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公務員のYouTube・ブログは副業になる?無収益・収益化・事業化の3段階で変わる許可の線と、職場・住民・政治を出さないルール2026

キャリア・横断
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「公務員がYouTubeやブログをやるのは副業になるのか」——答えは収益が出るかどうかで変わります。報酬が出なければ地方公務員法38条(国家公務員は国家公務員法103条・104条)の対象外、収益が出れば許可の対象。そして収益の有無にかかわらず、職務・職場・住民の情報を出した時点で別の規律(信用失墜行為の禁止・秘密を守る義務・職務専念義務・政治的行為の制限)に触れます。この記事は、発信の3段階(無収益→収益化→事業化)ごとに公務員の線を引きます。副業全体の線引きは公務員の副業ガイド、教員の発信は教員のYouTube・ブログは副業になる?に分けてあります。


結論:発信は3段階で線が変わる。公務員は「政治的行為」の線が1本多い

段階 兼業規制(地公法38条/国公法103・104条) 常にかかる規律
①無収益の発信(趣味・専門知識の共有) 対象外(報酬がない) 信用失墜(33条)・秘密(34条)・職務専念(35条)・政治的行為の制限(36条)
②収益化(広告収入・投げ銭・アフィリエイト) 許可の対象(報酬を得て事業・事務に従事) 同上+営利活動としての審査(利害・支障・信用)
③事業化(有料講座・商品販売・企業案件の常態化) 「自ら営利企業を営む」に近づく。最も厳しい 同上

教員と違うのは、政治的行為の制限(地公法36条)が発信に直接効くことです。選挙・政党・政治的目的に関わる発信は、無収益でも制限の対象になります。


段階①:無収益の発信——許可は要らないが、4つの規律はかかる

  • 信用失墜行為の禁止(33条):職の信用を傷つける内容(住民・同僚への侮辱、差別的表現、職場への誹謗)は無収益でも処分の対象
  • 秘密を守る義務(34条):職務上知り得た秘密(住民の個人情報、内部の検討状況、入札・契約の情報、未公表の施策)は出せない。退職後も同様
  • 職務専念義務(35条):勤務時間中の撮影・編集・投稿は違反。公用PC・庁舎の設備を使うのも問題
  • 政治的行為の制限(36条):政党・政治的団体の結成への関与、特定の候補者・政党を支持または反対する目的での投稿・署名運動・寄付の勧誘などは制限される。匿名でも同じ

実務上いちばん多い事故は、「職場のあるある」を発信することです。窓口対応の愚痴、住民の話、内部の運用は、固有名詞がなくても34条・33条に触れます。職務に関する一般知識(制度の解説、手続きの使い方)は内側、職場で見聞きした個別の話は外側、が線です。


段階②:収益化——「報酬」が出た瞬間に許可の対象

広告収入、投げ銭、アフィリエイト、企業案件——どれも「報酬を得て事業若しくは事務に従事」に当たります。地方公務員は任命権者の許可、国家公務員は所轄庁の長等の承認(国公法104条)が必要です。

許可が出やすい設計・出にくい設計

出やすい 出にくい
職務と無関係の趣味・専門(料理、ランニング、資格の学習法など)、または制度の一般解説 職場・住民・同僚の話題が中心
匿名または本名でも所属を出さない 自治体名・部署・肩書を前面に出して集客する
勤務時間外・休日に制作、私物の機材 勤務時間中の撮影、公用PC・庁舎の使用
収益の規模が小さく、営業活動を伴わない 企業案件・商品販売・会員制で事業性が高い
取引先・許認可の相手が視聴者(顧客)にならない 職務で関わる業者・住民を相手にした有料コンテンツ

許可の基準は人事委員会規則などで定められ、職務との利害関係・職務への支障・信用の3点で審査されます。発信の副業で審査側がいちばん気にするのは「信用」で、所属を出さない設計が許可の通りやすさを大きく左右します。許可申請の書き方は公務員の兼業許可申請の書き方・提出の流れを参照してください。


収益化の申請に書くこと|発信ならではの記載項目

許可申請の様式は自治体・省庁ごとに違いますが、発信の副業で審査側が見るのは次の項目です。申請書の「内容」欄にこの順で書くと、審査が通りやすくなります。

項目 書き方の例 何を確認させるか
媒体と内容 YouTubeチャンネル「○○」。ランニング初心者向けの練習法を解説。職務・職場・住民・政治に関する内容は扱わない 職務と無関係か/職務情報を含まないか
収益の形と見込み 広告収入のみ。月○円程度の見込み。企業案件・商品販売は行わない 事業性の大きさ(営利企業を営むに当たらないか)
制作の時間と場所 休日・勤務時間外に自宅で制作。公用PC・庁舎の設備は使用しない 職務専念義務・公物使用
名前・所属の扱い ハンドルネームで運営。自治体名・部署・肩書は出さない 信用・利害関係者の視聴の有無
利害関係の有無 職務で関わる業者・団体からの案件・広告は受けない 利害関係

国家公務員の場合の違い

国家公務員は国家公務員法103条(営利企業の役員・自営の制限)と104条(報酬を得て他の事業・事務に従事する場合の承認)が根拠で、承認の権限は所轄庁の長等にあります。人事院規則で自営の目安(不動産の規模など)や承認の基準が定められており、発信の収益化は104条の承認の対象です。地方公務員と構造は同じで、「報酬が出るか」「職務と利害があるか」「信用を損なわないか」で見られます。


段階③:事業化——「営利企業を営む」に近づく

有料講座、商品・教材の継続販売、会員制コミュニティ、企業案件の常態化は、「報酬を得て事務に従事」を超えて「自ら営利企業を営む」に近づきます。38条で最も厳しく見られる類型で、許可は出にくくなります。事業化を目指すなら、在職中は段階②までに留め、退職後に事業化する設計が現実的です。


