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介護職の初めての確定申告|単発バイトは合算する?所得税法194条で扶養控除等申告書は1か所・190条で年末調整も1か所だけ 2026

キャリア・横断
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介護の仕事は単発の求人が多く、「今月だけ他の施設に1〜2回入った」という働き方が現実的に成り立ちます。ところが年が明けると、源泉徴収票が2枚以上手元にあって、どうすればいいのか分からない——という状態になります。ここでつまずくのは、「20万円以下なら申告不要」という話を、給与の掛け持ちにそのまま当てはめてしまうからです。結論を先に書くと、単発バイトを「給与」で受け取っているなら、その分は原則として本業と合算して確定申告することになります。この記事は、所得税法194条1項・185条・190条・121条1項、地方税法317条の2を根拠に、初めての確定申告で何をどう見るのかを整理します。掛け持ちの社会保険は介護のダブルワークと社会保険、無資格でできる単発は無資格でできる介護の単発へ。


結論:まず「給与か、報酬か」を分ける

受け取り方 年末にもらう書類 確定申告
給与(雇用されて働いた) 源泉徴収票 本業と合算して申告するのが原則
報酬(業務委託で受けた) 支払調書(出ないこともある) 所得20万円以下なら所得税の申告を要しない場合がある

この2つを混ぜたまま「20万円」を考えると必ず間違えます。手元の書類の名前を見てください。源泉徴収票が出ているなら給与です。


線①:扶養控除等申告書は1か所にしか出せない

所得税法194条1項は、給与等の支払を受ける居住者は、その給与等の支払者(その支払者が二以上ある場合には、主たる給与等の支払者)から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、給与所得者の扶養控除等申告書を提出しなければならないと定めています。

括弧書きが効いています。支払者が2か所以上あるときは「主たる給与等の支払者」に出す——つまり出せるのは1か所だけです。ふつうは本業の施設がここに当たります。

そして所得税法185条1項は、源泉徴収すべき税額を次のように分けています。

号 対象 使う税額表
1号 扶養控除等申告書を提出した先が支払う給与 別表第二・第三の甲欄
2号 1号・3号以外の給与 別表第二・第三の乙欄

単発で入った先は2号に当たるので乙欄で計算されます。乙欄は甲欄より高い税額になる作りなので、単発バイトの明細を見て「思ったより引かれている」と感じるのはこのためです。引かれすぎている分は、確定申告で精算されて戻ってくることがあります。


線②:年末調整も1か所だけ

所得税法190条は、年末調整について「給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、その年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が2,000万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合」に、過不足を精算するものとしています。

申告書を出した先の支払者しか年末調整をしません。したがって単発で入った先の給与は年末調整されないまま残ります。本業の年末調整だけでは、その年の税額が確定していない状態になる——これが「合算して確定申告する」ことになる理由です。


線③:20万円のルールは、この形では使いにくい

所得税法121条1項は、給与の額が2,000万円以下の人について、確定申告書の提出を要しない場合を定めています。給与が2か所以上ある人に関係するのは2号です。

二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について……源泉徴収……をされた又はされるべき場合において、イ又はロに該当するとき。
イ ……従たる給与等の支払者から支払を受けるその年分の給与所得に係る給与等の金額とその年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が二十万円以下であるとき。

読み方の要点は「従たる給与等の金額」がそのまま20万円の判定に入ることです。給与には必要経費という考え方がないので、受け取った額がそのまま乗ります。単発バイトを年に何回か入れば、20万円は簡単に超えます。

年間の単発バイトの給与 他に所得がない場合
15万円 121条1項2号イに当たり、所得税の確定申告書の提出を要しない場合がある
25万円 20万円を超えるので確定申告が必要

ただし「申告しなくてよい」と「申告しないほうが得」は別です。乙欄で多めに源泉徴収されている場合、申告すれば戻ってくることがあります。20万円以下でも、明細で引かれた所得税の額を見て判断してください。


線④:住民税は20万円で切れない

地方税法317条の2第1項は、市町村民税の納税義務者は3月15日までに申告書を提出しなければならないとしたうえで、ただし書で、給与支払報告書を提出する義務がある者から給与の支払を受けている者で「前年中において給与所得以外の所得……を有しなかつたもの」を除外しています。

ここは注意が必要です。単発バイトも給与で受け取っているなら「給与所得以外の所得」ではありません。ただし勤務先が複数になると、市区町村側は複数の給与支払報告書を突き合わせて課税します。所得税の確定申告をすれば、そのデータが市区町村に回るので住民税の申告は不要になります。確定申告をしない場合は、市区町村の案内に従って住民税の申告が必要かを確認してください。業務委託の報酬がある場合は、金額にかかわらず住民税の申告の対象になります。


