PR

職務専念義務と副業|公務員が守るべき線引き

キャリア・横断
記事内に広告が含まれています。

公務員が副業を考えるとき、許可と並んで必ず押さえておくべきなのが「職務専念義務」です。「勤務時間外にやるなら関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、実は副業と職務専念義務の関係は、思っている以上に奥が深いものです。ここを正しく理解しておかないと、許可を得た副業でも、思わぬところで義務違反になりかねません。

この記事では、職務専念義務とは何か、副業とどう関わるのか、そして公務員が守るべき具体的な線引きを整理します。安心して副業を続けるために欠かせない、基本の「守り」の知識をまとめました。

  1. 結論:職務専念義務は「勤務時間中は本務に集中する」義務。副業はこれを侵さない範囲で
  2. 職務専念義務とは|基本を理解する
  3. 副業で職務専念義務違反になりやすい場面
    1. 勤務時間中に副業の作業をする
    2. 勤務時間中に副業の連絡・電話に対応する
    3. 副業の疲労で本務に集中できない
  4. 服務の3義務における職務専念義務の位置づけ
  5. 場面別に見る○×判断|どこからが違反か
  6. 働き方別のチェックポイント|テレワーク・交代制・会計年度任用職員
    1. テレワーク・在宅勤務の場合
    2. 交代制勤務・当直がある場合
    3. 会計年度任用職員・非常勤の場合
  7. 守るべき線引き|チェックポイント
  8. 職務専念義務と「許可」の関係
  9. 職務専念義務違反のリスク
  10. よくある質問
    1. Q. 昼休みに副業の作業をするのは職務専念義務違反ですか?
    2. Q. 勤務時間中に副業の急な連絡が来たらどうすればいいですか?
    3. Q. 職場のパソコンで副業の調べ物をするのはダメですか?
    4. Q. 副業で疲れて本務に集中できないのは、義務違反ですか?
    5. Q. 職務専念義務は許可さえあれば免除されますか?
    6. Q. 職務専念義務が免除される場合はありますか?
    7. Q. フレックスタイム制の場合、どの時間が「勤務時間中」になりますか?
    8. Q. 通勤時間や出張の宿泊先での副業作業は問題ありませんか?
  11. まとめ|「勤務時間中は本務、副業は時間外」を徹底する
  12. 【関連記事】

結論:職務専念義務は「勤務時間中は本務に集中する」義務。副業はこれを侵さない範囲で

まず結論です。職務専念義務とは、公務員が勤務時間中、その職務にのみ専念しなければならないという義務です(地方公務員法・国家公務員法に規定)。副業との関係で言えば、副業は「この職務専念義務を侵さない範囲で行う」ことが大原則になります。

具体的には、次のような線引きになります。

  • 勤務時間外に副業をする:○ 職務専念義務は勤務時間中の義務なので、時間外なら基本的に問題ない
  • 勤務時間中に副業の作業をする:× 職務専念義務違反にあたる
  • 副業の疲れで本務に支障が出る:× 間接的に職務専念義務に関わる

つまり、職務専念義務を守るカギは「勤務時間中は本務に集中し、副業を持ち込まない」こと。そして「副業が本務の遂行に支障を与えない」ことです。公務員の副業の全体像は公務員ができる副業の範囲もあわせて確認してください。

職務専念義務とは|基本を理解する

職務専念義務は、公務員の服務の根幹をなす義務の一つです。公務員は全体の奉仕者として、勤務時間中はその職務の遂行に全力を注ぐことが求められます。これは、税金で支えられる公務の性質上、当然に求められるものです。

この義務は、単に「サボらない」というだけでなく、勤務時間中の注意力や労力を、すべて本来の職務に向けるという意味を持ちます。したがって、勤務時間中に副業に関わる行為をすることは、たとえ短時間でも職務専念義務に反する恐れがあります。

副業で職務専念義務違反になりやすい場面

許可を得た副業であっても、次のような場面では職務専念義務違反になり得ます。具体的に見ていきましょう。

勤務時間中に副業の作業をする

最も分かりやすい違反です。勤務時間中に副業のメールに返信する、原稿を書く、取引先とやり取りするなどは、職務専念義務に反します。副業の作業は、必ず勤務時間外に行いましょう。

勤務時間中に副業の連絡・電話に対応する

副業先からの電話やメッセージに勤務時間中に対応するのも、注意が必要です。緊急でない限り、対応は休憩時間や勤務時間外にずらすべきです。副業の連絡が勤務中に頻繁に入る状態は避けましょう。

副業の疲労で本務に集中できない

直接的な違反ではありませんが、副業で夜遅くまで働き、勤務中に居眠りをしたり集中力を欠いたりすれば、結果的に職務専念義務に関わる問題になります。副業は本務に支障を与えない範囲で、体力管理をしながら行うことが大切です。

服務の3義務における職務専念義務の位置づけ

公務員の副業を考えるうえで必ず登場するのが、「服務の3義務」と呼ばれる基本ルールです。職務専念義務は、その中の一つとして位置づけられます。3つの義務は適用される場面が異なるため、整理して押さえておくと判断に迷いにくくなります。

