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教員の兼職・兼業の許可基準(文科省)を読み解く|何が認められるのか

キャリア・横断
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「教員の副業は教育に関することなら認められやすい」——よく聞く話ですが、その根拠がどの法律のどの条文にあり、実際の許可基準がどう書かれているのかまで説明できる人は多くありません。教員の兼職・兼業には、一般の公務員にはない特例の枠組みがあり、文部科学省も兼職・兼業の考え方を整理した資料を示しています。この「基準の原文」を理解しておくと、申請が通りやすい形に活動を設計でき、管理職への相談もスムーズになります。

この記事では、教員の兼職・兼業を支える法律の構造、文科省が示す考え方の整理、教育委員会の許可基準に共通するチェックポイント、通りやすい申請の作り方を解説します。

結論:教員には「教育に関する職」の兼職特例がある。判断軸は職務専念・信用・能率の3つ

まず全体像です。公立学校の教員(教育公務員)の兼職・兼業は、次の2階建てで構成されています。

  • 1階=一般の公務員と同じ制限:営利企業への従事等の制限(地方公務員法38条)。報酬を得る事業・事務への従事は任命権者の許可が必要
  • 2階=教育公務員の特例:教育公務員特例法17条により、教育に関する他の職を兼ね、または教育に関する他の事業・事務に従事することが、本務に支障がない限り認められ得る(給与を受ける形も可能)

そして、許可を出すかどうかの判断軸は、教育委員会ごとの基準に共通して、おおむね次の3点に集約されます。

  1. 職務専念義務との両立:勤務時間と重ならず、本務の遂行に支障がないか
  2. 信用の保持:職の信用を傷つけるおそれがないか、利害関係がないか
  3. 心身の能率維持:過重にならず、疲労で教育活動の質を落とさないか

つまり「教育に関する活動を、本務に支障なく、信用を損なわずに行う」なら、制度は認める方向で設計されています。教員の副業の全体像は教員の副業解禁はいつから?教育公務員特例法をやさしく解説で確認してください。

法律の構造を読む|地公法38条と教特法17条の関係

基準を読み解く前提として、2つの条文の役割分担を整理します。

条文 内容 教員への意味
地方公務員法38条 営利企業への従事等の制限。任命権者の許可がなければ、営利企業の役員就任・自営・報酬を得る事務従事はできない 教員も原則はこの枠内。無許可の営利活動はNG
教育公務員特例法17条 教育に関する他の職・事業・事務については、本務に支障がないと任命権者(服務監督権者)が認める場合、給与を受けながら従事できる 「教育に関する」活動への特例的な道を開く
地方公務員法35条 職務専念義務 許可の有無にかかわらず勤務時間中は本務に専念
地方公務員法33条 信用失墜行為の禁止 兼職・兼業の内容とやり方が常に問われる

ポイントは、教特法17条が「教育に関する」活動に限った特例だということです。教育と関係のない一般のアルバイトや商売は、この特例の対象外で、通常の38条の許可判断(原則抑制的)に戻ります。「教員は副業に寛容」なのではなく、「教育に関する活動に限って、道が広めに設計されている」——これが正確な理解です。

文科省の「考え方の整理」を読み解く

文部科学省は、教師の兼職・兼業(特に学校教育活動以外での知見活用)について考え方を整理した資料を示し、教育委員会に柔軟で適切な運用を促しています。運用の細部は各教育委員会の要綱に委ねられていますが、国レベルの方向性を知っておくと交渉の土台になります。実務に効く要点は次のとおりです。

  • 教師の知見の社会での活用は肯定的に位置づけられている:教育に関する兼職・兼業は、教師の資質向上や学びの還元につながり得るものとして整理されている
  • 判断の中心は「本務への支障の有無」:一律禁止ではなく、勤務時間外か、疲労の程度、利害関係の有無などを個別に判断する枠組み
  • 部活動の地域移行に伴う兼職・兼業は明確に想定されている:地域クラブ活動の指導者としての兼職は、手続きを踏めば認められる代表例
  • 営利企業が関わる場でも、内容次第で認められ得る:企業主催の教育イベント登壇や教材監修など、「営利企業=即NG」ではなく活動の性質で判断

この方向性を知っておくと、「民間企業からの依頼だから無理だろう」と最初から諦める必要がないことが分かります。判断されるのは依頼主の属性ではなく、活動の教育性・公共性と本務への影響です。

