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保育士の副業はどこまでOK?公立は地公法38条・私立は就業規則、全員に児童福祉法の守秘義務と労働時間の通算2026

キャリア・横断
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保育士の副業は「公立か私立か」で根拠が変わり、そのうえで保育士全員に共通する線が2本あります。公立(自治体立)の保育士は地方公務員なので地方公務員法38条の許可制、私立(社会福祉法人・株式会社など)の保育士は就業規則。そして全員に、児童福祉法18条の21・18条の22の信用失墜行為の禁止と守秘義務、労働基準法38条の労働時間の通算がかかります。この記事はこの4本の線で「どこまでOKか」「何が処分・登録取消になるか」を仕分けます。副業ジャンルや収入の目安は保育士の副業2026完全ガイドに譲ります。


結論:保育士の副業の線は「身分」で1本、「資格」で1本、「時間」で1本

誰にかかるか 根拠 中身
①許可制 公立保育所の保育士(地方公務員) 地方公務員法38条1項 任命権者の許可なく、営利企業の役員・自営・報酬を得て事業や事務に従事してはならない。違反は29条の懲戒(戒告・減給・停職・免職)
②就業規則 私立保育園・認定こども園・企業主導型保育などの保育士 各法人の就業規則 「禁止」「許可制」「届出制」のどれかが書いてある。勤務時間外の活動への制約は限定的に解釈されるのが一般的だが、本務への支障・信用・競業に当たれば懲戒の対象
③資格の規律 保育士全員(公立・私立を問わず) 児童福祉法18条の21・18条の22 保育士の信用を傷つける行為の禁止/正当な理由なく業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない(保育士でなくなった後も)。違反は保育士登録の取消し・名称使用の停止の対象(18条の19)
④労働時間の通算 雇われて働く副業をする全員 労働基準法38条1項 事業場が違っても労働時間は通算される。本業+副業で法定時間を超えた分は時間外労働の扱い

「許されるか」を決めるのは①②、「資格を失うか」を決めるのは③、「続けられるか」を決めるのは④です。保育士に特有なのは③で、副業の可否とは別に、資格そのものにかかる規律がある点を先に押さえてください。


線①:公立保育士は地方公務員=許可制

市区町村立の保育所に勤める保育士は地方公務員です。地方公務員法38条1項は、任命権者の許可を受けなければ「営利企業の役員を兼ねる」「自ら営利企業を営む」「報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事」してはならないと定めています。射程は広く、ベビーシッターも、保育系メディアの執筆も、報酬が出る限り原則として許可の対象です。

許可の基準は38条2項により人事委員会規則(人事委員会のない自治体は自治体の規則)で定められ、一般に職務との利害関係がないこと・職務の遂行に支障がないこと・信用を損なわないことの3点で審査されます。他園での保育業務や、自園の保護者を相手にするシッターは「利害」「信用」の面で許可が出にくく、単発の講師・執筆・教材づくりのような類型は通りやすい、というのが実務の傾向です。

なお、条文上は非常勤職員(短時間勤務の職などを除く)は38条の対象外ですが、会計年度任用職員など任用形態によって扱いが異なります。自分の任用形態と、自治体の規則・様式を人事担当に確認してから動いてください。公務員全体の考え方は公務員の副業ガイドに、不動産・執筆などの特例は公務員副業特例完全攻略にまとめています。


線②:私立の保育士は就業規則=「書いてある形」で決まる

社会福祉法人・株式会社・学校法人などが運営する園の保育士には38条はかかりません。代わりに就業規則の「兼業・副業」の条項が線です。

  • 届出制:届け出れば可。最も動きやすい
  • 許可制:申請して承認を得る。審査の観点は公立とほぼ同じ(支障・信用・競業)
  • 禁止:規定としては存在する。勤務時間外の私生活に対する使用者の制約は限定的に解釈されるのが一般的な考え方だが、本務への支障・信用・競業(同じ地域の園や、園児の家庭を相手にする仕事)に当たれば懲戒の対象になりうる。規定がある以上、人事に相談して記録を残すのが安全

私立で特に注意したいのは競業です。同じ地域で別の園に勤める、園児の家庭でシッターをする——どちらも園から見れば利害の重なりです。禁止規定がなくても信用・利害の問題になります。


線③:資格の規律——副業で保育士登録を失う形

児童福祉法18条の21は「保育士は、保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならない」、18条の22は「正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保育士でなくなった後においても同様」と定めています。これに違反すると、保育士登録の取消し、または期間を定めた名称使用の停止の対象になります(18条の19)。勤務先の処分とは別に、資格そのものが止まる規律です。

副業で危ないのは、悪意の漏洩ではなく「事例」として書いてしまうことです。

  • ブログ・SNS・執筆で、園児や家庭が特定できる情報(年齢+特徴+時期+地域の組み合わせ、写真)を出す
  • 「勤務先の園では〜」と内部の運用や保護者対応を書く
  • 育児相談の副業で、本業の園児・家庭の情報を使って答える
  • 保育士の肩書を使って、保護者に商品・サービスを勧誘する(信用失墜)

保育の経験を書く・話すときは、個別の事例ではなく一般化した知識として扱うこと、勤務先と園児を特定させないこと、肩書を営業に使わないことが最低ラインです。


線④:労働時間は通算される——「他園でのパート」が重い理由

労働基準法38条1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。本業でフルタイムの保育士が、休日に別の園や託児施設に雇われて働くと、その時間は通算して法定時間を超える部分が時間外労働の扱いになります。副業先の割増賃金の負担、時間外労働の上限規制(通算で見る)、本業側の安全配慮——この3つがあるため、本業は届出・許可で副業の時間を把握したがります。

