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非常勤講師の掛け持ち・塾・家庭教師に許可は要る?パートタイムなら地公法38条も教特法17条も適用外で自由——残るのは時間の通算・学校の情報・届出要綱 2026

キャリア・横断
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公立学校の非常勤講師(時間講師)は、「公務員だから副業禁止」と言われることも「非常勤だから自由」と言われることもあり、どちらが正しいのか分かりにくい立場です。条文で見ると答えは明確で、パートタイムの非常勤講師は地方公務員法38条の適用外、教育公務員特例法17条1項も適用外=兼業に許可・承認は要りません。複数の学校・自治体での掛け持ち、塾講師、家庭教師、執筆——いずれも自由です。ただし、勤務時間の重なり・労働時間の通算・学校の情報(34条)・自治体の届出要綱は残ります。この記事は、地公法22条の2・38条ただし書、教特法17条2項を根拠に、非常勤講師の掛け持ちと副業の線を整理します。正規教員の線は教員の副業はどこまでOK?、会計年度任用職員全般は会計年度任用職員の副業へ。


結論:パートタイム非常勤講師は許可・承認不要。掛け持ちも塾も自由。残るのは「時間・情報・信用・届出」

正規教員(教諭) フルタイム会計年度任用の講師 パートタイム非常勤講師
身分 常勤の教育公務員 22条の2第1項2号 22条の2第1項1号(週の勤務時間が常勤より短い)
教特法17条1項(教育に関する兼職の承認) 必要 必要(17条2項で除外されない) 不要(17条2項:非常勤の講師には適用しない)
地公法38条(報酬を得る副業の許可) 必要 必要(ただし書のかっこ書きで除外から外れる) 不要(非常勤職員として適用除外)
34条(秘密)・33条(信用)・35条(職務専念) 全員に適用
労働時間の通算(労基法38条) 雇われる副業同士は通算

条文で確認する|2つの「適用除外」

地方公務員法38条1項ただし書:「非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない」。パートタイムの非常勤講師は22条の2第1項1号(週の勤務時間が常勤より短い会計年度任用職員)なので、かっこ書きの除外に当たらず、38条の適用がありません。

教育公務員特例法17条2項:「前項の規定は、非常勤の講師(地方公務員法第二十二条の四第一項に規定する短時間勤務の職を占める者及び同法第二十二条の二第一項第二号に掲げる者を除く。)については、適用しない」。つまり、教育に関する兼職・兼業の承認制度(17条1項)も、パートタイムの非常勤講師には適用されません。

2つの条文が同じ構造で、「再任用短時間勤務」と「フルタイム会計年度任用」だけを除外から外しています。週の勤務時間が常勤(通常38時間45分)より短ければ、どちらの許可・承認も要らない、が答えです。


掛け持ちの形別に見る

やりたいこと 許可・承認 残る論点
同じ自治体の別の学校で非常勤講師を兼ねる 不要(任命権者が任用を認める範囲で) 勤務時間が重ならないこと。同一任命権者なら労働時間は同一事業主として管理される
別の自治体・私立学校で非常勤講師を兼ねる 不要 労働時間の通算(別の事業主)。それぞれの学校に他方の勤務時間を伝える
塾講師・予備校講師(雇用) 不要 通算。学校の生徒の情報・評定を塾で使わない(34条)
家庭教師・個人指導(業務委託) 不要 通算なし。勤務校の生徒を教える場合は評定との分離・信用(33条)
教材執筆・教育記事(業務委託) 不要 通算なし。学校の情報を使わない
自分で塾・教室を開業 不要(38条の「自ら営利企業を営む」も適用外) 勤務校の生徒の勧誘は信用の問題

残る線①:勤務時間の重なりと労働時間の通算

複数の学校で非常勤講師を掛け持ちする場合、時間割が重ならないのは当然として、労働基準法38条の通算が働きます。A市の学校で週15時間、B市の学校で週12時間、塾で週10時間なら合計37時間で法定内ですが、これに塾の事務作業や研修が加わって週40時間を超えれば、超えた分は後から契約した事業主の時間外労働になります。各勤務先に他の勤務時間を正確に伝えてください。業務委託(家庭教師・執筆)は通算の対象外です。


残る線②:学校の情報——34条は非常勤講師にも適用される

34条(秘密を守る義務)は一般職の職員全員に適用され、非常勤講師も例外ではありません。勤務校の生徒の成績・評定・進路・家庭の情報を、塾や家庭教師で使うことはできません。また、勤務校の生徒を塾に勧誘する、塾の生徒の学校での評定に関わる、といった形は33条(信用失墜)と評定の公正の問題になります。「勤務校の生徒は塾・家庭教師で教えない」を原則にしておくと、この線は問題になりません。


残る線③:自治体の届出要綱

38条の許可は不要でも、自治体によっては会計年度任用職員の兼業について「届出」を要綱で定めています。服務の管理(勤務時間の重なりの確認・通算)のためで、許可ではありません。任用時の説明書類か教育委員会の担当に「兼業の届出の要否」を確認し、要るなら届け出てから始めてください。届出義務があるのに無届なら、副業そのものではなく手続違反として扱われます。


