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公務員と会社員の副業ルールはどう違う?法律の許可制と就業規則の届出制を「根拠・原則・手続・処分・税金・退職後」の6点で比較 2026

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「会社員は副業解禁なのに、公務員はなぜダメなのか」「公務員は法律で禁止、会社員は自由、と聞いたが本当か」——この2つの疑問は、ルールの置き場所が違うことを知ると一度に解けます。公務員の副業ルールは法律(国家公務員法・地方公務員法)に書かれ、会社員の副業ルールは就業規則(会社ごとの社内規程)に書かれています。法律は国会が変えない限り動かず、就業規則は会社が変えれば動く。「会社員は解禁された」のは法律が変わったからではなく、厚生労働省がモデル就業規則を書き換え、各社が追随したからです。この記事は、公務員と会社員の副業ルールを「根拠・原則・手続・処分・税金・退職後」の6点で並べて比較します。


結論:公務員は「法律で許可制」、会社員は「就業規則で届出制が主流」。共通するのは労働時間と税金

公務員(地方公務員の例) 会社員
ルールの根拠 地方公務員法38条(国家公務員は国家公務員法103条・104条) 就業規則(会社ごと)。法律に副業を禁止する規定はない
原則 許可がなければ禁止。報酬を得て「いかなる事業若しくは事務」にも従事できない 原則自由(就業時間外は労働者の自由)。就業規則で届出・許可・一部禁止を定める会社が多い
誰が決めるか 任命権者(市長・教育委員会など)。基準は人事委員会規則・自治体の要綱 会社。ただし就業規則で全面禁止しても、本業に支障のない副業まで処分するのは難しい
違反したとき 29条の懲戒(戒告・減給・停職・免職)。無許可兼業の標準例は「減給または戒告」 就業規則の懲戒。副業の事実だけで解雇が有効になることは通常少なく、本業への支障・競業・信用毀損が問われる
勤務時間中の副業 35条(職務専念義務)違反が重なる 職務専念義務違反・服務規律違反
労働時間の通算 共通:労働基準法38条。雇われる副業(アルバイト)同士は時間が通算され、法定時間外は割増賃金の対象
税金 共通:副業の所得が年20万円超で所得税の確定申告、20万円以下でも住民税の申告
退職後 38条の2(退職後2年間、古巣への契約等に関する働きかけ禁止)・34条(秘密)が残る 競業避止・秘密保持は個別の合意(誓約書・就業規則)による

比較①:根拠——法律か、就業規則か

公務員:地方公務員法38条は「職員は、任命権者の許可を受けなければ、(略)自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」と定めています。国家公務員は国家公務員法103条(営利企業の役員等・自営の制限)と104条(報酬を得る兼業の承認)です。どちらも法律の条文で、これを変えるには国会の改正が必要です。

会社員:労働基準法にも労働契約法にも「副業を禁止する」規定はありません。就業時間外に何をするかは労働者の自由で、会社が制限できるのは就業規則で定めた範囲、かつその制限が合理的な範囲に限られます。厚生労働省のモデル就業規則は2018年の改定で「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」の規定を削り、「勤務時間外に他の会社等の業務に従事することができる」を前提に届出の規定を置く形に変わりました。あわせて「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が策定され、その後も改定されています。

つまり「公務員は禁止・会社員は解禁」は、法律が変わったのではなく、会社員側のルールの置き場所(就業規則)が更新されたということです。公務員側の法律は、副業解禁の流れの中でも38条の文言自体は変わっていません。


比較②:原則——「許可がなければ禁止」と「原則自由」

公務員は、報酬があれば形を問わず許可の対象です。アルバイトも業務委託も個人事業も、「報酬を得て事業若しくは事務に従事」に当たります。許可の基準は自治体ごとに人事委員会規則や要綱で定められ、「職務の遂行に支障がない」「職務の公正を妨げない」「信用を傷つけない」といった条件が定番です。不動産賃貸や農業など一定規模以下のものを許可不要とする運用や、地域貢献活動を対象にした基準を置く自治体もあります。

