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教員の家庭教師・塾講師は副業になる?教特法17条に乗る形・地公法38条で止まる形(営利・利害・信用)と通る設計2026

キャリア・横断
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「教員免許があるから家庭教師や塾講師くらいは」——これは教員の副業でいちばん多い相談で、いちばん線を間違えやすい類型です。結論から言うと、家庭教師・塾講師は「教育に関する仕事」なので教育公務員特例法17条の特例に乗る余地がある一方、営利性・利害関係・信用の3点で止まりやすい副業です。この記事は、地方公務員法38条・教特法17条を根拠に、「どの形なら通るか」「どの形は通らないか」を仕分けます。教員の副業全体の線引きは教員の副業はどこまでOK?に譲ります。


結論:「教育に関する」けれど「営利・利害・信用」で止まる。形を変えれば通る

乗る条文 審査の中身 見立て
自校・近隣の生徒を相手に個人で家庭教師 地公法38条(許可) 利害関係(保護者が顧客)・信用・公平性 ✕ 最も止まりやすい
遠方・無関係の生徒を相手に個人で家庭教師(報酬あり) 38条または教特法17条 営利性・本務への支障 △ 任命権者の解釈次第。単発・休日・少額なら通る余地
学習塾・予備校に雇われて講師(時給) 38条 営利企業への従事・競業・支障 △ 通りにくい。公立では「営利企業に雇われる」点が壁
教育委員会・公的機関・非営利団体の学習支援(報酬あり) 教特法17条 本務に支障がないか ◎ 17条が本来想定している形
無償の学習支援(ボランティア) 対象外(報酬がない) 信用・職務専念・秘密の規律のみ
教材・参考書の執筆(依頼を受けて原稿料) 教特法17条 本務に支障がないか

同じ「教える」でも、誰に・誰から報酬を受けて・どの形で教えるかで乗る条文が変わり、結果が変わります。


条文で確認する|38条と17条の関係

地方公務員法38条1項は、任命権者の許可を受けなければ「営利企業の役員を兼ねる」「自ら営利企業を営む」「報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事」してはならないと定めています。家庭教師も塾講師も、報酬が出る限りここに乗ります。

教育公務員特例法17条1項は、教育公務員が「教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事すること」について、本務の遂行に支障がないと任命権者(県費負担教職員は市町村教育委員会)が認める場合には、給与を受けても受けなくても従事できると定めています。3項で、この場合は38条2項の人事委員会規則による許可基準によることを要しない、ともしています。

つまり、家庭教師・塾講師が「教育に関する事業・事務」に当たれば、38条の厳しい許可基準ではなく、17条の「本務に支障がないか」だけで判断される余地があります。ただし「教育に関する」の範囲は任命権者の解釈で、営利目的の色が濃いもの(学習塾の経営、企業に雇われる講師)は17条の対象外として38条で見る自治体が多い、というのが実務の傾向です。


止まる理由は3つ|営利・利害・信用

1. 営利性

学習塾・予備校は営利企業です。そこに雇われて時給を受けることは「営利企業の業務に従事」に近く、公立教員の場合は38条で最も厳しく見られる類型に入ります。17条の「教育に関する」に当たるかどうか以前に、営利企業との雇用関係が壁になります。

2. 利害関係

自校の生徒・保護者を顧客にすると、成績評価・進路指導との利害が生じます。「学校で教わる先生に、お金を払って家でも教わる」構造は、教育の公平性の観点で許可が出ません。近隣の学校の生徒でも、受験や進路で関わる可能性があれば同様です。

3. 信用

「○○小学校の先生が家庭教師をしている」と知られた時点で、学校・教育委員会への信頼の問題になります。チラシ・SNSで教員の肩書を出して集客するのは、許可の有無にかかわらず信用失墜行為(地公法33条)として見られます。


