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副業している会社員の年末調整|副業の収入は書かない、基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」にだけ含める、精算は確定申告で——10月に迷わない書き方と記入例 2026

キャリア・横断
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10月〜11月、会社から年末調整の書類(扶養控除等申告書・保険料控除申告書・基礎控除申告書)が配られます。副業をしている会社員が毎年迷うのが、「副業の収入を年末調整の書類に書くのか」「書いたら会社にバレるのか」「書かなかったら脱税なのか」です。答えは、副業の収入は年末調整の書類には書かず、確定申告で精算する。ただし基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」には副業の所得を含めて書く必要があり、ここが唯一「副業の存在が数字に出る」欄です。この記事は、所得税法190条(年末調整)と国税庁「年末調整のしかた」の基礎控除申告書の記載要領を根拠に、副業をしている会社員の年末調整を「書く欄・書かない欄・書き方・会社に見えるもの」で整理します。公務員・教員版は副業している公務員・教員の年末調整、年末調整と確定申告の違いは副業の年末調整と確定申告の違いへ。


結論:副業の収入・経費は年末調整に書かない。書くのは「合計所得金額の見積額」だけ。副業分の税金は確定申告で精算

年末調整の書類 副業に関して書くこと 会社に見えるもの
扶養控除等(異動)申告書 副業のことは書かない(本業1社にだけ提出する書類) なし
基礎控除申告書(兼 配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書) 「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」に副業の所得を含めた額 給与所得以外の所得の見積額が欄に出る(内訳は出ない)
保険料控除申告書 副業のことは書かない。iDeCo・生命保険・地震保険は通常どおり なし
住宅ローン控除の申告書 副業のことは書かない なし

線①:年末調整は「給与」だけの精算——所得税法190条

所得税法190条は、給与の支払者が、その年最後の給与を支払うときに、その支払者が支払った給与について年間の税額を計算し、源泉徴収した税額との過不足を精算する(年末調整)ことを定めています。対象は「その会社が払った給与」だけで、副業の収入(雑所得・事業所得・他社の給与)は年末調整の計算に入りません。副業分は確定申告で、給与と合算して精算します。

つまり「副業の収入を年末調整の書類に書く欄」は、そもそも存在しません。書かないのは正しく、脱税ではありません。書かない代わりに、翌年2〜3月の確定申告で申告します。


線②:唯一の例外——基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」

基礎控除は合計所得金額によって額が変わる(一定額を超えると減る)ため、基礎控除申告書には「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」を書く欄があります。この合計所得金額には、給与所得だけでなく副業の所得(雑所得・事業所得)も含まれます。国税庁の記載要領も、この申告書の合計所得金額の見積額に給与所得以外の所得を含めるよう求めています。

書き方は、欄の構成に沿って次のとおりです。

  • 給与所得:本業の収入(見積)から給与所得控除を引いた額
  • 給与所得以外の所得:副業の所得(収入-経費)の見積額。雑所得・事業所得・不動産所得など
  • 合計所得金額の見積額:上の合計

副業の所得が年20万円以下で確定申告をしない場合も、合計所得金額の見積額には含めて書きます。


線③:会社に何が見えるか

基礎控除申告書の「給与所得以外の所得」の欄に数字が入れば、会社の給与担当は「副業(または他の所得)がある」と分かります。ただし、

  • 内訳(何の副業か・どこからか)は書かないので分からない
  • 副業の所得が年48万円以下(基礎控除の区分に影響しない範囲)なら、書かなくても基礎控除の額は変わらない。とはいえ申告書は「見積額」を正確に書くものなので、含めて書くのが原則
  • 配偶者控除・配偶者特別控除を受ける人は、合計所得金額が判定に使われるので、副業分を落とすと控除額の誤りになる

「会社にバレたくないから書かない」は、申告書の虚偽記載になり得ます。副業を届け出ていれば、見積額に含めても問題になりません。届け出ていない人は、この欄をきっかけに届け出るのが現実的です(就業規則の「副業禁止」はどこまで有効?)。


副業の形別|年末調整での扱い

副業の形 年末調整 確定申告
業務委託(執筆・制作・物販) 書かない(見積額には含める) 雑所得・事業所得として申告。源泉徴収分を精算
アルバイト(2か所目の給与) 副業先には扶養控除等申告書を出さない(乙欄で源泉徴収)。本業の年末調整には含めない 2か所の源泉徴収票で申告
不動産賃貸 書かない(見積額には含める) 不動産所得として申告
株・FX・暗号資産 書かない(特定口座・源泉ありの株は合計所得金額に含めないことも可) FX・暗号資産は申告