会社員は、就業規則がなければ自由です。就業規則があっても、会社が副業を制限できるのは、本業への支障(長時間労働・疲労)、競業、会社の信用毀損、秘密漏えいといった合理的な理由がある場合に限られると考えられています。「全面禁止」の規定があっても、休日に本業と無関係の副業をしたことだけで処分が正当とされることは多くありません。ただし「届出制なのに届け出なかった」は手続違反として注意・けん責の対象になります。


比較③:手続——申請書と届出書

公務員 会社員
書類 営利企業等従事許可申請書(自治体の様式) 副業・兼業届(会社の様式。ないこともある)
書く内容 従事先・内容・期間・時間・報酬・職務との関係・支障がない理由 副業先・内容・時間・(会社によって)収入の見込み
結果 許可/不許可。許可には条件(勤務時間外に限る等)が付く 受理。禁止事由(競業等)に当たれば不可の通知
更新 年度ごと・期間ごとに再申請が必要な自治体が多い 内容が変わったときに再届出

公務員の申請書の書き方は公務員の兼業許可申請の書き方に詳しくまとめています。会社員の届出は、会社が様式を持っていなければ、副業先・内容・時間・本業に支障がない理由を書いたメモを人事に提出すれば足ります。


比較④:処分——懲戒処分と就業規則の懲戒

公務員:無許可の副業は38条違反で、29条1項1号の「法律に違反した場合」に当たり、戒告・減給・停職・免職の懲戒処分の対象です。人事院「懲戒処分の指針」の兼業の項は「減給又は戒告」を標準例とし、自治体も同じ構造の指針を持つのが通常です。勤務時間中の作業・隠蔽・長期高額で重くなり、自主申告で軽くなります。

会社員:就業規則の懲戒規定(注意・けん責・減給・出勤停止・解雇)によります。ただし労働契約法上、懲戒は客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要で、副業の事実だけで解雇が有効とされることは通常少ないと考えられています。問題になるのは、副業による遅刻・欠勤・居眠りなど本業への具体的な支障、競合他社での就労、会社の信用を傷つける行為、秘密の持ち出しです。

一言でいうと、公務員は「無許可」そのものが処分理由になり、会社員は「無届」は手続違反にとどまり、処分の重さは「本業に何が起きたか」で決まります。


比較⑤:共通するもの——労働時間の通算と税金

ここは公務員も会社員も同じです。

  • 労働時間の通算:労働基準法38条は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。本業で週40時間働いた後のアルバイトは法定時間外で、割増賃金の義務は後から契約した側にかかります。副業先が本業の所定労働時間を聞くのはこのためです。業務委託(請負・委任)なら通算はありません
  • 税金:副業の所得(給与以外)が年20万円を超えれば所得税の確定申告、20万円以下でも住民税の申告が必要です。給与の副業は住民税が本業で特別徴収されるのが原則で、普通徴収に切り替えられない自治体が多い。業務委託の所得は普通徴収を選べるのが一般的

「会社員は副業が自由だから税金も楽」ということはありません。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


比較⑥:退職後——法律が残る公務員、合意で決まる会社員

公務員:退職すれば38条は外れて副業・起業は自由ですが、地方公務員法38条の2が「退職後2年間、離職前5年間に在職した部署への契約等に関する働きかけ」を禁じ、34条の秘密を守る義務は退職後も続きます(詳細は公務員の退職後の副業・起業・再就職に制限はある?)。

会社員:退職後の競業避止や秘密保持は、法律ではなく個別の合意(入社時・退職時の誓約書、就業規則の規定)で決まります。合意がなければ原則自由で、合意があっても期間・地域・対象が広すぎるものは無効と判断されることがあります。