通る形に変える|3つの設計

  1. 相手を変える:自校・近隣の生徒ではなく、教育委員会や非営利団体が運営する学習支援(生活困窮世帯向けの学習支援、地域の放課後教室など)で教える。17条に乗りやすく、利害関係も生じない
  2. 形を変える:雇われて時給を受ける塾講師ではなく、依頼を受けて教材・模擬試験の問題を作る、教育書を書く。17条の「教育に関する事業・事務」の典型で、通りやすい
  3. 報酬をなくす:ボランティアの学習支援なら38条の対象外。退職後の顧客・実績づくりとしては十分に効く

「家庭教師で稼ぎたい」の中身が「教える経験を収入にしたい」なら、①②で代替できます。「自分の生徒にもっと教えたい」なら、それは副業ではなく本務の範囲で工夫する話です。


ケース別に見る|「教える副業」の相談でよく出る5パターン

相談の中身 どう見られるか 通る形への言い換え
「隣の市の高校生に、受験まで週1で数学を教えたい」 個人契約・継続・報酬あり。利害は薄いが営利性と支障で38条の審査。通る余地はある 休日限定・期間を区切る・自校と受験で関わらない相手に限定して申請
「大手塾の夜間講師に週2で入りたい」 営利企業に雇われる形。公立では最も通りにくい 教育委員会・非営利の学習支援か、教材作成の受託に変える
「自分のクラスの子の保護者に頼まれた」 利害関係+信用。許可は出ない 断る。学校の補習・相談体制で対応する
「自治体の無料学習教室で教えて謝礼をもらう」 17条の典型。本務に支障がなければ通る そのまま申請。最も通りやすい形
「教科書会社から問題作成を頼まれた」 17条の「教育に関する事業・事務」。通る そのまま申請。勤務先の教材・テストを流用しない

5つに共通する判断軸は、相手(自校か無関係か)・雇用主(営利企業か公的・非営利か)・形(雇用か委託か)の3つです。この3つを通る側に寄せれば、同じ「教える」でも結果が変わります。


私立教員の場合

私立学校の教員は地公法38条・教特法17条の対象外で、就業規則の兼業条項が線です。届出制・許可制なら手続きを踏めば可。ただし私立でも、自校の生徒を相手にする家庭教師は利害・信用の問題として禁止されていることが多く、近隣の塾で教えることは競業として見られます。公立との違いは「許可を出すのが学校法人」という点だけで、止まる理由は同じ3つです。


処分になる形|家庭教師・塾講師で繰り返される3つ

  1. 無許可で塾講師を続けていた:38条違反。塾の給与は2か所給与になり、住民税の通知でほぼ確実に発覚する(給与は普通徴収にできない自治体がほとんど)
  2. 自校の生徒の保護者から報酬を受けていた:利害関係+信用失墜。公表・報道に発展しやすい最も重い型
  3. 学校のテスト・教材を家庭教師で使った:秘密を守る義務(34条)・公物の私的利用。副業の可否以前の問題

処分の標準例(無許可兼業=減給または戒告、自主申出で軽く)は公務員が副業バレで処分された事例と回避策にまとめています。


線の内側で始めるなら|教員向けの順番

  1. 「誰に・誰から・どの形で」を先に決める。自校・近隣の生徒と営利企業の雇用は外す
  2. 教育委員会・非営利団体の学習支援か、教材執筆から入る。17条で見てもらえる形
  3. 収益が出る前に相談する。「17条で見てもらえるか、38条の許可か」を教育委員会の担当に聞く
  4. 肩書・学校名を出さない。資格(教員免許)は書き、勤務先は書かない

教材執筆・問題作成の案件は、クラウドソーシングに「教材制作」「問題作成」「教育系ライター」の募集があります。依頼を受けて書く形は17条に乗せやすく、相場と条件を眺めるだけなら許可も費用も要らないので、ランサーズのようなプラットフォームに登録しておくと、申請書の「内容・報酬」欄を具体的に書けます(受注した時点で許可の対象になるので、受けるのは手続き後に)。[PR]

