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自衛官の物販・せどり・ハンドメイド販売は副業になる?「仕入れて売る」は自衛隊法62条の自営で承認が出にくい、不用品の処分は副業ではない——63条の形に組み替える 2026

キャリア・横断
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自衛官の副業で「物販・せどり・ハンドメイド販売」は、他の職業以上に引っかかりやすい形です。理由は条文にあります。自衛隊法62条1項は「自ら営利企業を営んではならない」と定め、承認を受けた場合だけ適用除外(2項)。物販は「仕入れて売る」=商業そのもので、反復継続すれば「自ら営利企業を営む」に正面から当たるからです。執筆や講師のような「報酬を得て事業に従事する」(63条)とは条文が違い、承認のハードルも違います。この記事は、自衛隊法62条・63条を根拠に、自衛官の物販・せどり・ハンドメイド・不用品販売の線を「どこから営利企業か」「承認の見込み」「営内・演習・駐屯地との関係」「税金」で整理します。自衛官の副業全般は自衛官の副業規則、承認申請は自衛官の副業承認申請の書き方へ。


結論:不用品の処分は副業ではない。仕入れて売る(せどり・転売)は62条の「自ら営利企業を営む」で承認が出にくい。ハンドメイドは規模次第

形 条文 見立て
自分の不用品をフリマアプリで売る —(営利目的の事業ではない) ◎ 副業に当たらない。税金も生活用動産は原則非課税
安く仕入れて高く売る(せどり・転売)を反復継続 62条1項「自ら営利企業を営む」 ✕ 無承認は違反。承認は出にくい類型
ハンドメイド作品を継続的に販売 規模により62条(事業)または63条(報酬を得る事業に従事) △ 小規模なら承認の余地。規模が大きければ62条
ネットショップを開設して商品を売る 62条1項 ✕ 承認が出にくい
家族名義のネットショップを実質的に運営する 62条1項(実態で判断) ✕ 名義を変えても「自ら営む」
家族が営む店を無報酬で手伝う —(報酬なし・自ら営まない) ○ 実態が自分の事業でなければ対象外

条文で確認する|62条と63条は「形」が違う

自衛隊法62条1項は「隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない」と定め、2項で「防衛省令で定める基準に従い行う防衛大臣又はその委任を受けた者の承認を受けた場合には、適用しない」としています。63条は「報酬を受けて(略)営利企業以外の事業を行う場合には、防衛省令で定める基準に従い行う防衛大臣の承認を受けなければならない」です。

  • 62条=自分が事業主になる形(会社の役員・自営)。原則禁止で、承認は例外
  • 63条=他人の事業に報酬を得て関わる形(執筆・講師・アルバイト等、営利企業以外の事業)。承認制

物販・せどり・ネットショップは、自分が仕入れ・販売・利益の帰属主体になるので62条の「自ら営利企業を営む」です。執筆や講師のように「頼まれて報酬をもらう」63条の形とは、条文上の位置づけが違います。承認基準(防衛省令)は職務への支障・公正さ・信用を見ますが、62条の自営は「隊員が商売を営む」ことそのものへの抑制が強く、承認の前例も限られます。


「営利企業を営む」の線|不用品の処分とどこで分かれるか

自分が使っていた物を売るのは、営利を目的とする事業ではありません。線が引かれるのは次の要素です。

  • 仕入れの有無:売るために買ったものを売れば「商業」。自分で使うために買って不要になったものを売るのは処分
  • 反復継続:月に何度も、継続的に出品している
  • 利益の意図:差益を狙っている。限定品を買って転売する形は典型
  • 規模:在庫を持つ、出品数が多い、売上が継続的にある

「月に1〜2回、不要になった装備品や私物を売る」は処分。「毎週セール品を仕入れてフリマアプリで売る」はせどり=営利企業です。ハンドメイドは、材料費を回収する程度の小規模なら承認の余地がありますが、作品を継続的に販売して利益を上げる形は自営です。


自衛官に特有の3つの注意

  1. 営内・駐屯地での作業:営内居住の隊員が居室で出品・梱包・発送の作業をすれば、勤務時間外でも「隊の施設を私的営利に使う」形で問題になる。営舎内の通信・物品管理の規則にも触れ得る
  2. 装備品・官品の販売:官品(支給された装備・被服)は売れない。私物の装備品でも、部隊名・階級が分かるものの販売は品位を保つ義務(58条:隊員としての信用を傷つけ、自衛隊の威信を損する行為の禁止)の問題。官品の横流しは窃盗・横領
  3. 演習・災害派遣・海外派遣との両立:数週間〜数か月の不在がある職業で、在庫を抱える物販は出荷・返品対応が止まり、購入者とのトラブルになる。承認基準の「職務に支障がない」の観点でも不利

