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公務員が会社の役員になる・法人化するのは副業?役員は無報酬でも38条の許可、国家公務員は103条で原則禁止、株主だけなら自由——家族の会社・相続・副業の法人化の線と登記で発覚する仕組み 2026

キャリア・横断
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「副業が育ってきたので法人化したい」「配偶者の会社の役員に名前を入れてほしいと言われた」「親の会社を継ぐので取締役に」——公務員がこうした場面で最初に確認すべきは、地方公務員法38条1項が「営利企業の役員を兼ねること」を許可制にしていることです。報酬の有無は関係なく、役員に就くこと自体が許可の対象。国家公務員は103条でさらに原則禁止(人事院の承認で例外)。一方、株主になるだけ(出資のみ・役員に就かない)は対象外で、ここが法人との関わり方の線になります。この記事は、地方公務員法38条・国家公務員法103条・会社法の役員の概念を根拠に、公務員と法人の関係を「役員・株主・従業員・実質経営者」の4つの立場で整理し、副業の法人化・家族の会社・相続の場面での線を示します。農業・家業の承継は公務員の農業・家業の手伝いは副業になる?へ。


結論:役員(取締役・代表・監査役・合同会社の業務執行社員)は無報酬でも許可が必要。株主・出資者だけなら対象外。「名前だけ」も役員。実質的に経営していれば名義にかかわらず「自ら営む」

法人との関わり 地方公務員(38条) 国家公務員(103条・104条)
株主・出資者(役員に就かない・経営に関与しない) 対象外 対象外
取締役・代表取締役・監査役・合同会社の業務執行社員(無報酬でも) 許可が必要(「営利企業の役員を兼ねる」) 原則禁止。人事院規則14-8の基準で承認を受けた場合のみ可
顧問・相談役(報酬あり) 「報酬を得て事務に従事」として許可 103条の「顧問」に当たれば原則禁止。104条の許可
従業員として雇われる(報酬あり) 「報酬を得て事務に従事」として許可 104条の許可
名義は家族、実質は自分が経営 「自ら営利企業を営む」として許可(実態で判断) 同上
非営利法人(NPO・一般社団)の理事 「営利企業」でなければ役員兼業の規制外。報酬があれば「報酬を得て事務に従事」で許可 104条の許可(報酬あり)

線①:38条の「役員」——報酬は関係ない

地方公務員法38条1項は「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね」ることを許可制にしています。条文は「報酬を得て」という限定をこの部分に付けていません。つまり、無報酬で名前だけ取締役に入る形でも、許可が要ります。「報酬をもらっていないから副業ではない」は、役員については通りません。

役員の範囲は、株式会社の取締役・代表取締役・監査役・会計参与、合同会社の業務執行社員(代表社員)、その他人事委員会規則で定める地位(顧問・評議員など)です。


線②:国家公務員の103条——「原則禁止」

国家公務員法103条1項は「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない」と定め、2項で人事院規則の定めにより所轄庁の長の申出で人事院の承認を得た場合に適用除外としています。地方の「許可制」より抑制的な書き方で、承認の基準(人事院規則14-8)は「職務との関係」「公正さ」「信用」を厳しく見ます。家業の承継・相続など本人の意思によらない場合が承認の典型です。


線③:株主になるのは自由——「経営に関与しない」が条件

株式を保有する・合同会社に出資する(業務執行社員にならない)だけなら、役員でも自営でもなく、38条・103条の対象外です。上場株式の保有と同じです。ただし、

  • 株主として経営に口を出し、実質的に経営判断をしていれば「自ら営利企業を営む」と評価され得る
  • 配当を受けるのは投資の所得で問題ないが、「株主への業務委託」の形で報酬を受ければ「報酬を得て事務に従事」
  • 自治体の取引先・許認可の相手方の株主になる形は、33条(信用・公正)の問題

線④:場面別——法人化・家族の会社・相続

①副業が育ったので法人化したい

自分が代表になる法人化は「営利企業の役員を兼ねる」+「自ら営利企業を営む」で、許可の対象。許可が出る見込みは、元の副業(執筆・制作など)の許可が出ている自治体でも低めです(事業規模の拡大と見られる)。現実的な選択肢は、

  • 個人事業のまま続ける(許可の範囲内で)
  • 法人化は退職後に。退職の1年前から定款案・事業計画を作っておけば、退職直後に設立できる
  • 家族が代表になり自分は出資のみ(実態として自分が経営しない形。名義だけなら「自ら営む」)

②配偶者の会社の役員に名前を入れる

無報酬でも許可が要ります。「名前だけ」は役員登記の事実で発覚します(登記は公開情報)。辞任するか、許可を申請するか。許可は「実際の経営に関与しない・職務と利害関係がない」なら出る余地があります。

