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派遣社員の副業ルールは正社員とどう違う?読むのは派遣元の就業規則、派遣先の「副業禁止」は及ばない——秘密・競業・労働時間の通算・待機期間の線 2026

キャリア・横断
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派遣社員の副業は「正社員より自由」と思われがちですが、ルールの置き場所が違うだけで、自由度が高いとは限りません。派遣社員の雇用主は派遣会社(派遣元)なので、副業のルールは派遣元の就業規則に書かれています。派遣先(働いている会社)の就業規則は関係ありません。一方で、派遣先の情報を副業で使わないこと、労働時間の通算、待機期間(派遣契約が切れている間)の扱いなど、派遣ならではの論点があります。この記事は、派遣社員の副業ルールを正社員と比較しながら、労働者派遣法・労働基準法・労働契約法の条文から整理します。


結論:ルールは「派遣元の就業規則」。派遣先のルールは及ばない。通算と秘密は正社員と同じ

正社員 派遣社員
雇用主 勤務先の会社 派遣会社(派遣元)
副業ルールの所在 勤務先の就業規則 派遣元の就業規則(派遣先の就業規則は適用されない)
原則 就業時間外は自由。就業規則で届出・許可・一部禁止 同じ。派遣元の多くは届出制か、規定なし(=自由)
派遣先との関係 — 派遣先の就業規則の副業規定は及ばないが、派遣先の秘密・競業は派遣元との契約・個別の誓約で縛られる
労働時間の通算 共通:労働基準法38条。雇われる副業同士は通算
待機期間(派遣契約と次の契約の間) — 派遣元との雇用が続いていれば就業規則が適用される。雇用が終了していれば自由
税金 共通:副業所得20万円超で確定申告、以下でも住民税申告

線①:雇用主は派遣元——副業ルールは派遣元の就業規則を読む

労働者派遣は、派遣元が雇用する労働者を派遣先の指揮命令の下で働かせる仕組みです(派遣法2条1号)。雇用契約の相手は派遣元で、給与を払うのも、就業規則を適用するのも派遣元です。派遣先は指揮命令をするだけで、派遣先の就業規則に「副業禁止」と書いてあっても、派遣社員には適用されません。

したがって、副業を始める前に読むのは派遣元の就業規則です。派遣元の規定は大きく3パターンに分かれます。

  • 届出制:副業先・内容・時間を派遣元に届ける。労働時間の通算管理のために置かれていることが多い
  • 規定なし:就業時間外の活動は自由。ただし派遣先の秘密・競業、労働時間の通算は別途残る
  • 許可制・一部禁止:競合他社での就労や派遣先の業務と重なる副業を禁止する例。正社員の就業規則と同じ考え方で、合理的な範囲を超える全面禁止は効力が争われる

線②:派遣先の「秘密」と「競業」——就業規則は及ばないが、誓約で縛られる

派遣先の就業規則は派遣社員に適用されませんが、派遣社員は派遣元との雇用契約・派遣元が派遣先と結ぶ契約の中で、派遣先の営業秘密・個人情報を漏らさない義務を負うのが通常です(派遣元の就業規則や個別の誓約書)。派遣先で知った顧客情報・技術情報・未公開の事業計画を副業で使えば、派遣元との契約違反であり、不正競争防止法上の問題にもなります。

競業については、派遣先の競合他社で副業すること自体を禁じる法律はありませんが、派遣元の就業規則や派遣契約で制限されている例があります。派遣先の業務と重なる副業(同じ顧客に同じサービスを個人で売るなど)は、派遣先からの苦情で派遣契約の打ち切りにつながる形で問題になります。


線③:労働時間の通算——派遣は「派遣元の所定時間」で数える

労働基準法38条により、派遣元での労働時間と副業先(雇われる場合)の労働時間は通算されます。本業(派遣)で週40時間働いた後の副業は法定時間外で、割増賃金の義務は後から契約した側にかかります。派遣元の就業規則が届出制を取る理由の多くはここです。派遣先が労働時間を管理していますが、法律上の使用者は派遣元なので、通算の管理責任も派遣元にあります。

業務委託(請負・委任)の副業は通算の対象外です。時間に縛られずに組めるのは正社員と同じです。


線④:待機期間・契約終了後——「雇用が続いているか」で変わる

派遣契約が切れて次の派遣先が決まるまでの「待機期間」は、派遣元との雇用契約が続いているかどうかで扱いが変わります。

  • 無期雇用派遣(常用型):待機中も派遣元との雇用は続いているので、派遣元の就業規則が適用される。待機中に他社でアルバイトをするなら届出制に従う
  • 有期雇用派遣(登録型)で契約が終了:雇用が終了していれば、派遣元の就業規則は及ばない。次の契約までの間の仕事は自由。ただし派遣元から「登録状態」で次の案件の紹介を受けている場合、紹介される案件と副業の時間が重なれば紹介を受けられないだけ
  • 雇用保険の基本手当を受給中:副業の収入・就労日数を申告する必要がある(不正受給の問題)。派遣の話ではなく雇用保険の話

正社員との違いをもう一段細かく見る

論点 正社員 派遣社員
副業を届け出る相手 勤務先の人事 派遣元の担当者(派遣先に言う必要はないが、通算管理で派遣先に伝わることはある)
競業の範囲 勤務先の競合 派遣先の競合(派遣契約・誓約で)。派遣元の競合(他の派遣会社で働く)は派遣元の就業規則次第
住民税 勤務先で特別徴収 派遣元で特別徴収。副業が給与なら派遣元に伝わる。派遣先には伝わらない
処分 就業規則の懲戒 派遣元の就業規則の懲戒。実際には派遣契約の打ち切り・次の案件を紹介されない形で影響が出る
年収要件(日雇派遣) — 副業側が「30日以内の派遣」なら、副業側の派遣元で年収500万円以上などの例外要件が見られる

