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大学職員・大学教員の副業はどこまでOK?国立・公立は非公務員=法人の兼業規程、公務員型だけ地公法38条、教員は利益相反(COI)も2026

キャリア・横断
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大学で働く人の副業ルールは、「国立・公立・私立」と「教員・事務職員」の組み合わせで根拠が変わります。国立大学法人と多くの公立大学法人の職員は公務員ではないので、地方公務員法38条の許可制はかかりません。線を引いているのは各法人の兼業規程・就業規則です。ただし、公立大学法人のうち特定地方独立行政法人(公務員型)の職員は地方公務員として扱われ、38条がかかります。この記事は、この身分の違いと、大学教員に特有の利益相反(COI)管理、全員にかかる労働基準法38条(労働時間の通算)を軸に、大学職員・教員の副業の線引きを整理します。


結論:まず「自分の法人が公務員型かどうか」を確認する

勤務先 身分 副業の根拠 中身
国立大学法人 非公務員(法人職員) 法人の兼業規程・就業規則 教員は兼業を前提にした許可・届出制が整備されている法人が多い。事務職員も規程に従う
公立大学法人(一般地方独立行政法人) 非公務員 法人の兼業規程・就業規則 国立とほぼ同じ構造
公立大学法人(特定地方独立行政法人)・法人化していない公立大学 地方公務員 地方公務員法38条 任命権者の許可制。違反は29条の懲戒
私立大学(学校法人) 民間の労働者 就業規則 届出制・許可制・禁止のいずれか

そのうえで、大学教員には研究・産学連携の利益相反(COI)管理が兼業とは別枠でかかり、雇われて働く副業をする人全員に労働時間の通算(労基法38条)がかかります。


線①:身分——「大学=公務員」でも「大学=民間」でもない

国立大学は2004年に国立大学法人になり、職員は国家公務員ではなくなりました。公立大学も法人化が進み、多くは一般地方独立行政法人(非公務員型)です。地方公務員法3条は「特定地方独立行政法人」の職員を地方公務員に含めていますが、公立大学法人で公務員型を選んでいるところは少数です。つまり大学職員の大多数は、公務員の副業ルールではなく、法人の規程で動きます。

ただし法人の兼業規程は、国家公務員・地方公務員の兼業ルールを下敷きに作られていることが多く、「利害関係がないこと」「職務に支障がないこと」「信用を損なわないこと」の3点で審査される構造は同じです。違いは「許可を出すのが任命権者か法人か」「処分の根拠が法律か規程か」です。


線②:教員と事務職員で、規程の作りが違う

大学教員

教員は、他大学の非常勤講師、学会・学術団体の役員、企業との共同研究・技術指導、講演・執筆など、兼業が職務の延長として想定されている職種です。多くの法人で、教育研究に関する兼業は届出または簡易な許可、営利企業の役員や技術指導は事前許可、という二段構えになっています。通りやすいのは「教育研究に関する」「勤務時間外または職務専念義務の免除の手続きを踏む」「報酬が社会通念上相当」の3条件がそろうものです。

事務職員

事務職員は一般の会社員に近い扱いで、法人の就業規則の兼業条項(届出制・許可制・禁止)に従います。公務員型の法人なら38条の許可制です。教員向けの「兼業を前提にした規程」がそのまま事務職員に適用されるわけではないので、自分の職種に適用される条項を確認してください。


線③:利益相反(COI)——大学教員に特有の「もう1本の手続き」

大学教員が企業から報酬・株式・顧問料を受ける場合、兼業の許可とは別に、利益相反管理の申告が必要です。研究費の配分、学生の指導、研究成果の公表が企業の利益に引きずられていないかを大学が管理するためで、科研費や産学連携のルールとも連動しています。兼業の手続きだけ済ませてCOIの申告を忘れると、研究倫理の問題として扱われ、兼業の違反より重く見られることがあります。

  • 企業からの年間報酬が一定額を超える場合の申告
  • 企業の株式・新株予約権の保有
  • 自分が役員を務める企業との共同研究・物品購入
  • 学生・研究員を自分の企業の業務に関与させること

副業との関係で言えば、「自分の研究に関係する企業から報酬を得る副業」は、兼業とCOIの二重の手続きだと考えてください。


線④:労働時間の通算——雇われる副業は重い

労働基準法38条1項により、事業場が違っても労働時間は通算されます。他大学の非常勤講師(雇用)を複数掛け持ちすると、通算して法定時間を超える部分が時間外労働の扱いになります。講演・執筆・技術指導の業務委託は通算の対象外です。裁量労働制の教員でも、通算の考え方は他の事業場との関係で残ります。


仕分け表|大学職員・教員の副業を見る

副業 教員(非公務員型) 事務職員 COI 通算 見立て
他大学の非常勤講師 届出・簡易許可で通りやすい 規程による 通常なし 雇用なら通算 ◎ 教員の兼業の典型
講演・執筆・監修 届出で済むことが多い 届出・許可 企業からなら申告 対象外
企業の技術顧問・共同研究の報酬 事前許可 申告必須 対象外 ○ 二重の手続き
企業の役員(大学発ベンチャー含む) 事前許可。役員兼業の特例規程がある法人も 許可が出にくい 申告必須 △ 規程の特例を確認
オンライン講座・教材の販売 継続的なら「営利事業」として許可の対象 同上 研究成果の扱いに注意 対象外 ○ 大学の知財規程も確認
大学と無関係の受託(ライティング・デザイン等) 届出・許可で通りやすい 同上 なし 対象外
資産運用・小規模な不動産賃貸 通常は対象外 通常は対象外(公務員型は規模の目安を確認) 保有株は申告対象の場合あり 対象外

