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薬剤師の副業はどこまでOK?管理薬剤師は薬機法7条で他店勤務が原則不可、公立は38条・民間は就業規則の線引き2026

キャリア・横断
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薬剤師の副業には、他の職業にはない「1本の線」があります。管理薬剤師は、自分の薬局以外で薬事の実務をしてはならない——薬機法7条4項です。これを知らずに「休日に別の薬局で単発勤務」を入れると、勤務先の副業規定とは別に、薬機法の問題になります。この記事では、この線に加えて、公立病院の薬剤師にかかる地方公務員法38条の許可制、民間の薬局・病院の就業規則、薬剤師全員にかかる刑法134条の秘密漏示罪と労働基準法38条の労働時間の通算を軸に、「どこまでOKか」を仕分けます。ジャンルや収入の話は薬剤師の副業完全ガイドに譲ります。


結論:薬剤師の副業の線は「管理薬剤師かどうか」で1本増える

誰にかかるか 根拠 中身
①管理薬剤師の兼務禁止 薬局の管理者(管理薬剤師) 医薬品医療機器等法(薬機法)7条4項 その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事してはならない。例外は所在地の都道府県知事の許可を受けたとき
②許可制 自治体立病院の薬剤師(地方公務員) 地方公務員法38条1項 任命権者の許可なく、営利企業の役員・自営・報酬を得て事業や事務に従事してはならない。違反は29条の懲戒
③就業規則 民間の薬局・ドラッグストア・病院・企業の薬剤師 各社の就業規則 届出制・許可制・禁止のいずれか。本務への支障・信用・競業(近隣薬局での勤務)に当たれば懲戒の対象
④秘密漏示罪 薬剤師全員(退職後も) 刑法134条1項 正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らすと6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
⑤労働時間の通算 雇われて働く副業をする全員 労働基準法38条1項 事業場が違っても労働時間は通算される。法定時間を超えた分は時間外労働の扱い

「許されるか」を決めるのは②③、「管理薬剤師なら薬事の副業は原則不可」を決めるのが①、「刑事責任になるか」が④、「続けられるか」が⑤です。


線①:管理薬剤師は「他の場所で薬事の実務」ができない

薬機法7条4項は、薬局の管理者(管理薬剤師。薬局開設者が自ら管理する場合を含む)について、「その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない」と定めています。ただし書きで、薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときはこの限りでないとされています。

つまり管理薬剤師は、勤務先の就業規則がどうであれ、休日に別の薬局・ドラッグストア・病院で調剤や服薬指導をする副業が原則としてできません。知事の許可は、学校薬剤師や地域の医療体制上の必要などで認められる類型が中心で、「収入のための単発勤務」で取るものではありません。

一方、薬事に関する実務でない副業——執筆、監修、講師、薬と無関係の仕事——は7条4項の対象外です。管理薬剤師の副業は「薬事の実務かどうか」で最初に仕分けてください。管理者でない一般の薬剤師には①はかかりません。


線②:公立病院の薬剤師は地方公務員=許可制

自治体立病院の薬剤師は地方公務員です。地方公務員法38条1項は、任命権者の許可を受けなければ「営利企業の役員を兼ねる」「自ら営利企業を営む」「報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事」してはならないと定めています。他の薬局での勤務も、製薬企業の講演も、記事監修も、報酬が出る限り原則として許可の対象です。許可の基準は38条2項により人事委員会規則などで定められ、職務との利害関係・職務への支障・信用で審査されます。製薬・卸との関係は「利害」で最も慎重に見られます。公務員全体の考え方は公務員の副業ガイドにまとめています。


線③:民間の薬剤師は就業規則=「書いてある形」で決まる

  • 届出制・許可制:手続きを踏めば可。審査の観点は公立とほぼ同じ(支障・信用・競業)
  • 禁止:規定としては存在する。勤務時間外の私生活への制約は限定的に解釈されるのが一般的な考え方だが、競業(同じ地域の薬局・ドラッグストアでの勤務)は利害の重なりとして止まりやすい。規定がある以上、人事に相談して記録を残すのが安全

薬局チェーンの場合、競合チェーンでの勤務を競業として明示的に禁じているところが多い点は、他の医療職より厳しい部分です。


線④:秘密漏示罪——副業で刑事責任になるのはここ

刑法134条1項は、医師・薬剤師・医薬品販売業者などが「正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金」と定め、その職にあった者(退職後)も同様としています。薬剤師は処方内容から患者の疾患を知る立場なので、副業の発信・執筆で「事例」を書く行為は、悪意がなくてもここに触れます。

  • 記事・SNSで、患者が特定できる情報(処方+疾患+時期+地域+年齢の組み合わせ)を出す
  • 「うちの薬局では〜」と特定の患者対応や処方医の話を書く
  • オンライン服薬相談の副業で、本業の患者の情報を使って答える

書く・話すときは、個別事例ではなく一般化した薬学知識として扱い、勤務先・患者・処方医を特定させないことが最低ラインです。


線⑤:労働時間の通算——「単発派遣・他店勤務」が重い理由

労働基準法38条1項により、事業場が違っても労働時間は通算されます。フルタイムの薬剤師が休日に別の薬局で雇われて働くと、その時間は通算して法定時間を超える部分が時間外労働の扱いになります。副業先の割増賃金の負担、時間外労働の上限(通算で見る)、本業側の安全配慮——この3つのため、本業は届出・許可で副業の時間を把握したがります。

この構造のため、雇われる副業(他店勤務・単発派遣)は制度上も体力上も重く雇われない副業(執筆、監修、講師、業務委託のオンライン相談)は通算の対象外で軽い、という違いが出ます。管理薬剤師にとっては①の制限もあるので、薬剤師の副業は構造的に「雇われない・薬事の実務でない」型に寄ります。