発覚の経路|物販は「記録が残る」

物販は銀行口座・決済サービス・プラットフォームに全取引が残り、税務上の所得として計上される形です。発覚の経路は次の順です。

  1. 住民税の通知:物販の所得(事業所得・雑所得)を確定申告すると、翌年6月の住民税の通知で部隊の給与担当に伝わる。普通徴収を選べば回避できる場合があるが、承認を取っていない時点で違反
  2. 申告しない場合の税務調査:プラットフォームの取引データは税務当局が把握し得る。無申告は所得税の問題(加算税)が別に生じる
  3. 同僚・SNS:出品者名・発送元・SNSでの宣伝から特定される
  4. 購入者とのトラブル:返品・未発送の苦情が部隊に届く

処分の見立て

無承認の自営は62条違反で、懲戒処分(46条:免職・降任・停職・減給・戒告)の対象です。自衛隊の懲戒の運用は人事院の指針とは別の防衛省の基準によりますが、無承認の兼業・自営は処分事例として公表されることがあり、規模が大きい・長期・隠蔽・官品が絡む場合は重くなります。発覚前に自ら申し出ることは、処分を軽くする方向に働きます。


承認を取りたいなら|物販より「62条に当たらない形」に組み替える

物販そのものの承認は出にくいので、現実的な選択肢は次の2つです。

  1. 不用品の処分にとどめる:仕入れをしない・反復継続しない。これは副業ではない
  2. 63条の形に組み替える:ハンドメイドなら「作品の制作を受注する(頼まれて作って報酬を受ける)」形、物販の知識なら「執筆・監修・講師」の形。63条の承認は62条より通りやすい類型。執筆・制作の案件の相場はランサーズのようなクラウドソーシングで募集を眺めると把握できる(受注は承認の後に)[PR]

承認申請の書き方は自衛官の副業承認申請の書き方に詳しくまとめています。


仕分け表|「売る」行為を5つの要素で自己診断する

要素 処分(副業でない) 自営(62条)
売る物の出どころ 自分が使っていた・もらった 売るために買った・作った
頻度 不定期・年に数回 毎週・毎月、継続的
在庫 ない ある(次に売る物を持っている)
利益の意図 処分できればよい 差益を狙う・価格を調べて仕入れる
広告・店舗 ない ショップ名・SNS宣伝・固定客

右の列に2つ以上当てはまれば、自営と見られる前提で考えてください。「まだ小さいから」は、発覚時には「反復継続していた」と評価されます。


税金|物販の所得は「事業所得または雑所得」。不用品は非課税

自分の生活用動産(衣類・家具・家電など)の売却は所得税が非課税です(貴金属・美術品等で1点30万円を超えるものは除く)。一方、仕入れて売る物販の利益は事業所得または雑所得で、年20万円を超えれば所得税の確定申告、20万円以下でも住民税の申告が必要です。承認を得て行う場合は、売上・仕入・送料・手数料の帳簿を残します。帳簿と申告書を一か所で済ませたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


よくある質問

Q1. 趣味で集めたコレクションを売るのは?

自分で楽しむために集めたものを処分するのは営利企業ではありません。ただし、売るために集めていた(仕入れ)と見られる規模・頻度なら自営です。1点30万円超の美術品・貴金属は売却益が課税対象になります。

Q2. 妻の名義でネットショップをやれば?

実態として自分が仕入れ・出品・発送をしていれば「自ら営利企業を営む」です。名義で判断されません。妻が自分で営む店を無報酬で手伝う程度なら対象外です。

Q3. 退職前提なら無承認でもいい?

在職中は62条が適用されます。退職前の無承認自営が発覚すれば、退職前に懲戒処分を受けることがあります。退職後の物販は自由なので、在職中は仕入れをせずに準備(市場の研究・出品の練習は不用品で)に留めてください。

Q4. 予備自衛官・即応予備自衛官は?

自衛隊法75条により、62条・63条は予備自衛官等には適用されません。本業の勤務先の規定に従います。詳細は予備自衛官の副業へ。

Q5. 承認を取ってハンドメイドを売ることはできる?

基準と運用は部隊・時期で異なり、ここで「出る」「出ない」は断言できません。規模(材料費の回収程度か、利益を上げる事業か)と形(受注制作か、在庫を持つ販売か)を整理して申請し、判断を仰ぐのが唯一の方法です。申請前に不用品の処分で出品の手順を練習しておく分には副業に当たりません。


まとめ|「仕入れて売る」は62条の自営。不用品の処分か、63条の形に組み替える

自衛官の物販・せどり・ネットショップは、自衛隊法62条1項の「自ら営利企業を営む」に当たり、無承認は違反、承認は出にくい類型です。自分の不用品の処分は副業ではなく税金も非課税。物販の知識や制作の技能を活かすなら、63条の「報酬を得て事業に従事」(受注制作・執筆・講師)の形に組み替えて承認を取るのが現実的です。営内での作業・官品の販売・演習との両立は自衛官特有の注意点。全体像は自衛官の副業規則をどうぞ。


参考にしている主な一次情報:自衛隊法(昭和29年法律第165号)第46条・第58条・第62条・第63条・第75条(e-Gov法令検索)/国税庁「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、承認基準の運用・懲戒の基準は防衛省令・部隊の運用によります。実際に動く前に、部隊の人事担当にご確認ください。

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