許可基準に共通するチェックポイント|審査側は何を見るか

実際の許可権者(教育委員会)の審査で確認される事項は、各地の基準・様式からおおむね共通しています。申請前のセルフチェックに使ってください。

  1. 活動内容の具体性:何を・誰のために・どんな形で行うか。「執筆活動」ではなく「教育雑誌◯◯への連載寄稿(月1本)」レベルの具体性
  2. 時間帯と頻度:勤務時間と重ならないか。週・月あたりの稼働時間はどの程度か
  3. 報酬の有無と水準:社会通念上相当な範囲か。不自然に高額な報酬は利益供与を疑われる
  4. 利害関係の有無:勤務校・教育委員会と取引関係にある相手ではないか。児童生徒・保護者を対象にした商行為ではないか
  5. 本務への支障:授業・校務分掌・部活動等への影響。長期休業中中心の活動は説明しやすい
  6. 継続性と期間:単発か継続か。継続案件は期間を区切って許可し、更新時に再確認する運用が多い

これらを申請書の段階で先回りして埋めておくことが、審査を早く通す最大のコツです。書き方の実務は教員の副業申請のやり方と開業届で詳しく解説しています。

認められやすい活動・難しい活動の具体例

特例の枠組みで認められやすい(教育に関する活動)

  • 他校・教育センターでの非常勤講師、研修講師
  • 部活動指導員・地域クラブ活動の指導者(部活動指導員の副業ルール参照)
  • 教育書・教材の執筆、教科書や教材の編集協力・監修
  • 教育委員会・大学等の委員、調査研究への協力
  • 教員養成課程や免許状更新関連の講習等への協力

一般の許可判断になる・難しい活動

  • 教育と関係のない飲食店等でのアルバイト(恒常的な雇用は許可が下りにくい典型)
  • 自校の児童生徒・保護者を顧客とする塾・家庭教師(利害関係が直接的でほぼ不可)
  • 物販・転売などの事業性のある商行為
  • 信用を損なうおそれのある業種・発信

グレーに見える活動(教育系YouTube、有料noteなど)は、「教育に関する内容か」「営利の色彩の強さ」「学校・児童生徒の情報を含まないか」で判断が分かれます。必ず事前相談に持ち込みましょう。

申請の実例イメージ|通りやすい書き方・引っかかる書き方

同じ活動でも、申請書の書き方で審査側の受け取り方は大きく変わります。対比で見てみましょう。

項目 引っかかりやすい書き方 通りやすい書き方
活動内容 「執筆活動」 「教育出版社発行の月刊誌への実践記事の寄稿(算数科の指導実践・月1本・1本4,000字程度)」
時間・頻度 「空いた時間に行う」 「土日のうち月2日程度、自宅で執筆。勤務時間・部活動指導とは重複しない」
報酬 「原稿料をもらう」 「1本あたり原稿料◇円(税込)。年間見込み約◇円」
本務への影響 記載なし 「校務分掌・学級経営に影響なし。繁忙期(学期末等)は執筆を休止する調整が可能」
利害関係 記載なし 「当該出版社と本校・本市教育委員会との間に契約関係がないことを確認済み」

要するに、審査側が確認したい6項目(内容・時間・報酬・利害・支障・期間)を、聞かれる前に数字で埋めておくことです。※金額欄は実際の数字を記入します。あいまいな申請は「確認のための差し戻し」で時間を失うだけでなく、「本人も整理できていない」という印象を与えます。

教える経験をそのまま使える副業のひとつが、オンラインの講師です。たとえばよみかきそろばんくらぶのオンライン先生募集は、自宅からZoomでそろばん・よみかきを個別に指導する形で、契約形態は雇用契約でも業務請負契約でもない「講師登録」です(源泉徴収は行われないため、所得額によっては自分で確定申告をすることになります)。月曜〜土曜の7〜21時の中から可能な時間を選べるので、勤務の後や土曜に寄せる組み方ができます。応募には大卒であること・長期(最低3年以上)続けられることといった条件があり、Zoomに必要な機材や回線は自分で用意します。在職中に始める場合は、この記事のとおり先に承認・許可の手続きを済ませてください。条件や募集状況は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]


管理職・教育委員会への相談の進め方

基準を理解したら、実際の相談は次の順で進めるとスムーズです。手順の要点は「管理職を飛ばさない」「様式に沿う」「許可前に始めない」の3つに尽きます。

  1. 校長(服務監督者)への事前相談:申請書を出す前に、口頭で意向と概要を伝える。管理職が把握していない申請が教育委員会に直接届く形は避ける
  2. 所属教育委員会の要綱・様式の確認:「兼職兼業 取扱 (自治体名)」で検索すると要綱が公開されていることが多い。様式に沿って準備
  3. 必要書類の準備:依頼文書・契約書案・団体の概要資料など、相手方の実在と条件が分かる資料を添付
  4. 結果を待ってから開始:許可前に活動・報酬を開始しない。審査には数週間かかることもあるため、依頼元には手続き中である旨を伝えておく