任用が変わると線が変わる

  • フルタイム会計年度任用の講師(常勤講師)になった:22条の2第1項2号=38条の許可制・教特法17条の承認制に変わる。続けている塾・家庭教師は、任用が変わる前に承認・許可を申請する
  • 正規採用された:同上。採用前に整理するか、採用後に承認・許可を取る
  • 定年退職後に再任用短時間勤務で講師をする:再任用短時間勤務の職は除外から外れるので許可制(再任用公務員の副業)。非常勤講師(会計年度任用)として働くなら自由

週の時間の組み立て例|3つのパターン

パターン 学校(雇用) 塾(雇用) 業務委託 通算後の法定時間
学校2校+塾 A校15h+B校10h 12h — 37h=法定内。塾の事務・研修で40h超に注意
学校1校+家庭教師・執筆 20h — 制限なし 20h=余裕。業務委託は通算なし
学校3校 15h+12h+12h — — 39h。移動時間は労働時間ではないが体力の限界に注意

通算が気になるなら、雇われる時間を週30時間前後に抑え、残りを業務委託で組むと、法定時間外の問題も各校への説明も簡単になります。


非常勤講師の収入設計|「雇われる時間」と「通算されない仕事」を分ける

非常勤講師の報酬は時間単価で、コマ数が年度ごとに変わります。収入の柱を安定させるなら、雇われる仕事(学校・塾)は週の時間の上限を決め、残りを業務委託(教材執筆・教育記事・オンライン指導)で組むと、労働時間の通算に縛られず、年度の変動も吸収しやすくなります。案件の相場はランサーズのようなクラウドソーシングで「教材 作成」「教育 記事」などと検索すると把握できます(届出要綱があれば届出の後に)。[PR]

オンラインで教える仕事は、雇用契約ではなく「講師登録」という形をとるところもあります。たとえばよみかきそろばんくらぶのオンライン先生募集は、自宅からZoomで個別に指導する形で、雇用契約でも業務請負契約でもない講師登録という契約形態です(源泉徴収は行われないため、所得額によっては自分で確定申告をすることになります)。月曜〜土曜の7〜21時の中から可能な時間を選ぶ形で、応募には大卒であること・長期(最低3年以上)続けられることといった条件があり、Zoomに必要な機材や回線は自分で用意します。在職中の方は、契約の形にかかわらず先に承認・許可の手続きを済ませてください。条件や募集状況は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]



税金|給与が複数になる。確定申告が基本

複数の学校・塾に雇われれば給与が2か所以上になり、年末調整されない側の給与収入と他の所得の合計が年20万円を超えれば所得税の確定申告が必要です。家庭教師・執筆は雑所得または事業所得で、経費を引いた所得が対象。20万円以下でも住民税の申告は要ります。非常勤講師は「主たる給与」が年度で変わることがあるので、源泉徴収票の甲欄・乙欄を確認してください。複数の源泉徴収票と支払調書をまとめて申告書に落とす作業は毎年発生します。帳簿と申告書を一か所で済ませたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


よくある質問

Q1. 校長に「非常勤でも公務員だから塾はダメ」と言われた

パートタイムの非常勤講師は38条の適用外で、教特法17条1項も適用されません。任用通知書の区分(パートタイム)と条文を示して教育委員会に確認してください。自治体の届出要綱があればそれに従います。

Q2. 週の勤務時間が常勤とほぼ同じ。自分はどちら?

任用通知書に「フルタイム」「パートタイム」の区分が書かれています。週の通常の勤務時間が常勤と同一ならフルタイム(2号)で許可制、1時間でも短ければパートタイム(1号)です。

Q3. 勤務校の生徒から家庭教師を頼まれた

法律上の禁止はありませんが、評定との分離と信用の問題があります。断るか、少なくとも教科・評定に関わらない形にし、学校に一言伝えておくのが安全です。

Q4. 私立学校の非常勤講師は?

地方公務員法も教特法も適用されず、学校法人の就業規則によります。届出制が多いので就業規則を確認してください。

Q5. 国立大学附属学校の非常勤講師は?

国立大学法人の職員で公務員ではありません。法人の就業規則・兼業規程に従います。非常勤でも兼業の届出を求める法人が多いので、任用時の書類を確認してください。

Q6. 掛け持ちしていることを各学校に言う必要は?

許可・承認は不要ですが、勤務時間の重なりの確認と労働時間の通算のため、各学校(任命権者)に他の勤務先と時間を伝えておくのが通常の運用です。隠す理由はなく、言わないと時間割の調整で困るのは自分です。


まとめ|パートタイムなら「2つの適用除外」で自由。守るのは時間・情報・信用・届出

パートタイムの非常勤講師は、地方公務員法38条ただし書と教育公務員特例法17条2項の2つの適用除外により、掛け持ち・塾・家庭教師・執筆・開業に許可も承認も要りません。残るのは勤務時間の重なりと労働時間の通算、学校の情報(34条)、信用(33条)、自治体の届出要綱の4つ。任用がフルタイム・正規・再任用に変わると許可制に戻るので、変わる前に整理してください。教員全体の線引きは教員の副業はどこまでOK?をどうぞ。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第22条の2・第22条の4・第33条・第34条・第35条・第38条/教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)第17条/労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、兼業の届出の要否・運用は教育委員会ごとに異なります。実際に動く前に、教育委員会の担当にご確認ください。

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