義務 適用される時間 副業との関わり
職務専念義務 勤務時間中 勤務中に副業を持ち込まない・本務に支障を出さない
信用失墜行為の禁止 勤務時間外も含め常時 職の信用を傷つける副業(公序良俗に反する業種等)はNG
守秘義務 勤務時間外も含め常時(退職後も) 職務で知った情報を副業に使わない・書かない

ここで注意したいのは、職務専念義務が「勤務時間中」の義務であるのに対し、信用失墜行為の禁止と守秘義務は勤務時間外にも及ぶという点です。「時間外だから何をしてもよい」わけではなく、副業の内容や情報の扱いには常に気を配る必要があります。3つの義務はそれぞれ観点が違うため、副業を始める前に「時間(職務専念)・内容(信用失墜)・情報(守秘)」の3方向からセルフチェックする習慣をつけると安心です。

場面別に見る○×判断|どこからが違反か

「この場面は大丈夫なのか」と迷いやすい具体例を、○×で整理します。あくまで一般的な考え方であり、最終判断は勤務先の規程・運用によりますが、目安として役立ててください。

場面 判断 理由
帰宅後や休日に副業の作業をする 勤務時間外。職務専念義務は及ばない
昼休みに自分のスマホで副業の確認をする 原則○ 休憩時間は義務が及ばないが、職場設備の使用や長時間の作業は避ける
勤務の合間の手すきの時間に副業のメールを返す × 手すきでも勤務時間中。職務専念義務違反にあたり得る
当直・宿直の待機時間に副業の原稿を書く × 待機時間も勤務時間として扱われるのが一般的
テレワーク中に「誰も見ていないから」と副業をする × 在宅でも勤務時間中は本務に専念する義務がある
年次休暇を取得した日に副業のイベントに参加する 原則○ 休暇中は勤務時間ではない。ただし許可の要否と本務への影響は別途確認
出張の移動時間(勤務扱い)に副業の作業をする × 勤務時間として整理される移動中は本務関連に限る

共通する判断軸はシンプルで、「その時間が勤務時間として扱われるかどうか」です。勤務時間なら副業には一切触れない、勤務時間外なら副業をしてよい(ただし許可・信用失墜・守秘の観点は別途チェック)——この軸で考えれば、ほとんどの場面は自分で判断できます。

働き方別のチェックポイント|テレワーク・交代制・会計年度任用職員

働き方が多様になった今、職務専念義務との付き合い方も働き方によって注意点が変わります。自分の勤務形態に合わせて確認しておきましょう。

テレワーク・在宅勤務の場合

在宅勤務では、勤務と私生活の境界があいまいになりがちです。自宅にいても、勤務時間として登録されている時間は職務専念義務の対象です。「ちょっとだけ副業の作業を」という誘惑が生まれやすい環境だからこそ、勤務時間中は副業関連のアプリや資料を開かない、副業用の連絡はミュートにするなど、物理的に切り離す工夫が有効です。むしろ在宅勤務者は、勤務実態への疑念を持たれないよう、出勤時以上に線引きを厳格にする意識が求められます。

交代制勤務・当直がある場合

看護職や公安職など交代制勤務の職場では、夜勤明けや当直の待機時間の扱いに注意が必要です。待機時間は「何もしていないように見える時間」でも勤務時間として扱われるのが一般的で、その間の副業作業は職務専念義務違反になり得ます。また、夜勤明けに副業を入れて疲労を蓄積させると、次の勤務での集中力低下という形で本務に跳ね返ります。交代制の人ほど、副業のスケジュールは体力の回復を優先して組みましょう。

会計年度任用職員・非常勤の場合

パートタイムの会計年度任用職員は、営利企業への従事等の制限が常勤職員より緩やかに整理されています。ただし、職務専念義務は「勤務時間中」に適用される義務なので、勤務形態にかかわらず、勤務している時間帯は本務に専念する必要があります。「非常勤だから勤務中も自由」ということにはならない点に注意してください。詳しくは会計年度任用職員の副業ルールで解説しています。

守るべき線引き|チェックポイント

職務専念義務を守るための、具体的なチェックポイントを整理します。

  1. 副業の作業は勤務時間外だけにする:勤務時間中は一切、副業に関わらない
  2. 職場の設備・備品を副業に使わない:職場のパソコンや電話、時間を副業に使わない
  3. 副業の連絡は勤務時間外に対応する:勤務中の私的な連絡対応を最小限に
  4. 体力を管理し、本務に支障を出さない:副業で無理をして本務がおろそかにならないように

これらを守れば、許可を得た副業を、職務専念義務に反することなく続けられます。逆に、これらを軽視すると、せっかく許可を得た副業でも問題になりかねません。

職務専念義務と「許可」の関係

職務専念義務と、副業の許可は、別々の観点です。混同しないよう整理しておきましょう。

  • 許可:そもそも副業(営利企業への従事等)をしてよいかの承認。事前に得る必要がある
  • 職務専念義務:許可の有無にかかわらず、勤務時間中は本務に専念する義務。常に守る

