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看護師の退職後の副業・開業に制限はある?公立は38条の2「古巣への営業2年」、民間は誓約書、全員に保助看法42条の2の守秘義務——訪問看護ステーション開業の要件まで 2026

キャリア・横断
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看護師の退職後の進路として多いのが、訪問看護ステーションの開業、民間企業(保険・医療機器・製薬)の職、美容クリニック、健診機関、そして「看護師の経験を活かした執筆・講師」です。公立病院を退職した看護師には地方公務員法38条の2(退職後2年間の古巣への働きかけ禁止)と34条(秘密)が残り、民間病院を退職した看護師には退職時の誓約書(秘密保持・競業避止)が残ります。そしてどちらにも共通して残るのが、保健師助産師看護師法42条の2の守秘義務です。この記事は、看護師の退職後の副業・起業・再就職の線を「公立と民間の違い」「資格の規律」「訪問看護ステーション開業の要件」で整理します。在職中の線は看護師の副業はどこまでOK?へ。


結論:退職後の副業・起業は自由。公立は38条の2と34条、民間は誓約書、全員に42条の2。開業は指定基準を満たせば看護師が管理者になれる

公立病院を退職 民間病院を退職
副業・起業・掛け持ちの制限 なし(38条は退職で外れる) なし(就業規則は退職で外れる)
古巣への働きかけ 38条の2:退職後2年間、離職前5年間に在籍した組織への契約等に関する働きかけ禁止 法律上の規制なし。誓約書に競業避止があれば期間・範囲による
秘密 34条(永続)+42条の2(永続) 誓約書・就業規則の秘密保持+42条の2(永続)
元患者への営業 42条の2・34条の範囲で不可(病院で知った情報を使う形) 42条の2・誓約書の範囲で不可

線①:公立病院の看護師に残る38条の2

地方公務員法38条の2第1項は、退職して営利企業等の地位に就いた元職員が、離職前5年間に在籍していた執行機関の組織等の職員に対し、その自治体とその企業等との契約・処分に関する事務で離職前5年間の職務に属するものについて、離職後2年間、働きかけをすることを禁じています。看護師の場合、当たりやすい形は次のとおりです。

  • 退職後に入った医療機器・医療材料の会社の営業として、元の公立病院の購買・看護部に売り込む
  • 自分で設立した訪問看護ステーションの利用者獲得のために、元の病院の退院支援部門に個人的に依頼する(地域連携の正規の手続を通す形は別)
  • 人材紹介会社に入り、元同僚の引き抜きを依頼する(106条の2に倣った規制の対象になり得る)

元の病院と無関係の顧客・地域で働く分には、38条の2は関係ありません。公立病院の看護師の退職後は公務員の退職後の副業・起業・再就職に制限はある?も参照してください。


線②:全員に残る42条の2——守秘義務は「看護師でなくなった後」も

保健師助産師看護師法42条の2は「保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする」と定めています。退職後の副業・起業で問題になる形は次のとおりです。

  • 元患者の病歴・家庭の事情を、訪問看護・シッター・保険営業・執筆で使う
  • ブログ・SNS・書籍で、患者が特定できるエピソードを書く(名前を伏せても病院名・時期・症例で特定できれば同じ)
  • 元の病院の内部情報(院内の事故・人間関係)を転職先・メディアに提供する

「元看護師」と名乗って医療の知識を売ること自体は自由です。売れるのは一般化した知識と公開情報までです。


線③:民間病院の誓約書——競業避止は「合理的な範囲」で有効

民間病院では、退職時に秘密保持・競業避止の誓約書を求められることがあります。競業避止(退職後○年間、半径○km以内の同業で働かない等)は、法律ではなく合意で、期間・地域・対象が広すぎるものは無効と判断されることがあります。一方、秘密保持は合理的な範囲で有効で、42条の2と重なります。誓約書に署名する前に、退職後の進路(近隣の訪問看護・クリニック)と矛盾しないかを確認してください。署名した後に争うより、署名前に範囲を相談するほうが現実的です。


線④:訪問看護ステーションの開業——看護師が管理者になれる

訪問看護ステーションは、介護保険法・健康保険法に基づく指定を都道府県(または市)から受けて運営します。指定基準(厚生労働省令)では、管理者は原則として保健師または看護師で、看護職員の人員基準(常勤換算で一定数以上)が定められています。個人では指定を受けられず、法人(株式会社・合同会社・NPO等)の設立が必要です。

開業の流れは、法人設立→事業所の確保→人員の確保(自分を含む看護職員)→指定申請→指定→開業。公立病院を退職した看護師が開業する場合、元の病院からの紹介を受けること自体は地域連携の正規の手続で問題ありませんが、元同僚への個人的な依頼は38条の2の形に注意が必要です。