この構造のため、雇われる副業(他園・託児のパート、ベビーシッターの雇用契約)は制度上も体力上も重く雇われない副業(執筆、教材づくり、講師、オンラインの育児相談)は通算の対象外で軽い、という違いが出ます。


仕分け表|保育士の副業を4本の線で見る

副業 公立(①) 私立(②) 資格(③) 時間通算(④) 見立て
他園・託児施設でのパート 許可が出にくい 届出・許可が要る。競業に注意 通算される(重い) △ 月数回の単発までが現実的
ベビーシッター(自園の家庭以外) 許可の対象。利害・信用で審査 届出・許可。園児の家庭は避ける 園児情報を使わない 雇用形態による ○ 相手を限定すれば通る余地
保育・育児系メディアの執筆・監修 許可の対象だが通りやすい類型 届出で済むことが多い 事例を書かない 対象外(委託) ◎ 最も線の内側
手遊び・製作の教材・動画の販売 継続的なら「営利企業を営む」で厳しく見られる 信用・競業は問題になりにくい 園児が写る素材は不可 対象外 ○ 公立は規模と形に注意
保育士試験対策・子育て講座の講師 単発・休日なら通りやすい 同上 肩書は資格として書き、勤務先は出さない 雇用形態による
保護者向けの物販・勧誘 信用で止まる 信用・競業で止まる 信用失墜に当たりうる
資産運用・小規模な不動産賃貸 事業・事務ではない(規模による) 通常は対象外 対象外 ◎ 公立は規模の目安を規則で確認

処分・トラブルになる形|4つの典型

  1. 無許可・無届で他園に勤める:①②の違反。住民税の額の差で発覚することが多い
  2. 園児・家庭が特定できる発信:③の違反。副業の可否以前に、資格の登録取消しの対象
  3. 保護者を相手にした商売:信用失墜。園の処分と資格の規律の両方に当たりうる
  4. 本業と副業の合計で疲労・遅刻・ミス:④の問題として副業が止められる

線の内側で始めるなら|保育士向けの順番

  1. 就業規則(または自治体の規則)の兼業条項を読み、人事に一言入れる
  2. 雇われない型から入る。執筆・監修・講師・教材づくりは④の通算にかからない
  3. 園児・家庭・園名が出ない設計にする。経験は「一般化した知識」として書く
  4. 雇われる副業は最後に、単発で。本業の時間外上限と休息を先に計算する

執筆・監修・教材の案件は、クラウドソーシングに「保育士監修」「子育てメディアのライター」「知育教材」の募集があります。相場と条件を眺めるだけなら許可も費用も要らないので、ランサーズのようなプラットフォームに登録しておくと、届出・許可申請の「内容・報酬」欄を具体的に書けます(受注した時点で届出・許可の対象になるので、受けるのは手続き後に)。[PR]


税金|副業の所得は自分で申告する

届出・許可を取って報酬を受け取り始めたら、申告は自分でやることになります。副業の所得は、勤め先の年末調整では処理されません。所得税の確定申告が必要かどうかは金額によります(給与以外の所得が年20万円を超えれば必要)が、住民税の申告は原則として必要です。どちらの場合も、1年分の収入と経費を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]

他園で雇われて働く副業は「給与」なので、本業と合わせて2か所給与になります。この場合は、年末調整されない側の給与収入と他の所得の合計が20万円を超えるかどうかで判定します。


よくある質問

Q1. 保育士資格を生かしたベビーシッターは副業?

報酬が出るので副業です。公立なら許可、私立なら就業規則の手続きが要ります。自園の園児の家庭は利害・信用の面で避け、園児の情報を使わないこと(18条の22)が条件です。

Q2. SNSで保育のアイデアを発信して収益化するのは?

収益が出る時点で副業規定の対象です。加えて、園児が写る写真・特定できる事例・園の内部事情は18条の21・22に触れます。一般化した知識・自作の教材に限るのが条件です。

Q3. 公立から私立に転職したら自由になる?

38条の許可制はなくなりますが、就業規則(②)・資格の規律(③)・労働時間の通算(④)は残ります。「自由」ではなく「線が変わる」と捉えてください。

Q4. 副業がバレる経路は?

最も多いのは住民税です。副業の所得があると住民税の額が給与だけのときと合わず、給与担当が気づきます。普通徴収(自分で納付)は、手続きを踏まない副業を隠す目的で使うと発覚時に「隠蔽」として重く見られます。

Q5. 保育士の名称をプロフィールに書いていい?

登録している保育士が名称を使うこと自体は問題ありません。問題になるのは「勤務先の特定」「園児の事例」「肩書を使った勧誘」です。資格は書き、園名は書かない、が基本線です。


まとめ|「身分・資格・時間」の3本の線を先に引く

保育士の副業は、公立なら地方公務員法38条の許可、私立なら就業規則——ここで「できるか」が決まります。そのうえで、児童福祉法18条の21・22が「事例を書く・肩書で売る副業」を資格ごと危険にし、労基法38条が「雇われる副業」を重くします。線の内側は、手続きを踏んだうえでの執筆・監修・教材づくり・講師のような雇われない型。資格と体力の両方を守れる形です。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条・第38条/児童福祉法(昭和22年法律第164号)第18条の19・第18条の21・第18条の22/労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、許可・届出の運用は勤務先・自治体ごとに異なります。実際に動く前に、所属の人事担当にご確認ください。

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