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看護師の副業はどこまでOK?公立は地公法38条・民間は就業規則、全員に労基法38条と守秘義務の線引き2026

キャリア・横断
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「看護師は副業していいのか」への答えは、勤め先が公立か民間かで根拠が変わります。公立病院の看護師は地方公務員なので地方公務員法38条の許可制、民間病院・クリニックの看護師は就業規則。そして全員に共通でかかるのが、労働基準法38条の労働時間の通算と、保健師助産師看護師法42条の2の守秘義務です。この記事は、この4つの条文を軸に「どこまでOKか」「何が処分・トラブルになるか」を仕分けます。


結論:看護師の副業の線は「身分」で1本、「全員共通」で2本

誰にかかるか 根拠 中身
①許可制 公立病院(自治体立)の看護師=地方公務員 地方公務員法38条1項 任命権者の許可なく、営利企業の役員・自営・報酬を得て事業や事務に従事してはならない。違反は29条の懲戒(戒告・減給・停職・免職)
②就業規則 民間病院・クリニック・施設の看護師、国立病院機構などの法人職員 各法人の就業規則 「禁止」「許可制」「届出制」のどれかが書いてある。勤務時間外の活動への制約は限定的に解釈されるのが一般的だが、本務への支障・信用・競業に当たれば懲戒の対象
③労働時間の通算 全員(雇われて働く副業の場合) 労働基準法38条1項 事業場が違っても労働時間は通算される。本業+副業で週40時間・1日8時間を超えた分は時間外労働の扱いになる
④守秘義務 全員(退職後も) 保健師助産師看護師法42条の2 正当な理由なく、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。看護師でなくなった後も同様

看護師の副業で「許されるか」を決めるのは①②、「続けられるか・安全か」を決めるのは③、「一発で終わるか」を決めるのは④です。順に見ていきます。


線①:公立病院の看護師は地方公務員=許可制

都道府県立・市立などの自治体立病院に勤める看護師は地方公務員です。地方公務員法38条1項は、任命権者の許可を受けなければ「営利企業の役員を兼ねる」「自ら営利企業を営む」「報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事」してはならないと定めています。条文の射程は広く、単発の夜勤バイトも、看護系メディアでの執筆も、報酬が出る限り原則として許可の対象です。

許可の基準は38条2項により人事委員会規則(人事委員会のない自治体は自治体の規則)で定められ、一般に職務との利害関係がないこと・職務の遂行に支障がないこと・信用を損なわないことの3点で審査されます。他院での看護業務は「職務に支障」「疲労」の面で許可が出にくい一方、単発の講師・執筆・研究協力のような類型は通りやすい、というのが実務の傾向です。自治体によって基準の運用が違うので、人事担当に現行の規則と様式を確認してから動いてください。

なお、条文上は非常勤職員は38条の対象外(同条1項ただし書き)ですが、会計年度任用職員など身分によって扱いが異なるため、自分の任用形態を先に確認するのが確実です。公務員全体の考え方は公務員の副業ガイドに、不動産・執筆などの特例は公務員副業特例完全攻略にまとめています。


線②:民間・法人の看護師は就業規則=「書いてある形」で決まる

民間病院・クリニック・介護施設、国立病院機構や日赤・済生会などの法人に勤める看護師には38条はかかりません。代わりに就業規則が線です。確認するのは「兼業・副業」の条項がどの形かです。

  • 届出制:届け出れば可。最も動きやすい
  • 許可制:申請して承認を得る。審査の観点は公立とほぼ同じ(支障・信用・競業)
  • 禁止:規定としては存在する。ただし勤務時間外の私生活に対する使用者の制約は限定的に解釈されるのが一般的な考え方で、本務への支障・信用の毀損・競業(近隣の医療機関で働く等)に当たらない限り懲戒の有効性は争われやすい。とはいえ「禁止と書いてあるから無視する」は現実的でなく、規定がある以上は人事に相談して記録を残すのが安全

民間ならではの注意点が1つあります。同じ地域の医療機関で働く副業は「競業」として見られやすいことです。患者・取引先・スタッフの重なりが生じるため、禁止規定がなくても信用の問題になりえます。