退職後の進路別|残る線

進路 38条の2(公立のみ) 42条の2・34条・誓約書 備考
訪問看護ステーション開業 元の病院への個人的な依頼は不可 元患者の情報を使わない 法人設立・指定申請が必要
美容クリニック・健診機関に就職 関係なし 同上 自由
医療機器・製薬・保険会社に就職 元の病院への営業は2年間不可 同上 営業以外の役割なら問題なし
執筆・講師・監修(個人) 関係なし 特定できる症例を書かない 自由
産業保健師・企業の健康管理室 関係なし 同上 保健師免許が要る職が多い
看護教員・養成校の講師 関係なし 同上 教員の要件(実務経験・研修)を確認

退職までの逆算|看護師版

  1. 2〜3年前:退職後の柱を決める。開業なら管理者の要件(看護師免許・実務経験)と地域の需要を調べる。執筆・講師なら、許可(公立は38条)・届出(民間は就業規則)を取って実績を作る
  2. 1年前:開業なら法人設立の準備・資金計画・事業所の候補。転職なら人事の正規ルートで。公立は取引先への個人的な就職活動を避ける(自治体の求職規制)
  3. 退職時:民間は誓約書の範囲を確認してから署名。公立は38条の2の対象になる行為を整理
  4. 退職〜2年:公立出身は元の病院への個人的な働きかけを避ける。全員、元患者の情報を使わない

医療記事の監修・執筆・看護学生向け教材の案件は、ランサーズのようなクラウドソーシングで「看護師 監修」「医療 記事」などと検索すると相場が把握できます(在職中の受注は許可・届出の後に)。[PR]

資格を「書く・監修する」側で使う道もあります。みんなの記事監修は、資格を持つ専門家として登録し、記事監修の依頼を受ける形のサービスで、登録時に本人確認と資格証の確認があります。監修料は報酬(雑所得または事業所得)になり、勤務時間として通算されないため、夜勤や不規則勤務と組み合わせやすいのが特徴です。在職中の方は、本業側の許可・届出の手続きを先に済ませてください。報酬や依頼の条件は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]



税金|退職後の最初の1年

クリニック・企業に就職すれば給与所得、開業すれば法人からの役員報酬(給与)と法人の決算、執筆・講師は雑所得または事業所得。退職した年は退職所得の扱い(退職所得の受給に関する申告書を出していれば通常は申告不要)を確認してください。個人で執筆・講師を続けるなら開業届と青色申告の選択で控除が変わります。退職後の所得は年末調整をしてくれる先がないことが多く、1年分の収入と経費を自分で集計します。帳簿と申告書を一か所で済ませたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


よくある質問

Q1. 退職後すぐ、元の病院の近くで訪問看護ステーションを開業してもいい?

法律上の制限はありません(民間なら誓約書の競業避止の範囲を確認)。公立出身なら、元の病院への利用者紹介の依頼は地域連携の正規手続で行い、元同僚への個人的な依頼は避けてください。

Q2. 元患者から「退職後も看てほしい」と頼まれた

退職後に個人で看護行為を請け負う形は、訪問看護の指定なしでは保険の対象にならず、事故時の責任も個人で負います。ステーションに所属して正規の手続で担当するか、断るのが現実的です。在職中に知った情報で対応する形は42条の2の問題です。

Q3. 退職後にSNSで「元看護師」として発信したい

自由です。ただし、患者が特定できるエピソード・元の病院の内部情報は42条の2(公立は34条も)で不可。一般化した知識に限ってください。

Q4. 医療機器メーカーに転職した。元の公立病院に営業に行くのは?

退職後2年間は38条の2により、離職前5年間に在籍した組織への契約等に関する働きかけができません。営業担当でない役割で入るか、2年経過後に公的な調達手続で対応します。

Q5. 退職後に准看護師として働く場合も42条の2は?

42条の2は保健師・看護師・准看護師すべてに適用され、資格を失った後も続きます。

Q6. 開業資金の融資で「元公立病院勤務」は有利?

融資の審査は金融機関の判断で、法律上の優遇はありません。事業計画・自己資金・人員確保の見込みが見られます。元の病院の名前を事業計画に書くこと自体は問題ありませんが、元の病院からの紹介を「確約」として書く形は38条の2の観点からも避けてください。


まとめ|自由になるのは「許可・就業規則」、残るのは「古巣への営業(公立)」と「患者の情報(全員)」

看護師の退職後の副業・起業・再就職は自由で、訪問看護ステーションの開業も指定基準を満たせば看護師が管理者になれます。公立出身には38条の2(退職後2年間の古巣への働きかけ禁止)と34条、民間出身には誓約書、全員に保助看法42条の2の守秘義務(永続)が残ります。元の病院への個人的な営業と、元患者の情報の利用だけを避ければ、規制に触れることはありません。在職中の線引きは看護師の副業はどこまでOK?をどうぞ。


参考にしている主な一次情報:保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第42条の2/地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条・第38条・第38条の2/指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(訪問看護の人員・管理者の基準)(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「退職金と税」「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、訪問看護の指定基準の細目・自治体の再就職規制の範囲・誓約書の内容は個別に異なります。実際に動く前に、所属の人事担当と指定権者(都道府県等)にご確認ください。

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