仕分け表|薬剤師の副業を5本の線で見る

副業 ①管理薬剤師 ②公立 ③民間 ④秘密 ⑤通算 見立て
他の薬局・ドラッグストアでの調剤・OTC販売(雇用・派遣) ✕ 原則不可(知事許可を除く) 許可が出にくい 競業で止まりやすい 通算(重い) △ 管理者でなく、競合でない場合のみ
医療・健康メディアの執筆・監修 対象外(薬事の実務でない) 許可の対象だが通りやすい 届出で済むことが多い 事例を書かない 対象外 ◎ 最も線の内側
講師(薬学生向け、登録販売者研修、企業の健康講座) 対象外 単発・休日なら通りやすい 同上 雇用形態による
オンライン服薬相談・健康相談(業務委託) 「薬事の実務」に当たるかは内容次第。事前に確認 許可の対象 届出・許可 本業の患者情報を使わない 対象外 ○ 管理者は慎重に
製薬企業・卸の講演・顧問 対象外 利害関係で最も慎重 利害・信用で審査 対象外 △ 手続きを丁寧に
学校薬剤師 知事許可の対象になりうる類型 許可の対象。通りやすい 届出・許可 非常勤の公務 ○ 管理者は許可を取ってから
資産運用・小規模な不動産賃貸 対象外 事業・事務ではない(規模による) 通常は対象外 対象外

処分・トラブルになる形|4つの典型

  1. 管理薬剤師が他店で調剤していた:薬機法7条4項の違反。勤務先の処分とは別に、薬局開設者の管理責任にも波及する
  2. 無届・無許可の他店勤務:②③の違反。住民税の額の差で発覚することが多い
  3. 患者が特定できる発信:④の刑事責任。副業の可否以前の問題
  4. 競合チェーンでの勤務:③の競業。禁止規定がなくても利害の問題になる

線の内側で始めるなら|薬剤師向けの順番

  1. 自分が管理薬剤師かどうかを確認する。管理者なら「薬事の実務」の副業は原則外す
  2. 就業規則(または自治体の規則)の兼業条項を読み、人事に一言入れる
  3. 雇われない・薬事の実務でない型から入る。執筆・監修・講師は①⑤にかからない
  4. 患者・勤務先・処方医が出ない設計にする。経験は「一般化した薬学知識」として書く

執筆・監修の案件は、クラウドソーシングに「薬剤師監修」「医療ライター」の募集があります。相場と条件を眺めるだけなら許可も費用も要らないので、ランサーズのようなプラットフォームに登録しておくと、届出・許可申請の「内容・報酬」欄を具体的に書けます(受注した時点で届出・許可の対象になるので、受けるのは手続き後に)。[PR]

資格を「書く・監修する」側で使う道もあります。みんなの記事監修は、資格を持つ専門家として登録し、記事監修の依頼を受ける形のサービスで、登録時に本人確認と資格証の確認があります。監修料は報酬(雑所得または事業所得)になり、勤務時間として通算されないため、シフト勤務や不規則な勤務と組み合わせやすいのが特徴です。在職中の方は、本業側の許可・届出の手続きを先に済ませてください。報酬や依頼の条件は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]



税金|副業の所得は自分で申告する

届出・許可を取って報酬を受け取り始めたら、申告は自分でやることになります。副業の所得は、勤め先の年末調整では処理されません。所得税の確定申告が必要かどうかは金額によります(給与以外の所得が年20万円を超えれば必要)が、住民税の申告は原則として必要です。どちらの場合も、1年分の収入と経費を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


よくある質問

Q1. 管理薬剤師でも、執筆や講師ならしていい?

薬機法7条4項が禁じるのは「薬事に関する実務」への従事です。執筆・監修・講師はこれに当たらないので、7条4項の問題にはなりません。勤務先の就業規則(届出・許可)は別途必要です。

Q2. 単発派遣の薬剤師バイトは?

管理薬剤師なら原則不可。一般の薬剤師なら就業規則の手続きと競業の確認が要り、労働時間は本業と通算されます。

Q3. 学校薬剤師は副業?

報酬が出る非常勤の公務なので、勤務先の手続きは必要です。管理薬剤師が学校薬剤師を兼ねる場合は、7条4項ただし書きの知事許可が関わるので、薬局開設者と都道府県の薬務担当に確認してください。

Q4. 薬剤師であることをプロフィールに書いていい?

資格を名乗ること自体は問題ありません。問題になるのは「勤務先の特定」「患者の事例」「特定の医薬品の推奨と販売の結びつき」です。資格は書き、勤務先と患者は書かない、が基本線です。

Q5. 退職してパート掛け持ちにすれば自由?

就業規則の線はなくなりますが、管理薬剤師になった店では①が、全員に④⑤が残ります。掛け持ちの合計時間は自分で管理する必要があります。


まとめ|「管理者か・薬事の実務か・雇われるか」で線が引ける

薬剤師の副業は、管理薬剤師なら薬機法7条4項で「他の場所での薬事の実務」が原則不可、公立なら地方公務員法38条の許可、民間なら就業規則——ここで「できるか」が決まります。そのうえで、刑法134条が「事例を書く副業」を刑事責任の領域に置き、労基法38条が「雇われる副業」を重くします。線の内側は、手続きを踏んだうえでの執筆・監修・講師のような、雇われない・薬事の実務でない型です。


参考にしている主な一次情報:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第7条/地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条・第38条/刑法(明治40年法律第45号)第134条/労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、兼業の運用は勤務先・自治体ごとに異なります。実際に動く前に、所属の人事担当・薬局開設者にご確認ください。

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