線③:労働時間は通算される——看護師の副業で一番見落とされる条文

労働基準法38条1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。つまり本業で週40時間働いている人が、別の病院で雇われて働くと、その時間はすべて時間外労働の扱いになります。効いてくる場面は3つです。

  1. 割増賃金:後から契約した側(通常は副業先)が、通算して法定時間を超える部分の割増賃金を負担する整理が一般的。副業先がこれを嫌って「雇用ではなく業務委託」にしたがる理由がここにある
  2. 36協定の上限:時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)は通算で見る。夜勤明けに副業の日勤を入れる設計は、上限に抵触しやすい
  3. 安全配慮:本業側にも副業を含めた健康管理の責任が生じる。だからこそ本業は副業の時間を把握したがる=届出制・許可制の根拠

この条文があるため、「雇われる副業」(他院の夜勤バイト、施設の日勤)は制度上も体力上も重く「雇われない副業」(執筆、監修、講師、オンライン相談)は通算の対象外で軽い、という構造になります。看護師の副業で執筆・監修が勧められるのは、単価の問題というより、この38条の構造によるものです。


線④:守秘義務——副業で一発退場になるのはここ

保健師助産師看護師法42条の2は、保健師・看護師・准看護師が「正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」と定め、看護師でなくなった後も同様としています。副業で危ないのは、悪意の漏洩ではなく「事例」として書いてしまうことです。

  • ブログ・SNS・執筆で、患者が特定できる情報(疾患+時期+地域+年齢の組み合わせなど)を出す
  • 「勤務先の病院では〜」と内部の運用を書く
  • 監修・相談の副業で、本業の患者の情報を使って答える

守秘義務違反は、就業規則の副業規定とは別に、法律の違反として処分・法的責任の対象になります。副業で医療の経験を書く・話すときは、個別の事例ではなく一般化した知識として扱うこと、勤務先を特定させないことが最低ラインです。


仕分け表|看護師の副業を4本の線で見る

副業 公立(①) 民間(②) 時間通算(③) 守秘(④) 見立て
他院・施設での夜勤/日勤バイト 許可が出にくい 届出・許可が要る。競業に注意 通算される(重い) △ 体力と上限規制の両面で重い。月1〜2回の単発までが現実的
医療・健康系メディアの執筆・記事監修 許可の対象だが通りやすい類型 届出で済むことが多い 雇用でなければ対象外 事例の扱いに注意 ◎ 看護師の副業で最も線の内側
講師・研修(看護学校、企業の健康研修) 単発・休日なら通りやすい 同上 雇用形態による ○ 勤務先の名前を出さない設計で
オンライン健康相談・セミナー 許可の対象 届出・許可 対象外(委託の場合) 診断・処方に踏み込まない・個別事例を使わない ○ 医療行為との線引きが別途必要
美容・健康商品の販売(ネットワーク型含む) 「営利企業を営む」で厳しい 信用・競業で止まりやすい 患者を顧客にしない ✕ 看護師の肩書を使った販売は信用の問題になる
資産運用・小規模な不動産賃貸 事業・事務ではない(規模による) 通常は対象外 対象外 ◎ ただし公立は規模の目安を自治体規則で確認

処分・トラブルになる形|4つの典型

  1. 無許可・無届で他院に勤める:①②の違反。住民税の額の差で発覚することが多い(副業の所得があると給与だけのときと合わなくなる)
  2. 夜勤明けの副業で事故・ミス:③の問題。本業側の安全配慮にも関わるため、発覚すると副業そのものが止められる
  3. SNS・執筆で患者が特定できる記述:④の違反。副業の可否以前に法律違反
  4. 看護師の肩書で物販・勧誘:信用失墜。同僚・患者を顧客にした時点で重くなる