③親の会社を相続・承継で取締役に

相続による承継は本人の意思によらないので、許可・承認が出やすい類型です。相続を知った時点で人事に相談し、役員に就くなら許可を取る。経営を家族・従業員に委ね、自分は勤務時間を使わないことを申請書に書きます(農業・家業の承継)。


4つの立場の自己診断

問い はい→
登記簿に自分の名前が役員として載っているか 許可が必要(無報酬でも)
法人から報酬(役員報酬・給与・業務委託料)を受けているか 許可が必要
法人の経営判断(仕入・販売・人事・資金)を自分がしているか 「自ら営む」として許可が必要(名義が誰でも)
出資しているだけで、上の3つがいずれも「いいえ」か 対象外。ただし自治体の取引先なら信用の問題を確認

許可申請の書き方|役員版

  1. 法人の概要:商号・所在地・事業内容・資本金・役員構成
  2. 自分の地位:取締役/監査役/業務執行社員。代表権の有無。報酬の有無・額
  3. 経営への関与:日常の経営・業務執行に関与しないこと。株主総会・取締役会への出席頻度(勤務時間外)
  4. 経緯:相続・承継・家族の依頼など
  5. 利害関係がないこと:法人が自治体と取引・許認可の関係にないこと

申請書の基本は公務員の兼業許可申請の書き方へ。


発覚の経路|役員は「登記」で分かる

役員は法人登記簿に氏名が載り、誰でも取得できる公開情報です。自治体が職員の兼業を調査する際、登記情報で役員兼業が判明する例があります。住民税の経路(役員報酬があれば給与所得として本業に伝わる)もあります。無報酬・名前だけでも、登記の事実で38条違反が確定します。「知らないうちに登記されていた」場合も、就任承諾書に署名している以上は本人の行為です。


副業を「法人化しない」で伸ばす形

公務員の副業は、個人事業(許可の範囲内の執筆・制作・講師)で続けるのが現実的で、法人化は退職後の選択肢です。収入の柱を作るなら、許可の出やすい業務委託の案件を積む形。案件の相場はランサーズのようなクラウドソーシングで把握できます(受注は許可の後に)。[PR]


税金|役員報酬は給与、配当は配当所得

許可を得て役員報酬を受ければ給与所得(2か所給与)で、本業と合わせて確定申告。株主として配当を受ければ配当所得(源泉徴収あり・申告は選択)。個人事業の副業の所得は雑所得・事業所得。複数の所得が混ざる年は、帳簿と申告書を一か所で済ませたい場合に弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


よくある質問

Q1. 合同会社の「社員」は役員?

合同会社の社員は原則として業務執行権を持つ(業務執行社員)ので、役員に当たります。定款で業務執行社員を限定し、自分は出資のみの社員とする形なら、役員ではなく出資者として扱われる余地があります。

Q2. NPO法人の理事は許可が要る?

NPOは営利企業ではないので「営利企業の役員」の規制外ですが、報酬を受ければ「報酬を得て事務に従事」として許可の対象。無報酬の理事は多くの自治体で届出または対象外の運用です。

Q3. 妻が代表の会社で、自分が実質的に経営している

名義にかかわらず「自ら営利企業を営む」と評価されます。許可を取るか、経営から手を引くか。

Q4. 役員を辞任すれば問題は消える?

辞任の登記をすれば以後は役員ではありません(辞任の意思表示だけでなく登記まで)。ただし無許可で役員だった期間は38条違反として残ります。発覚前に自ら申し出て辞任するほうが処分は軽くなります。

Q5. 退職後に法人化するなら、在職中に何ができる?

法人の設立・役員就任は退職後に。在職中は、定款案・事業計画・取引先の候補・資金計画の準備(報酬の出ない活動)まで。許可の範囲内の個人事業で実績を作っておくと、退職後の立ち上げが早くなります。


まとめ|役員は無報酬でも許可。株主だけなら自由。名義より実態。法人化は退職後が現実的

公務員が法人に関わるとき、地方公務員法38条は「営利企業の役員を兼ねること」を報酬の有無にかかわらず許可制にし、国家公務員法103条は原則禁止(人事院の承認で例外)。株主・出資者として経営に関与しない形は対象外で、名義が家族でも実質的に経営していれば「自ら営む」。副業の法人化は在職中は許可が出にくく退職後が現実的、家族の会社の役員は無報酬でも許可、相続・承継は出やすい類型として人事に相談。役員は登記で発覚するので、「名前だけ」は通りません。公務員全体は公務員の副業ガイドをどうぞ。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第33条・第38条/国家公務員法(昭和22年法律第120号)第103条・第104条/人事院規則一四―八(営利企業の役員等との兼業)/会社法(平成17年法律第86号)第329条(役員の選任)・第590条・第591条(持分会社の業務執行)/商業登記法(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」「配当所得」。

※情報は執筆時点のもので、役員兼業の許可基準・NPO理事等の扱いは自治体ごとに異なります。実際に動く前に、所属の人事担当にご確認ください。

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