派遣社員が副業を始める手順

  1. 派遣元の就業規則を読む:副業の条項があるか。届出制なら様式をもらう
  2. 派遣先との誓約書を読み返す:秘密保持・競業の範囲。派遣先の情報・顧客を副業で使わない
  3. 時間を設計する:雇われる副業は通算。業務委託なら通算なし。派遣の所定労働時間と重ねない
  4. 派遣元に届け出る(届出制の場合)。規定がなくても、通算管理の観点から一言伝えておくと派遣先との関係で揉めにくい
  5. 税金を自分で申告する

執筆・制作・事務代行などの業務委託の案件は、ランサーズのようなクラウドソーシングで募集を眺めると相場が把握できます。派遣先のスキル(事務・経理・CAD・翻訳など)をそのまま活かせる案件が多いのが派遣社員の強みですが、派遣先の情報・成果物は使わないことが前提です。[PR]


派遣社員に多い副業の形と、それぞれの線

副業の形 派遣元の規定 派遣先との関係 時間の通算
土日に別の派遣会社で短期派遣 「他社派遣」の制限の有無を確認 競合先でなければ問題なし 通算あり。30日以内なら副業側の派遣元で日雇派遣の例外要件(年収500万円以上等)を見られる
平日夜に飲食・小売のアルバイト 届出制なら届出 なし 通算あり。派遣の所定時間が週40時間なら全て法定時間外
在宅の事務代行・データ入力(業務委託) 届出制なら届出 派遣先の顧客・資料を使わない 通算なし
派遣先で使っているスキル(CAD・翻訳・経理)で個人受注 届出制なら届出。競業の制限を確認 派遣先の顧客に営業しない。成果物を流用しない 通算なし
ブログ・SNS・動画の収益化 規定なしなら自由。届出制なら収益化時に届出 派遣先の内部情報を書かない 通算なし

派遣社員の副業で実際にトラブルになるのは、派遣元の規定違反より「派遣先の情報を使った」「派遣先の勤務時間中に副業の作業をした」の2つです。派遣先は副業そのものを止められませんが、この2つは派遣契約の打ち切りの理由になります。


税金|派遣元の給与+副業。住民税は派遣元に伝わる

副業の所得が年20万円を超えれば所得税の確定申告、20万円以下でも住民税の申告が必要です。派遣元の給与は年末調整され、住民税は派遣元で特別徴収されるのが原則。副業が給与(アルバイト)なら住民税の通知で派遣元に伝わり、業務委託の所得は普通徴収を選べるのが一般的です。派遣先に住民税の情報は行きません。

有期雇用派遣で年の途中に派遣元が変わると、複数の派遣元からの源泉徴収票を集めて確定申告することになります。副業の分と合わせて帳簿と申告書を一か所で済ませたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


よくある質問

Q1. 派遣先の上司に「副業禁止だ」と言われた

派遣先の就業規則は派遣社員に適用されません。副業のルールは派遣元の就業規則です。ただし派遣先の業務時間中の副業作業や、派遣先の情報を使う副業は別問題なので、その点は守ってください。

Q2. 2社の派遣会社に登録して、平日と土日で別の派遣先で働くのは?

可能です。両方が雇用なので労働時間は通算され、後から契約した側に割増賃金の義務がかかります。どちらの派遣元にも他方の所定労働時間を伝えてください。派遣元の就業規則で「他の派遣会社での就労」を制限している場合はそれに従います。

Q3. 無期雇用派遣の待機中にアルバイトをしたい

派遣元との雇用は続いているので、派遣元の就業規則の副業規定に従います。待機中の休業手当との関係も派遣元に確認してください。

Q4. 派遣先の仕事で覚えたスキルで個人事業を始めるのは?

スキルそのものは自分のものです。ただし派遣先の顧客リスト・社内資料・成果物を持ち出して使えば秘密保持違反です。派遣先の顧客に直接営業することは派遣契約の打ち切りや損害賠償の問題になります。

Q5. 副業がバレたら派遣契約を切られる?

派遣元の就業規則に違反していなければ、副業を理由に契約を切ることは正当化されにくいです。ただし派遣先の苦情(業務への支障・競業)があれば、派遣先が派遣契約を更新しないことはあり得ます。届出制なら届けておくことが最善の防御です。


まとめ|読むのは「派遣元の就業規則」、守るのは「派遣先の秘密」と「時間の通算」

派遣社員の副業ルールは派遣元の就業規則に置かれ、派遣先の就業規則は及びません。ただし派遣先の秘密・競業は派遣元との契約・誓約で縛られ、雇われる副業は労基法38条で労働時間が通算されます。待機中は派遣元との雇用が続いているかで扱いが変わります。派遣元の規定を読み、派遣先の情報を使わず、時間を重ねず、届け出て始める——正社員と本質は同じで、読む場所が違うだけです。会社員全体のルールとの比較は公務員と会社員の副業ルールはどう違う?をどうぞ。


参考にしている主な一次情報:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第2条・第35条の4/同法施行令 第4条/労働基準法 第38条/労働契約法(いずれもe-Gov法令検索)/厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、派遣元の就業規則・派遣先との誓約の内容は個別に異なります。実際に動く前に、派遣元の担当者にご確認ください。

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