か、併用か)を伝える 38条の許可ルート
1年前 再就職するなら人事の正規ルートで。取引先への個人的な就職活動はしない。副業の顧客・実績を整理する 在職中の求職規制(自治体の条例・規則)を意識する時期
退職直後〜2年 副業・事業を本格展開。再就職先が自治体と取引があるなら古巣への営業は避ける。確定申告の体制を作る 38条の2(退職後2年の働きかけ規制)
退職2年後〜 38条の2の期間が明ける。事業の拡大・掛け持ちの最適化 秘密を守る義務(34条)は引き続き残る

ポイントは、「報酬が出ない準備」は何年前からでもできること、そして「古巣との契約に関わる営業」だけは退職後2年間しないことの2つです。退職後の収入の柱を「在職中に作った作品・実績」と「古巣と無関係の顧客」に置いておくと、再就職規制の影響を受けずに済みます。


規制に触れた場合に何が起きるか

38条の2の違反については、自治体(人事委員会等)による調査・公表の仕組みと、条例に基づく過料などの制裁が置かれています(38条の3以下・各自治体の条例)。在職中の職員が要求・依頼を受けて職務上の行為をすれば、その職員も懲戒の対象です。「退職したから関係ない」とはならず、再就職先の企業にも影響が及ぶのが再就職規制の特徴です。古巣との契約に関わる話だけは、動く前に人事担当に手順を確認してください。


退職後の最初の1年|収入の形と税金

退職後の収入は「再就職先の給与+副業の報酬」「年金+事業所得」のように混ざります。

  • 給与+副業(雑所得・事業所得):給与以外の所得が年20万円を超えれば所得税の確定申告。20万円以下でも住民税の申告は必要
  • 複数の給与:年末調整されない側の給与収入と他の所得の合計が20万円を超えれば確定申告
  • 事業を始めた場合:開業届・青色申告の選択で控除が変わる。退職した年は退職所得の扱い(退職所得の受給に関する申告書を出していれば通常は申告不要)も確認

退職後の所得は、どこも年末調整をしてくれません。1年分の収入と経費を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


職種別の補足|警察官・消防士・教員

  • 警察官:退職後に警備業・探偵業へ進む人が多い職種です。これらは許認可業種ですが、元警察官であること自体は欠格事由ではありません。在職中の処分歴は身元確認で影響することがあります。古巣(警察本部・署)との契約に関わる営業は38条の2の対象
  • 消防士:防災コンサル・防火設備関連の仕事に進む場合、自治体との契約に関わる営業は2年間の規制対象。予備自衛官・消防団員を兼ねる形の副業は別記事参照
  • 教員:退職後の塾・家庭教師・教材執筆は自由。ただし在職中の生徒・学校の情報は34条で退職後も出せない。教特法17条の承認を取っていた兼業は、退職後はそのまま継続できる

在職中の線引きは警察官の副業はバレる?消防士の副業完全ガイド教員の副業はどこまでOK?をどうぞ。


よくある質問

Q1. 退職してすぐ、自治体の入札に参加する会社に入ってもいい?

再就職自体は可能です。ただし退職後2年間は、離職前5年間に在職した部署の職員に対して、その契約に関する働きかけをすることが38条の2で禁じられます。営業担当ではない職務に就くなど、社内で役割を分ける設計が必要です。

Q2. 自分で会社を作って、元の職場の事業を受注したい

自分の会社の役員も「営利企業等の地位」です。離職前5年間に在職した部署の契約等事務について、退職後2年間は職員への働きかけができません。2年経過後も、自治体の調達は公的な手続きで行われるので、個人的な働きかけは避けるのが基本です。

Q3. 退職後に「元職員」として内部の話を本に書くのは?

職務上知り得た秘密(個人情報、非公開の内部情報)は34条で退職後も出せません。公開情報と一般化した経験に限る必要があります。

Q4. 国家公務員も同じ?

国家公務員法106条の2以下に同じ構造の再就職規制(在職中の求職の規制、退職後2年間の働きかけ規制、再就職の届出など)があります。地方公務員法38条の2はこれに倣って設けられたものです。

Q5. 定年前に早期退職して副業で独立する場合の注意は?

退職後の副業・起業は自由ですが、在職中の準備は許可が要らない範囲(学習・作品・資産運用・相場の把握)に留め、報酬が出る活動は許可を取ってから。取引先への個人的な就職活動は避けてください。


まとめ|退職後は自由。縛られるのは「2年間の古巣営業」と「秘密」だけ

公務員の副業は在職中は許可制、退職後は自由です。地方公務員法が退職後に残しているのは、38条の2の「退職後2年間、離職前5年の部署への契約等に関する働きかけの禁止」と、34条の「秘密を守る義務」の2つ。在職中は許可不要の範囲で土台を作り、許可を取って単発の実績を積み、退職後に本格展開する——この順番が、規制に触れずに退職後の収入を作る現実的な線です。全体像は公務員の副業ガイドをどうぞ。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条・第38条・第38条の2/国家公務員法(昭和22年法律第120号)第106条の2〜第106条の4(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、再就職規制の具体的な範囲(役職員の範囲、届出の要否など)は各自治体の条例・人事委員会規則によります。実際に動く前に、所属の人事担当にご確認ください。

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