兼業申請の実務|教員が最初に引っかかる3つのポイント

1. 「勤務時間内」か「勤務時間外」か

裁量労働制の教員でも、兼業規程は「勤務時間内に行う兼業」と「勤務時間外の兼業」を分けて扱うのが通常です。勤務時間内に行う場合は、職務専念義務の免除(職専免)の手続きを同時に取る必要があり、報酬との関係で給与の減額や寄付の扱いが絡むことがあります。最初から勤務時間外に限定して申請すると、手続きが一段軽くなります。

2. 「教育研究に関する兼業」に当たるか

他大学の講義、学会の役員、公的機関の委員、教育研究に関する講演・執筆は「教育研究に関する兼業」として届出または簡易な許可で済む法人が多い一方、営利企業の役員・顧問、技術指導、営利事業の経営は事前許可の対象です。同じ「企業から報酬」でも、共同研究に基づく技術指導は産学連携の枠組みに乗せられることがあり、どの枠で申請するかで手続きが変わります。研究推進・産学連携の部署に先に聞くと早いです。

3. 年間の報酬額・日数の上限

法人によっては、兼業の年間日数や報酬額に目安(上限)を置いています。複数の兼業を積み上げると上限に触れることがあるので、年度初めに「今年の兼業の見込み」を一覧にして申請すると、途中で追加申請する手間が減ります。


処分・トラブルになる形|4つの典型

  1. 無届の兼業:規程違反。住民税の額の差で発覚することが多い
  2. COIの未申告:研究倫理の問題。研究費の停止・論文の訂正・公表に発展することがある
  3. 学生・研究員を自分の副業に使う:教育・研究上の地位の利用。最も重く見られる類型
  4. 大学の設備・知財・名称を副業に使う:知財規程・名称使用規程の違反

線の内側で始めるなら|大学職員・教員向けの順番

  1. 自分の法人が公務員型か非公務員型か、職種に適用される規程はどれかを確認する。人事(教員は研究推進・産学連携の部署も)に一言入れる
  2. 教育研究に関する兼業から入る。届出・簡易許可で通りやすく、実績にもなる
  3. 企業報酬は兼業+COIの二重で手続きする。額の多寡にかかわらず申告
  4. 学生・設備・大学名を副業に使わない。肩書は「所属」ではなく「専門」で書く

執筆・監修の案件は、クラウドソーシングに「専門家監修」「研究者ライター」の募集があります。相場と条件を眺めるだけなら届出も費用も要らないので、ランサーズのようなプラットフォームに登録しておくと、届出・許可申請の「内容・報酬」欄を具体的に書けます(受注した時点で届出・許可の対象になるので、受けるのは手続き後に)。[PR]


税金|非常勤講師は「給与」、講演・執筆は「報酬」

他大学の非常勤講師は雇用なので「給与」です。本業と合わせて2か所給与になり、年末調整されない側の給与収入と他の所得の合計が20万円を超えれば所得税の確定申告が必要です。講演・執筆・技術指導は「報酬」で、源泉徴収されたうえで雑所得(規模によっては事業所得)になります。複数の非常勤と業務委託が混ざる教員は、ほぼ確実に確定申告が必要です。

副業の所得は、勤め先の年末調整では処理されません。1年分の収入と経費(学会費、書籍、交通費など)を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


よくある質問

Q1. 国立大学の職員は公務員?

2004年の法人化以降、国立大学法人の職員は国家公務員ではありません。副業の根拠は法人の兼業規程・就業規則です。ただし規程の中身は公務員のルールを下敷きにしているので、審査の観点は似ています。

Q2. 非常勤講師(本業が別にある)が他大学でも教えるのは?

本業側の兼業ルールに従います。会社員なら就業規則、公務員なら任命権者の許可。大学側は非常勤の掛け持ちを前提にしているのが通常です。

Q3. 大学発ベンチャーの役員になれる?

多くの国立大学法人に役員兼業の特例規程があり、許可のうえで可能です。COIの申告と、学生の関与・設備の使用に関するルールが別途かかります。

Q4. 研究成果を使った有料講座やコンサルは?

兼業の許可に加えて、大学の知的財産規程(職務発明・成果の帰属)とCOIの確認が必要です。「自分の研究だから自由」とはなりません。

Q5. 事務職員が他大学の入試監督や採点のアルバイトをするのは?

報酬が出るので兼業です。非公務員型なら就業規則の届出・許可、公務員型なら38条の許可。雇用なら労働時間は本業と通算されます。大学間の協定で相互に認めている場合もあるので、人事に確認してください。

Q6. 副業がバレる経路は?

最も多いのは住民税です。副業の所得があると住民税の額が給与だけのときと合わず、給与担当が気づきます。教員の場合は、COIの定期申告や外部資金の監査で兼業が出てくることもあります。


まとめ|「法人の規程」と「COI」の2本で整理する

大学職員・教員の副業は、大多数が公務員ではないので法人の兼業規程が線です(公務員型の法人だけ地方公務員法38条)。教員は教育研究に関する兼業が通りやすい一方、企業からの報酬は兼業と利益相反の二重の手続きが要ります。学生・設備・大学名を副業に持ち込まず、雇われる副業は通算を計算し、申告は自分でやる——この設計なら、大学で働きながら副業は進められます。公務員の副業ルールとの比較は公務員の副業ガイド、教員(小中高)の線引きは教員の副業はどこまでOK?をどうぞ。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条・第38条/労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、兼業・利益相反の運用は各法人の規程によります。実際に動く前に、所属の人事・研究推進の担当にご確認ください。

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