逆に言えば、手続きを踏み、雇われない型を選び、事例を書かず、肩書を売らない——この4つを守る副業は、公立でも民間でもトラブルになりにくい形です。


線の内側で始めるなら|看護師向けの順番

  1. 就業規則(または自治体の規則)の兼業条項を読む。届出制・許可制・禁止のどれかを確認し、人事に一言入れる
  2. 雇われない型から入る。執筆・監修・講師は③の通算にかからず、体力の消耗も小さい
  3. 事例を書かない設計にする。「看護師として知っている一般知識」を書く。勤務先・患者が特定できる要素は入れない
  4. 雇われる副業は最後に、単発で。入れるなら本業の時間外上限と休息を先に計算する

執筆・監修の案件は、クラウドソーシングに「看護師監修」「医療ライター」の募集が常時あります。相場と募集条件を眺めるだけなら許可も費用も要らないので、ランサーズのようなプラットフォームに登録しておくと、届出・許可申請の「内容・報酬」欄を具体的に書けます(受注した時点で届出・許可の対象になるので、受けるのは手続き後に)。[PR]

資格を「書く・監修する」側で使う道もあります。みんなの記事監修は、資格を持つ専門家として登録し、記事監修の依頼を受ける形のサービスで、登録時に本人確認と資格証の確認があります。監修料は報酬(雑所得または事業所得)になり、勤務時間として通算されないため、シフト勤務や不規則な勤務と組み合わせやすいのが特徴です。在職中の方は、本業側の許可・届出の手続きを先に済ませてください。報酬や依頼の条件は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]



税金|副業の所得は自分で申告する

届出・許可を取って報酬を受け取り始めたら、申告は自分でやることになります。副業の所得は、勤め先の年末調整では処理されません。所得税の確定申告が必要かどうかは金額によります(給与以外の所得が年20万円を超えれば必要)が、住民税の申告は原則として必要です。どちらの場合も、1年分の収入と経費を自分で集計することになります。帳簿づけと申告書の作成をまとめて行いたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]

他院で雇われて働く副業は「給与」なので、本業と合わせて2か所給与になります。このときの申告ラインは、年末調整されない側の給与収入と他の所得の合計が20万円を超えるかどうかで判定します。


よくある質問

Q1. 看護師の単発バイト(スポット勤務)は副業?

雇われて働く以上、副業です。公立なら許可、民間なら就業規則の手続きが要り、労働時間は本業と通算されます。紹介会社経由でも雇用主は勤務先の医療機関なので、通算の扱いは変わりません。

Q2. 医療行為に当たらないオンライン相談なら自由?

副業規定の対象であることは変わりません(報酬が出る活動)。加えて、相談の中で診断・処方に踏み込まないこと、本業の患者情報を使わないこと(42条の2)が条件です。

Q3. 退職して派遣・パートで複数掛け持ちするのは?

本業がなくなれば副業規定はありませんが、労働時間の通算(③)と守秘義務(④)は残ります。掛け持ちの合計時間を自分で管理する必要があります。

Q4. 看護師であることをプロフィールに書いていい?

資格を名乗ること自体は問題ありません。問題になるのは「勤務先の特定」「患者の事例」「肩書を使った販売・勧誘」です。資格は書き、勤務先は書かない、が基本線です。

Q5. 副業がバレる経路は?

最も多いのは住民税です。副業の所得があると住民税の額が給与だけのときと合わず、給与担当が気づきます。普通徴収(自分で納付)を選ぶ方法はありますが、手続きを踏まない副業を隠す目的で使うと、発覚時に「隠蔽」として重く見られます。


まとめ|「身分で1本、全員共通で2本」の線を先に引く

看護師の副業は、公立なら地方公務員法38条の許可、民間なら就業規則——ここで「できるか」が決まります。そのうえで、労働時間の通算(労基法38条)が「雇われる副業」を重くし、守秘義務(保助看法42条の2)が「事例を書く副業」を危険にします。線の内側は、手続きを踏んだうえでの執筆・監修・講師のような雇われない型。体力と法律の両方で、看護師にいちばん合う形です。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条・第38条/労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条・第38条/保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第42条の2(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、許可・届出の運用は勤務先・自治体ごとに異なります。実際に動く前に、所属の人事担当にご確認ください。

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