書類の記入例|副業所得30万円の会社員

本業の給与収入450万円(見積)、副業(業務委託)の収入40万円・経費10万円の例。

欄 記入
給与所得の収入金額(見積) 4,500,000円
給与所得の所得金額 収入から給与所得控除を引いた額(申告書の計算表で算出)
給与所得以外の所得の合計額 300,000円(副業の収入40万円-経費10万円)
合計所得金額の見積額 上の2つの合計
扶養控除等申告書・保険料控除申告書 副業に関する記入なし

副業の30万円は年末調整では課税されず、翌年の確定申告で給与と合算して精算します。見積が実額と違っても、確定申告で実額を申告すれば足ります。


10〜11月にやること|副業者の年末調整チェック

  1. 副業の年間所得の見積を出す:1〜9月の実績+10〜12月の見込み。収入-経費
  2. 基礎控除申告書の「給与所得以外の所得」に見積額を書く。内訳は不要
  3. 本業以外の控除証明書(iDeCo・生命保険・地震保険)は本業の年末調整に添付。副業先には出さない
  4. 副業先(アルバイト)には扶養控除等申告書を出さない。2か所に出すと源泉徴収が過少になり、確定申告で追加納付が大きくなる
  5. 1月の確定申告の準備に繋ぐ:年末調整後の源泉徴収票(1月末)を受け取り、副業分と合わせて申告(副業の確定申告、1月にやること)

よくある間違い|3つ

  • 副業の経費を保険料控除申告書に書く:書く欄はない。経費は確定申告で
  • 副業先にも扶養控除等申告書を出す:1社にしか出せない。副業先は乙欄
  • 「年末調整したから確定申告は不要」:年末調整は本業の給与だけ。副業の所得が20万円超なら確定申告、以下でも住民税の申告

税金の精算|年末調整後に確定申告で何が起きるか

年末調整で本業の給与の税額は確定し、源泉徴収票が出ます。確定申告では、その源泉徴収票の数字(給与・控除・源泉徴収税額)をそのまま使い、副業の所得を足して年間の税額を計算し直します。副業分の税金(給与と合算した税率×副業所得)を追加納付するか、副業の源泉徴収(報酬の10.21%)が多ければ還付になります。年末調整で受けた控除を確定申告でもう一度書く必要はなく、源泉徴収票に反映されています。副業の帳簿と申告書を一か所で済ませたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


副業の所得を「見積もれる」状態にしておく

基礎控除申告書の見積額を書くには、副業の収入と経費を9月末時点で集計できる必要があります。月1回の記録があれば5分で済み、なければ10月に1年分を探す作業になります。業務委託の副業は収入の記録が振込とプラットフォームの明細に残るので、集計は難しくありません。案件の相場や年間の見込みは、ランサーズのようなクラウドソーシングの報酬明細から把握できます(受注は就業規則の手続を確認してから)。[PR]


よくある質問

Q1. 見積額を書いて、実際の副業所得が違ったら?

見積なので、確定申告で実額を申告すれば問題ありません。基礎控除の区分が変わるほど違った場合は確定申告で精算されます。

Q2. 副業の所得が年10万円。見積額に書く必要は?

合計所得金額の見積額には含めるのが原則です。基礎控除の額には影響しませんが、申告書は正確に書くものです。

Q3. 会社が「副業があるなら年末調整しない」と言った

本業の給与の年末調整は、他に所得があっても行うのが通常です(給与収入2,000万円超などの例外を除く)。会社の判断で年末調整されなかった場合は、確定申告で全てを精算します。

Q4. 住民税の普通徴収は年末調整で選べる?

選べません。住民税の徴収方法は確定申告書(第二表)または住民税の申告書で選びます。

Q5. 副業先(アルバイト)で年末調整をしてもらうのは?

扶養控除等申告書を出した1社でしか年末調整はできません。主たる給与の本業に出すのが通常で、副業先は乙欄の源泉徴収のまま確定申告で精算します。

Q6. 年末調整の書類に副業のことを書かないのは「隠している」ことになる?

なりません。書く欄がないものを書かないだけです。基礎控除申告書の見積額に含めれば、申告書としては正確です。会社への届出は就業規則の別の話です。


まとめ|書かない・見積額には含める・確定申告で精算する

副業をしている会社員の年末調整は、副業の収入・経費を書く欄がない(所得税法190条は本業の給与だけを精算する)ので書かず、基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」にだけ副業の所得を含め、副業分の税金は翌年の確定申告で精算します。副業先に扶養控除等申告書を出さない、経費を保険料控除申告書に書かない、年末調整で終わったと思わない——この3つを守れば、10月の書類で迷うことはありません。確定申告側は副業の確定申告、1月にやることをどうぞ。


参考にしている主な一次情報:所得税法(昭和40年法律第33号)第190条(年末調整)・第194条(扶養控除等申告書)・第195条の2(配偶者控除等申告書)/国税庁「年末調整のしかた」「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、年末調整の様式・控除額は年分によって変わります。最新の様式は国税庁のサイトでご確認ください。

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