介護職で「報酬」になるのはどんな仕事か

ここまで給与を中心に書いてきましたが、介護の周辺には報酬(業務委託)で受け取る仕事もあります。所得税法204条1項は、源泉徴収の対象になる報酬・料金を号ごとに列挙しており、1号には原稿の報酬・講演料およびこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金が挙げられています。介護福祉士やケアマネジャーが記事の監修や研修の講師を引き受けた場合は、ここに当たり得ます。

仕事 受け取り方 源泉徴収 経費
他施設での単発勤務 給与 乙欄で徴収(185条1項2号) 引けない
訪問介護のマッチングサービス経由 契約による。雇用か業務委託かを確認する 形による 業務委託なら引ける
研修の講師・記事の監修 報酬 204条1項1号に当たれば徴収される 引ける(資料代・交通費など)
手作りの販売・フリマ 報酬ではない売上 なし 引ける(仕入れ・送料など)

2行目が実務では紛らわしいところです。同じ「訪問介護の仕事を受ける」形でも、雇用なら給与、業務委託なら報酬になり、税の処理も社会保険の扱いも変わります。登録するときの契約書に「雇用契約」と書いてあるか、「業務委託契約」と書いてあるかを見てください。分からなければ、年末に何が交付されるか(源泉徴収票か、支払調書か)を先に聞いておくと確実です。


手順:初めての年にやること

  1. 源泉徴収票をすべて集める。本業+単発で入った先すべて。もらえていなければ請求する
  2. 報酬の入金記録を集める。業務委託で受けた分。支払調書が出ないこともあるので通帳で確認する
  3. 控除の書類を集める。生命保険料控除証明書、国民年金の控除証明書、医療費の領収書など
  4. 合計して判定する。従たる給与+給与以外の所得が20万円以下かどうか
  5. 申告書を作る。国税庁の確定申告書等作成コーナーか会計ソフトで作る
  6. 3月15日までに提出する。還付だけの申告は期限が異なるが、まとめて期限内に出すのが確実

いちばん多いつまずきは、源泉徴収票が揃わないことです。単発で1日だけ入った先からも源泉徴収票は交付されます。年明けに届かなければ、その事業所に連絡してください。


やってはいけないこと

やりがちなこと なぜ問題か
単発先にも扶養控除等申告書を出す 194条1項は主たる支払者に出すもの。2か所で甲欄になると税額が不足する
源泉徴収票を1枚だけで申告する 合算されないので、後から修正が必要になる
「20万円以下だから何もしない」 住民税の扱いが別。還付の機会も逃す
現金手渡しの分を計上しない 支払った側は経費として記録している。突き合わせで判明する

単発が年に数回なら手計算でも足りますが、回数が増えると入金と控除の管理が煩雑になります。弥生シリーズのように、口座やクレジットカードの明細を取り込んで仕訳し、そのまま申告書の形まで出せるものを使うと、年明けに1年分をさかのぼって集計し直す作業がなくなります。給与の源泉徴収票は別に入力する必要がありますが、業務委託の報酬と経費がある人ほど効きます。無料で使える期間や料金体系は製品と時期によって異なるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]


よくある疑問

Q. 単発先で「扶養控除等申告書を出してください」と言われました。
所得税法194条1項は、支払者が2か所以上あるときは主たる給与等の支払者に提出するとしています。本業に出しているなら、単発先には出しません。事情を伝えれば乙欄で処理されます。

Q. 日払いの単発でも源泉徴収票は出ますか。
給与として支払われているなら交付されます。年明けに届かない場合は、その事業所に連絡してください。連絡しても出ない場合は税務署に相談できます。

Q. 確定申告をすると本業に単発のことが分かりますか。
住民税の通知を通じて金額が伝わる経路があります。給与として受け取っている分は普通徴収に分けられないことが多く、税の処理だけで完全に分けるのは困難です。就業規則で副業の届出が必要なら、先に出しておくほうが確実です。

Q. 医療費控除やふるさと納税を使う年はどうなりますか。
どのみち確定申告をすることになるので、単発分の給与もそこで合算します。源泉徴収票を全部揃えてから作業を始めてください。

Q. 申告を忘れたまま数年経ってしまいました。
過去分についても申告できます。放置するより早く手続きするほうが結果的に負担が小さくなります。所轄の税務署に相談してください。


参考にしている主な一次情報:所得税法(昭和40年法律第33号)第121条・第185条・第190条・第194条・第204条/地方税法(昭和25年法律第226号)第317条の2。条文はe-Gov法令検索で確認しています。

※情報は執筆時点のものです。控除の内容や申告の要否は個別の事情によって異なります。実際の判定と手続は所轄の税務署、お住まいの市区町村にご確認ください。この記事は特定の申告方法や製品を勧めるものではありません。

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