オンラインで教える仕事は、雇用契約ではなく「講師登録」という形をとるところもあります。たとえばよみかきそろばんくらぶのオンライン先生募集は、自宅からZoomで個別に指導する形で、雇用契約でも業務請負契約でもない講師登録という契約形態です(源泉徴収は行われないため、所得額によっては自分で確定申告をすることになります)。月曜〜土曜の7〜21時の中から可能な時間を選ぶ形で、応募には大卒であること・長期(最低3年以上)続けられることといった条件があり、Zoomに必要な機材や回線は自分で用意します。在職中の方は、契約の形にかかわらず先に承認・許可の手続きを済ませてください。条件や募集状況は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]



税金|塾講師は「給与」、家庭教師・教材執筆は「報酬」

塾に雇われる講師は「給与」で、本業と合わせて2か所給与になります。年末調整されない側の給与収入と他の所得の合計が20万円を超えれば所得税の確定申告が必要です。個人契約の家庭教師や教材執筆は「報酬」で、雑所得(規模によっては事業所得)になり、給与以外の所得が20万円を超えれば確定申告、20万円以下でも住民税の申告が必要です。副業の所得は、勤め先の年末調整では処理されません。1年分の収入と経費を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]

教員の申告ラインは教員の副業は20万円以下なら申告不要?で整理しています。


よくある質問

Q1. 親戚の子に教えて謝礼をもらうのは?

報酬が出れば38条の対象です。謝礼が「気持ち程度で単発」なら実務上問題にされないことが多いですが、定額・継続になれば「報酬を得て事務に従事」です。相手が自校の生徒なら単発でも避けてください。

Q2. オンライン家庭教師サービスに登録するのは?

サービス運営会社に雇われる形なら営利企業への従事(38条)、業務委託なら報酬を得て事務に従事(38条または17条)。どちらも手続きが要ります。自校の生徒が受講者に含まれないよう、地域を外す設定が必要です。

Q3. 非常勤講師なら塾で教えてもいい?

地公法38条1項ただし書きで、非常勤職員(短時間勤務の職などを除く)は38条の対象外で、教特法17条2項も非常勤講師には適用しません。ただし任用形態(会計年度任用職員など)で扱いが異なるので、人事担当に確認してください。

Q4. 退職後なら家庭教師・塾は自由?

38条・17条はなくなります。ただし34条の秘密を守る義務は退職後も残るので、在職中の生徒・学校の情報(テスト問題、成績、家庭の事情)は使えません。

Q5. 部活動の外部指導員として報酬を受けるのは?

自治体が任用する部活動指導員は公的な職なので、他校の指導員を兼ねる形は17条の「教育に関する他の職」に乗りやすい類型です。民間のスポーツクラブでのコーチは営利企業への従事として38条で見られます。詳しくは部活動指導員の副業の記事を参照してください。

Q6. 産休・育休中に家庭教師をするのは?

休業中も職員の身分は続くので38条・17条の対象です。育児休業中の就労は休業の趣旨との関係でも制限されるので、人事に確認してください。

Q7. 教育委員会の学習支援の報酬も申告が要る?

要ります。17条の承認を受けた兼業の報酬も、年末調整には載らず、確定申告(または住民税の申告)で処理します。


まとめ|「誰に・誰から・どの形で」を変えれば、教える副業は通る

教員の家庭教師・塾講師は、「教育に関する」ので17条の特例に乗る余地がある一方、営利性・利害関係・信用で止まりやすい副業です。自校・近隣の生徒と営利企業の雇用を外し、教育委員会・非営利団体の学習支援や教材執筆に形を変えれば、17条の「本務に支障がないか」だけで判断される線の内側に入れます。収益が出る前に相談し、肩書を売りにしない——それが教員が「教える経験」を副業にする現実的な線です。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第33条・第34条・第38条/教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)第17条(いずれもe-Gov法令検索)/人事院「懲戒処分の指針について」/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、17条の「教育に関する」の範囲と許可の基準は任命権者(自治体)ごとに異なります。実際に動く前に、所属の管理職・教育委員会の担当にご確認ください。

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