発信の内容別|何が線の内側で、何が外側か

内容 無収益 収益化 注意点
趣味(料理・旅行・ゲーム・スポーツ) ◎ 自由 ○ 許可で通りやすい 所属を出さない。勤務時間外
資格の学習法・試験対策(職務と無関係) 公務員試験の対策は「職務の情報」に触れないよう注意
制度の一般解説(税・年金・子育て支援など) ○ 公開情報の範囲で ○ 許可の対象。利害(担当業務と重なるか)を審査 担当部署の未公表情報・個別事案は不可
「公務員の日常・あるある」 △ 33条・34条に触れやすい △ 信用で止まりやすい 愚痴・内部の運用・住民の話は外側
政治・選挙・政策への賛否 ✕ 36条の制限 匿名でも制限の対象
職務で得た情報を使う発信 ✕ 34条 退職後も不可

処分になる形|公務員の発信で繰り返される5つ

  1. 無許可で収益化を続けていた:38条違反。住民税の額の差や、視聴者からの通報で発覚する
  2. 住民・内部情報が特定できる内容を出した:34条・33条。無収益でも処分の対象で、報道に発展しやすい
  3. 勤務時間中に投稿した:35条。公用PCの履歴や投稿時刻から立証されやすい
  4. 政治的な発信をした:36条。匿名でも特定される
  5. 職務で関わる業者・住民に有料コンテンツを売った:利害関係+信用失墜。最も重い

無収益の発信が処分になるのは②③④の型で、収益化が処分になるのは①⑤の型です。「収益化していないから大丈夫」と「許可を取ったから何を出してもいい」はどちらも誤りです。処分の標準例(無許可兼業=減給または戒告、自主申出で軽く)は公務員が副業バレで処分された事例と回避策にまとめています。


線の内側で発信するなら|公務員向けの順番

  1. 無収益で始め、内容を「職務と無関係の趣味・専門」か「制度の一般解説」に限る。職場・住民・同僚・政治を出さない
  2. 収益化の前に相談する。人事担当に、内容・規模・時間・所属の扱いを伝えて許可の見込みを聞く
  3. 許可を取ったら、内容・規模・時間を申請の範囲内に保つ。企業案件や商品販売を足すなら再申請
  4. 事業化は在職中にしない。退職後の設計にする

発信と並行して執筆の実績を作りたいなら、クラウドソーシングに「制度解説のライター」「専門家監修」の募集があります。相場と条件を眺めるだけなら許可も費用も要らないので、ランサーズのようなプラットフォームに登録しておくと、申請書の「内容・報酬」欄を具体的に書けます(受注した時点で許可の対象になるので、受けるのは手続き後に)。[PR]


税金|広告収入は「雑所得」、20万円ルールと住民税

広告収入・投げ銭・アフィリエイトは通常「雑所得」です。給与以外の所得(収入−経費)が年20万円を超えれば所得税の確定申告が必要で、20万円以下でも住民税の申告は必要です。機材・通信費・書籍は経費として按分できます。副業の所得は、勤め先の年末調整では処理されません。1年分の収入と経費を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]

公務員の副業と税金の関係は公務員の副業はいくらまで?20万円ルールと住民税の関係で整理しています。


よくある質問

Q1. 匿名なら収益化しても許可はいらない?

匿名でも報酬が出れば兼業規制の対象です。匿名は「バレにくい」だけで、許可の要否には関係ありません。

Q2. 政治の話を一切しなければ、時事ニュースの解説はいい?

制度や公開情報の一般解説は内側ですが、特定の政党・候補者・政治的目的への支持・反対と受け取られる内容は36条の制限に触れます。選挙期間は特に注意が必要です。

Q3. 収益化の許可が下りなかったら?

収益化をやめて無収益の発信に戻すか、内容・形を変えて再申請します。不許可のまま収益化を続けるのは、無許可より重く見られます。

Q4. 所属を出してはいけない?

法律上の禁止ではありませんが、信用・利害の審査で不利になり、住民・業者からの通報リスクも上がります。「元公務員」と名乗れるのは退職後です。

Q5. アフィリエイトのリンクを貼るだけでも副業?

成果報酬が発生する仕組みを置いた時点で「報酬を得て事務に従事」に当たりうるため、収益化と同じ扱いで考えてください。実際に報酬が発生する前に相談するのが安全です。

Q6. 自治体の公式チャンネルや広報に出るのは?

職務として命じられたものは副業ではありません。外部の団体から報酬を受けて出演・執筆する場合は許可の対象です。

Q7. 退職後ならチャンネルを事業化できる?

兼業規制はなくなりますが、34条の秘密を守る義務は退職後も残ります。在職中に知った内部情報・住民の情報は退職後も出せません。


まとめ|「収益化の前に相談」「職場・住民・政治を出さない」で線が引ける

公務員の発信は、無収益なら許可不要、収益化すれば許可の対象、事業化すれば最も厳しい——この3段階で線が変わります。そして段階に関係なく、職務・職場・住民の情報と政治的な内容を出した時点で信用失墜・秘密・職務専念・政治的行為の規律に触れます。内容を職務と無関係の趣味か制度の一般解説に限り、所属を出さず、収益化の前に相談し、事業化は在職中にしない。この設計なら、公務員でも発信は続けられます。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条・第33条〜第36条・第38条/国家公務員法(昭和22年法律第120号)第103条・第104条(いずれもe-Gov法令検索)/人事院「懲戒処分の指針について」/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、許可の基準は任命権者(自治体・省庁)ごとに異なります。実際に動く前に、所属の人事担当にご確認ください。

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