管理職にとっても、部下の兼職兼業の相談は年々普通のことになっています。「相談したら評価が下がるのでは」という心配より、「無断でやっていたことが後から分かる」ことのほうがはるかに深刻です。

よくある質問

Q. 「教育に関する職」とはどこまでを指しますか?

法令上の限定列挙はなく、教育委員会が個別に判断します。学校教育に直接関わる職(講師・指導員等)が中核で、社会教育・生涯学習に関わる活動も含まれ得ます。迷ったら「この活動は教員としての知見を教育のために使うものか」と説明できるかを基準に、事前相談で確認してください。

Q. 私立学校の教員にもこの基準は適用されますか?

いいえ。教特法・地公法は公立学校の教員(教育公務員)に適用されるものです。私立教員は労働法制の下にあり、副業の可否は学校法人の就業規則で決まります。国立大学附属の教員は国立大学法人の職員として、法人の規程によります。

Q. 許可はどれくらいの期間有効ですか?

単発活動はその都度、継続活動は年度単位など期間を区切って許可する運用が一般的です。活動内容・頻度・報酬が当初の許可から変わったときは、更新を待たず変更の申請・報告をしてください。「許可を取ったら終わり」ではなく、実態と許可を一致させ続けることが大切です。

Q. 長期休業中(夏休み等)なら自由に働けますか?

いいえ。長期休業中も教員の身分と服務は継続しており、勤務日には職務専念義務があります。ただし、授業のない期間は「本務への支障が小さい」と説明しやすいため、講習講師や執筆などの活動を集中させる時期としては合理的です。手続きが不要になるわけではありません。

Q. 報酬なしのボランティアでも申請が必要ですか?

報酬がなければ営利従事の制限の対象外となるのが基本ですが、団体の役員に就く場合や、継続的に特定団体の事業へ関与する場合は、兼職として届出・確認を求める運用があります。無報酬でも、組織的な活動への参画は一度職場に確認するのが安全です。

Q. 申請が不許可になったら、もう手はありませんか?

不許可には理由があります。時間帯・頻度・相手方・報酬などの引っかかった要素を確認し、活動設計を修正して再申請する道は残されています。たとえば「継続契約を単発に変える」「対象から自校関係者を外す」「稼働を長期休業中に寄せる」などの調整で通った例は珍しくありません。

Q. 会計年度任用職員の講師(非常勤講師)にも同じ基準が適用されますか?

パートタイムの会計年度任用職員として任用されている非常勤講師には、営利企業への従事等の制限が適用されないため、常勤教員とは前提が異なります。掛け持ちは広く可能ですが、届出を求める運用や、職務専念義務・守秘義務の適用は残ります。常勤(臨時的任用の常勤講師等)の場合は本記事の基準がそのまま当てはまります。自分の任用形態を辞令で確認してください。

Q. 兼職・兼業で得た経験は、教員のキャリアにどう活きますか?

地域クラブでの指導経験、執筆による言語化の訓練、外部研修講師としての大人向け指導経験は、いずれも本務の授業力・学級経営・保護者対応に還元される性質のものです。文科省の整理も、兼職・兼業を教師の資質向上の機会として位置づけています。申請書に「本務への還元」の視点を一文入れると、活動の意義が伝わりやすくなります。

Q. 部活動の地域移行で、兼職の申請は増えていますか?

休日の部活動の地域移行が進むにつれ、教員が地域クラブの指導者を兼ねる形の兼職は全国的に増えており、教育委員会側も手続きの整備を進めています。前例が積み上がっている分野なので、申請のハードルは以前より下がっています。指導継続を希望する教員は、所属の教育委員会の運用(様式・報酬の扱い)を確認したうえで、堂々と申請してください。

まとめ|基準を知れば、教員の兼職・兼業は「設計できる」

教員の兼職・兼業は、地公法38条の原則制限の上に、教特法17条が「教育に関する活動」への道を開くという2階建ての構造になっています。文科省の考え方の整理も、教師の知見の社会での活用を後押しする方向で、判断の中心は「本務への支障の有無」に置かれています。

審査で見られるのは、内容の具体性・時間と頻度・報酬・利害関係・本務への影響。この基準を先回りして満たす形に活動を設計すれば、教員の副業は「こっそりやるもの」ではなく「堂々と申請して認められるもの」になります。基準の原文(所属教育委員会の兼職兼業の取扱要綱等)に一度目を通しておくことを、強くおすすめします。教員の知見を教室の外でも活かす道は、制度の側からすでに開かれています。あとは正しい手順で、その扉を開けるだけです。

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※本記事は一般的な情報提供であり、個別の服務判断は所属の教育委員会・任命権者にご確認ください。制度・運用は変更されることがあります。最新情報は各機関の公式情報でご確認ください。

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