教員の副業で検索する人の多くが本当に知りたいのは「バレるのか」「バレたらどうなるのか」です。この記事はそこだけを扱います。何が許可制で、教育公務員特例法17条の特例がどこまで使えるかは教員の副業はどこまでOK?で整理済みなので、ここでは発覚の経路・処分の標準例・教員ならではの重くなる要素・軽くする唯一の方法を、地方公務員法と人事院の「懲戒処分の指針」から組み立てます。
結論:無許可の副業の標準例は「減給または戒告」。教員は「生徒・保護者」が絡むと一気に重くなる
- 公立教員は地方公務員。副業は地方公務員法38条の許可制(教育に関する仕事は教特法17条の承認)で、無許可なら29条の懲戒(戒告・減給・停職・免職)の対象です。
- 国家公務員向けの人事院「懲戒処分の指針」では、兼業の承認・許可の手続きを怠って兼業を行った職員は「減給又は戒告」が標準例。各教育委員会の指針も同じ骨格です。
- 教員で重くなるのは、生徒・保護者を顧客にした/学校の設備・教材を使った/勤務時間に食い込んだ/虚偽の説明をした場合。軽くなるのは発覚前に自分から申し出た場合だけです。
発覚の経路|多い順に5つ
1. 住民税の通知(最も多い)
副業の所得があると、翌年度の住民税の額が給与だけの場合と合わなくなります。住民税は給与から天引き(特別徴収)されるので、自治体から教育委員会・学校の給与担当に届く「特別徴収税額の決定通知」で差分に気づかれます。確定申告で副業分を「自分で納付(普通徴収)」にする方法はありますが、塾講師のように雇われて働く副業は「給与」なので普通徴収にできない自治体がほとんどです。執筆・講師の報酬(雑所得)なら選べますが、それは許可を取ったうえで手続きを整える人のための仕組みで、無許可を隠す手段ではありません。
2. 保護者・生徒・地域からの通報
教員は地域で顔が知られています。副業先で保護者と会う、生徒が動画を見つける、地域の塾で教えているのを知人が見る——教員ならではの経路で、他の公務員より圧倒的に多いルートです。
3. SNS・発信の特定
匿名のアカウントでも、投稿内容・写真の背景・文体・投稿時刻から本人が特定されます。生徒は教員のSNSを探すのが得意です。収益化しているかどうかに関係なく、学校・生徒が推測できる内容があれば通報の入り口になります。
4. 管理職・同僚の把握
校務分掌の調整、勤務時間の記録、休暇の取り方の変化から「何かしている」と気づかれる経路です。ここで聞かれて虚偽の説明をすると、副業そのものより虚偽が処分の中心になります。
5. 副業先のトラブル
家庭教師・塾の顧客とのトラブル、執筆の納期トラブルで、相手が学校や教育委員会に連絡する経路です。「○○小学校の先生」と名乗っていれば、信用失墜として最も重く扱われます。
処分の標準例と、教員で重くなる要素
標準例(人事院「懲戒処分の指針」・兼業の項)
指針は、兼業の承認・許可を得る手続きを怠って兼業を行った職員は「減給又は戒告」としています。国家公務員の基準ですが、都道府県・政令市の教育委員会の懲戒処分の指針も同じ構造を持っています。
標準例より重くなる場合
| 指針が挙げる要素 | 教員で当たる典型 |
|---|---|
| 動機・態様が極めて悪質、結果が極めて重大 | 長期間・高額/虚偽申告/名義を変えて継続/自校の生徒・保護者を顧客にした |
| 管理・監督の地位にあり職責が高い | 管理職・主任が行った場合 |
| 公務内外に及ぼす影響が特に大きい | 報道された/教員の肩書を使っていた/保護者対応に発展した |
| 過去に類似の処分歴がある | 以前に注意・処分を受けたのに再び行った |
| 複数の異なる非違行為を行っていた | 副業+勤務時間中の作業(35条)+学校のテスト・教材の流用(34条・公物)+生徒情報の利用 |
教員で最も起きやすい重くなり方は、「副業」と「生徒・学校」がつながることです。自校の生徒の家庭教師、学校のプリントを使った教材販売、生徒が写る動画の収益化——副業そのものは減給・戒告でも、これらが重なると停職・免職の領域に入ります。
標準例より軽くなる場合
指針が挙げる要素は「発覚する前に自主的に申し出た」「経緯その他の情状に特に酌量すべきものがある」の2つだけです。すでに無許可でやってしまっている人が処分を軽くする方法は、発覚前に自分から申し出て、許可(17条の承認)申請か中止に切り替えること以外にほぼありません。
発覚までのタイムライン|「去年の副業」はいつ学校に届くか
| 時期 | 何が起きるか | 本人ができること |
|---|---|---|
| 副業をした年(1〜12月) | 所得が発生。支払元が支払調書・給与支払報告書を税務署・自治体に提出する | 止める/許可・承認申請に切り替える/自主申出 |
| 翌年2月16日〜3月15日ごろ | 確定申告。20万円以下でも住民税の申告は必要 | 正しく申告する |
| 翌年5〜6月 | 自治体が「特別徴収税額の決定通知」を送る。給与担当が差に気づく | この前に申し出ていれば「発覚前の自主申出」 |
| 翌年6月以降 | 聞き取り→事実確認→教育委員会が処分を量定 | 事実を正確に説明する。虚偽は副業より重い |
処分以外に失うもの|教員特有のコスト
- 異動・担任・校務分掌:処分歴は人事記録に残り、次年度の配置に影響する
- 保護者・生徒との関係:処分が公表されると学校名が出る自治体があり、保護者対応が続く
- 17条の承認が取りにくくなる:本来通るはずの教育関係の兼業(執筆・講師)も、処分歴があると審査で不利になる
- 私立への転職:処分歴の説明を求められる
いま無許可でやっている人が今日やること
- 止める:継続中の副業は一旦止める。雇われている塾なら退職の意思表示、家庭教師なら契約の終了
- 生徒・学校とのつながりを切る:自校の生徒が相手なら即座に。学校の教材を使っていたなら回収
- 記録を整える:いつから・何を・いくら・誰と。聞かれたときに正確に答えられる状態にする
- 自主的に申し出る:管理職・教育委員会へ。指針上、発覚前の申出は軽くする要素になる唯一の行動
- 17条の承認か38条の許可に切り替えるか、完全にやめるかを決める:教育関係の執筆・講師なら承認へ。自校の生徒相手・営利企業の雇用なら中止
- 税の申告は正しく出す:無申告は脱税と服務違反の二重の問題
副業の所得は、勤め先の年末調整では処理されません。どちらの申告でも、1年分の収入と経費を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]
これから始める人へ|処分にならない設計の3条件
- 報酬が出る活動は全部、先に承認・許可を取る。教育関係の執筆・講師は17条で通りやすい
- 生徒・保護者・学校の設備・学校名を一切使わない。これが「複数の非違行為」への分解を防ぐ
- 雇われない型を選ぶ。塾の雇用は給与=住民税で目立ち、営利企業の従事として許可も出にくい。執筆・教材作成・公的な学習支援は管理しやすい
教育関係の執筆・教材作成の案件は、クラウドソーシングに「教育系ライター」「教材制作」の募集があります。依頼を受けて書く形は17条に乗せやすく、相場と条件を眺めるだけなら許可も費用も要らないので、ランサーズのようなプラットフォームに登録しておくと、申請書の「内容・報酬」欄を具体的に書けます(受注した時点で許可の対象になるので、受けるのは手続き後に)。[PR]
よくある質問
Q1. 普通徴収にすれば本当にバレない?
雑所得なら普通徴収を選べる自治体が多いですが、塾講師などの給与は普通徴収にできないのが通常です。そもそも無許可を隠す目的で使うと、発覚時に重くなる要素(隠蔽)になります。
Q2. 配偶者名義で教材を売れば副業にならない?
名義が家族でも、実態として本人が営んでいれば38条の「自ら営利企業を営む」と評価されます。名義の偽装は「態様が悪質」として重くなる方向に働きます。
Q3. 無報酬のボランティアや趣味の発信は?
報酬が出なければ38条の対象外です。ただし33条(信用)・34条(秘密)・35条(職務専念)は常にかかり、生徒が特定できる発信は無報酬でも処分の対象です。
Q4. 私立教員の場合は?
就業規則に基づく懲戒です。無届の副業だけなら注意・けん責が中心ですが、自校の生徒を相手にした、学校の信用を損ねた、競業(近隣の塾)に当たる場合は重くなります。
Q5. 17条の承認を受けていた執筆の報酬が増えた。再申請は要る?
承認の範囲(相手先・内容・報酬の規模)を超える変更は再申請が原則です。承認書の控えと一緒に変更を申し出てください。
Q6. 既に何年も続けてしまった。今さら申し出ると重くなる?
期間の長さは重くする要素ですが、「発覚前の自主申出」は軽くする要素です。発覚してから同じ期間が判明するより、自分から申し出たほうが結果は軽くなります。
まとめ|「バレるか」ではなく「生徒・学校とつながっているか」「申し出るか」で結果が決まる
教員の無許可副業は、住民税・保護者や生徒からの通報・SNSの特定・管理職の把握・副業先のトラブルのどれかで発覚します。処分の標準例は減給または戒告。生徒・保護者を顧客にした、学校の設備や教材を使った、勤務時間に食い込んだ、虚偽の説明をした——これらが重なると停職・免職の領域に入り、発覚前の自主申出だけが軽くする要素になります。これから始めるなら承認・許可を先に、すでに始めているなら今日申し出る——それが処分を決める分岐です。
参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条・第33条〜第35条・第38条/教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)第17条(いずれもe-Gov法令検索)/人事院「懲戒処分の指針について」(兼業の項および標準例より重く・軽くする場合の考慮要素)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。
※情報は執筆時点のもので、処分は各教育委員会の指針と個別の事情で判断されます。実際に動く前に、所属の管理職・教育委員会の担当にご確認ください。