「公務員→会社員」「会社員→公務員」で変わること

  • 会社員から公務員になる人:会社員時代に届出だけで続けていた副業は、採用後は38条の許可が必要。採用前に整理するか、採用後に申請する。副業の収入が続く形(ブログ・ストック収入)も、事業として営んでいれば許可の対象
  • 公務員から会社員になる人:在職中に許可を取っていた副業は、転職先の就業規則に合わせて届出に切り替える。38条の2(2年間の古巣への働きかけ禁止)は転職先での営業活動に関わるので、転職先の営業担当と共有する
  • 配偶者が公務員・自分が会社員:ルールは本人ごと。会社員の配偶者の副業に、公務員側の38条は及ばない。ただし「名義を貸して実態は公務員が営む」形は公務員側の38条違反

どちらにも共通する「最初の一歩」

公務員は許可、会社員は届出——入口は違いますが、書く内容は同じです。「何を・どこで・いつ・どれだけ・いくらで」。これを書くには、副業の中身が決まっていなければなりません。執筆・制作・事務などの案件の相場は、ランサーズのようなクラウドソーシングで募集を眺めると把握できます。公務員は受注を許可後に、会社員は届出後にするのが手順です。[PR]


よくある質問

Q1. 公務員も「副業解禁」されたと聞いたが?

38条の文言は変わっていません。変わったのは運用で、地域貢献活動を対象にした許可基準を設ける自治体や、一定の兼業について基準を明確化する動きがあります。「許可制」の枠組みの中での話です。国家公務員については国家公務員の副業解禁はいつから?をどうぞ。

Q2. 会社の就業規則が「副業全面禁止」。従うしかない?

就業時間外の活動を全面的に禁止する規定は、合理的な範囲を超える部分について効力が争われます。ただし無届で始めて発覚すれば手続違反として扱われるので、まず人事に相談し、本業に支障がない形で届け出る道を探るのが現実的です。

Q3. 公務員の「兼業」と会社員の「副業」は言葉が違うだけ?

法律上、公務員側は「営利企業への従事等」「兼業」という言葉を使い、会社員側は厚生労働省のガイドラインで「副業・兼業」とまとめて呼んでいます。指している範囲はほぼ同じで、報酬を得て本業以外の仕事をすることです。

Q4. 資産運用(株・不動産)はどちらも副業?

会社員は就業規則に特段の規定がなければ自由です。公務員は、株式の売買は「事業」に当たらず許可不要ですが、不動産賃貸は規模によって「自ら営利企業を営む」に当たり許可の対象になります(自治体の基準で一定規模以下は許可不要とする運用が多い)。詳細は公務員の不動産・株式投資は副業になる?へ。

Q5. 無収益のブログ・YouTubeはどちらも副業ではない?

報酬がなければ、公務員の38条にも会社員の就業規則の「副業」にも通常当たりません。収益化した時点で、公務員は許可、会社員は届出の対象になります。


まとめ|違いは「法律か就業規則か」、同じなのは「時間と税金」

公務員の副業ルールは法律に置かれた許可制で、無許可そのものが処分理由。会社員のルールは就業規則に置かれ、原則自由の上に届出制が主流で、処分は本業への支障で決まる。一方、労働時間の通算(労基法38条)と税金(20万円ルール・住民税)は両者に共通します。自分のルールの置き場所を確認し、公務員は許可、会社員は届出を先に済ませる——それが、どちらの立場でも最初にやることです。公務員の全体像は公務員の副業ガイド、20万円ルールの詳細は副業の「20万円ルール」を徹底解説|会社員・公務員別をどうぞ。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条・第34条・第35条・第38条・第38条の2/国家公務員法(昭和22年法律第120号)第103条・第104条/労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条(いずれもe-Gov法令検索)/厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」「モデル就業規則」/人事院「懲戒処分の指針について」(兼業の項)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、公務員の許可基準は自治体ごと、会社員のルールは各社の就業規則によります。実際に動く前に、所属の人事担当にご確認ください。

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