つまり、許可を得た副業であっても、職務専念義務は別途守らなければなりません。逆に、職務専念義務を守っていても、無許可の副業は許可の問題として残ります。この2つは、どちらも公務員が副業をするうえで欠かせない、車の両輪のような関係です。副業の許可の取り方は兼業許可申請の書き方を参考にしてください。

職務専念義務違反のリスク

職務専念義務に反すると、どうなるのでしょうか。義務違反は、服務規律の違反として、懲戒処分の対象になり得ます。処分の重さは、違反の程度や態様によって変わりますが、軽く見てよいものではありません。

特に、勤務時間中に継続的に副業をしていた、職場の設備を私的に使っていた、といった悪質なケースは、重い処分につながる恐れがあります。「少しくらいなら」という油断が、大きなリスクを招くことを心に留めておきましょう。だからこそ、副業と本務の時間・場所をはっきり分けることが、自分を守ることにつながります。

よくある質問

Q. 昼休みに副業の作業をするのは職務専念義務違反ですか?

昼休みなどの休憩時間は、原則として職務専念義務が及ばない時間なので、休憩時間に副業の作業をすること自体は問題になりにくいと考えられます。ただし、職場の設備を使う、周囲に迷惑をかけるなどは避けるべきです。また、休憩時間の使い方に関する職場のルールがあれば、それに従いましょう。

Q. 勤務時間中に副業の急な連絡が来たらどうすればいいですか?

緊急でなければ、勤務時間外や休憩時間に対応するのが原則です。副業を始める際に、勤務時間中は連絡に対応できないことを副業先に伝えておくとよいでしょう。勤務中に私的な連絡対応が頻繁に発生する状態は、職務専念義務の観点で問題になり得ます。

Q. 職場のパソコンで副業の調べ物をするのはダメですか?

職場の設備は公務のために使うものであり、副業のために使うのは職務専念義務や公私混同の観点で問題です。たとえ休憩時間でも、職場の備品を私的な副業に使うのは避けましょう。副業に関わる作業は、自分の私物を使い、勤務時間外に行うのが原則です。

Q. 副業で疲れて本務に集中できないのは、義務違反ですか?

疲労そのものが直ちに違反というわけではありませんが、副業のために本務の遂行に支障が出れば、職務専念義務に関わる問題になり得ます。副業は本務に支障を与えない範囲で、睡眠や休息を確保しながら行うことが大切です。本務あっての副業、という優先順位を保ちましょう。

Q. 職務専念義務は許可さえあれば免除されますか?

いいえ。副業の許可と職務専念義務は別の観点です。許可を得ても、勤務時間中は本務に専念する義務は変わらず適用されます。許可は「副業をしてよい」という承認であって、「勤務時間中に副業をしてよい」という意味ではありません。両方を守る必要があります。

Q. 職務専念義務が免除される場合はありますか?

研修や休職など、法令や条例に基づいて職務専念義務が免除されるケースはありますが、これは副業のためのものではありません。副業に関して言えば、勤務時間中は原則として職務専念義務が適用されると考えるべきです。特別な免除を副業の根拠にすることはできません。

Q. フレックスタイム制の場合、どの時間が「勤務時間中」になりますか?

フレックスタイム制でも、勤務として申告・登録した時間帯が勤務時間であり、その間は職務専念義務が適用されます。始業・終業を自分で調整できる分、勤務時間と私的時間の記録を正確につけることが大切です。勤務登録した時間に副業の作業をすれば、出勤形態にかかわらず義務違反になり得ます。

Q. 通勤時間や出張の宿泊先での副業作業は問題ありませんか?

通常の通勤時間は勤務時間ではないため、電車内で自分のスマホで副業の作業をすること自体は職務専念義務の問題にはなりません。一方、出張中でも移動が勤務時間として整理されている場合や、業務資料を扱いながらの作業は避けるべきです。宿泊先での夜間の作業は勤務時間外なので問題ありませんが、翌日の業務に響かない範囲にとどめましょう。

まとめ|「勤務時間中は本務、副業は時間外」を徹底する

職務専念義務は、公務員が勤務時間中、本来の職務に専念しなければならないという基本の義務です。副業との関係では、「勤務時間中は本務に集中し、副業を持ち込まない」「副業が本務の遂行に支障を与えない」という線引きを守ることが核心になります。

許可を得た副業であっても、職務専念義務は別途守る必要があります。勤務時間中に副業の作業をしない、職場の設備を副業に使わない、体力を管理して本務に支障を出さない——この基本を徹底すれば、職務専念義務に反することなく、安心して副業を続けられます。副業と本務の時間・場所をはっきり分けることが、公務員が副業を長く続けるための土台になります。

【関連記事】


※本記事は一般的な情報提供であり、個別の服務判断は勤務先の規程・任命権者にご確認ください。制度・運用は変更されることがあります。最新情報は各機関の公式情報でご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました