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介護職の独立・訪問介護の開業に制限はある?法人と指定が前提、公立出身は38条の2「古巣への営業2年」、全員に介護福祉士法46条の守秘義務——前職の利用者リストは使えない 2026

キャリア・横断
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介護職の「退職後・独立」の定番は、訪問介護事業所・デイサービスの開業、福祉用具・配食・生活支援サービスの起業、そして介護分野の講師・執筆です。ここで効いてくるのが、介護保険の指定事業者は法人でなければならず、人員基準(管理者・サービス提供責任者等)を満たさなければ指定を受けられないという制度の枠と、公立施設を退職した人に残る地方公務員法38条の2(退職後2年間の古巣への働きかけ禁止)、そして全員に残る社会福祉士及び介護福祉士法46条の秘密保持義務(介護福祉士でなくなった後も)です。この記事は、介護職の独立・開業・退職後の副業の線を「法人・指定の要件」「公立と民間の違い」「資格の規律」「利用者との関係」で整理します。在職中の線は介護士の副業はどこまでOK?、派遣・単発は介護職の派遣・単発バイトは副業にできる?へ。


結論:独立は自由。介護保険事業は法人+指定が要る。残るのは「古巣への営業(公立)」「利用者の情報(全員)」「前職の利用者の引き抜き(信用・誓約書)」

やりたいこと 制度の要件 残る規律
訪問介護事業所を開業 法人設立→都道府県・市の指定(人員・設備・運営基準)。サービス提供責任者は介護福祉士等 公立出身:38条の2。全員:46条。前職の利用者の引き抜きは誓約書・信用の問題
デイサービス・小規模多機能を開業 同上(設備基準が大きい) 同上
介護保険外の生活支援(家事代行・見守り・送迎)を個人で 法人不要。ただし介護保険の給付対象外 46条。送迎は道路運送法の許可の問題
福祉用具・配食・介護タクシー 業種ごとの許可(福祉用具貸与は指定、介護タクシーは道路運送法) 公立出身は古巣への営業に注意
講師・執筆・研修(個人) なし 46条(特定できる利用者の話を書かない)
介護事業者への転職(営業・管理者) なし 公立出身:元の施設への営業は2年間不可

線①:介護保険事業は「法人」と「指定」が前提

訪問介護・通所介護などの介護保険サービスを提供して介護報酬を受けるには、都道府県(または市)の指定が必要で、申請者は「都道府県の条例で定める者」でなければならず(介護保険法70条2項1号)、条例では法人であることが要件とされているのが通常です。個人事業では指定を受けられません。指定基準(厚生労働省令)は、人員(管理者・サービス提供責任者・訪問介護員の数)、設備(事務室・相談室)、運営(運営規程・個人情報・苦情対応)を定めており、訪問介護のサービス提供責任者は介護福祉士・実務者研修修了者等の資格要件があります。

開業の流れは、法人設立(株式会社・合同会社・NPO等)→事業所の確保→人員の確保→指定申請→指定→開業。指定申請から指定まで数か月かかるのが通常で、退職の1年前には準備を始める計算になります。


線②:公立施設を退職した人に残る38条の2

自治体直営の特養・デイ・地域包括支援センターなどを退職した介護職は、地方公務員法38条の2により、退職後2年間、離職前5年間に在籍した組織の職員に対し、その自治体との契約・処分に関する事務で離職前5年間の職務に属するものについて働きかけをすることが禁じられます。当たりやすい形は次のとおりです。

  • 自分が開業した事業所の指定・委託(地域包括の委託・介護予防事業の受託)について、元の部署の職員に個人的に依頼する
  • 福祉用具・配食事業者に転職し、元の施設への納入契約を営業で取りに行く
  • 元の地域包括支援センターの職員に、自分の事業所への利用者紹介を個人的に頼む(正規のケアマネジメントの手続を通す形は別)

民間の社会福祉法人・株式会社を退職した人には38条の2はなく、退職時の誓約書(秘密保持・競業避止・利用者の勧誘禁止)の範囲で制限されます。


線③:全員に残る46条——利用者の情報は「介護福祉士でなくなった後も」

社会福祉士及び介護福祉士法46条は、介護福祉士が正当な理由なく業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないと定め、「介護福祉士でなくなった後においても、同様」としています。45条は信用失墜行為の禁止。独立・開業で問題になる形は次のとおりです。

  • 前職の利用者リストを持ち出して、自分の事業所の営業に使う:46条+個人情報保護法+前職の誓約書違反。最も典型的なトラブル
  • 前職の利用者・家族の事情(認知症の程度・家族関係・経済状況)を、自分の事業所のケアや営業に使う
  • SNS・執筆で利用者が特定できるエピソードを書く

「利用者が自分を慕って付いてきた」形でも、前職の情報を使った勧誘があれば問題になります。利用者本人・家族が自分の意思で事業所を選び、ケアマネジャーを通じた正規の手続で移る形に限ってください。


線④:前職の利用者・職員の引き抜き——誓約書と信用

法律上、退職後に前職の利用者が自分の事業所を選ぶことを禁じる規定はありません。しかし、多くの法人が退職時に「在職中に知り得た利用者への勧誘禁止」「職員の引き抜き禁止」の誓約書を求め、合理的な範囲で有効です。また、地域の介護事業は居宅介護支援事業所(ケアマネ)との関係で成り立つので、「前の施設から利用者を引き抜いた事業所」という評判は、開業後の紹介に直結します。法律より先に、地域での信用が線になります。


退職までの逆算|介護職版

時期 やること 規制
2〜3年前 開業する業態を決め、指定基準(人員・設備・資金)を調べる。サービス提供責任者・管理者の要件を自分が満たすか確認。介護分野の執筆・講師は許可・届出を取って実績を作る 在職中の副業は38条(公立)/就業規則(民間)
1年前 法人設立の準備、事業所の候補、資金計画(融資・補助金)。人員(自分以外の介護職員)の目処。退職時の誓約書の内容を確認 公立は取引先への個人的な就職活動を避ける
退職〜指定まで 法人設立・指定申請。前職の利用者リストは一切持ち出さない。ケアマネ・地域包括への挨拶は正規のルートで 公立出身は38条の2(元の部署への個人的依頼は不可)
開業〜2年 地域のケアマネとの関係づくり。元の施設への営業・元同僚への依頼は避ける 38条の2・46条・誓約書

介護・福祉分野の記事執筆・研修資料・マニュアル作成の案件は、ランサーズのようなクラウドソーシングで「介護 記事」「介護福祉士 監修」などと検索すると相場が把握できます(在職中の受注は許可・届出の後に)。[PR]


税金|法人の決算と個人の申告が分かれる

介護保険事業を法人で開業すると、法人の決算・法人税の申告と、自分が法人から受ける役員報酬(給与所得)の申告が分かれます。介護保険外の生活支援を個人で行えば事業所得、講師・執筆は雑所得または事業所得。退職した年は退職所得の扱い(退職所得の受給に関する申告書を出していれば通常は申告不要)を確認してください。個人事業の部分の帳簿と申告書を一か所で済ませたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。法人の会計は法人向けのサービスが別途必要です。[PR]

法人の決算と個人の申告が並行する時期は、自分で抱えきれるかを早めに見極めておくと安全です。税理士を探す段階なら、税理士紹介エージェントのような紹介サービスで、条件に合う税理士を無料で紹介してもらう方法もあります(問い合わせの後に、希望の確認の連絡が入ります)。介護保険事業の指定を受ける法人は、報酬請求と会計の両方に決まりがあるため、介護分野の実績がある事務所かどうかを確認するのがおすすめです。サービス内容は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]



よくある質問

Q1. 介護福祉士の資格があれば個人で訪問介護を開業できる?

介護保険の指定は法人が要件です。個人では指定を受けられず、介護報酬を請求できません。介護保険外の家事代行・見守りなら個人でも可能ですが、給付の対象外で全額自己負担のサービスになります。

Q2. 前職の利用者が「あなたの事業所に移りたい」と言ってきた

利用者本人・家族の意思で、担当ケアマネジャーを通じた正規の手続で移る形なら問題ありません。自分から前職の情報を使って勧誘した形、誓約書で禁じられた形は問題です。

Q3. 公立の特養を退職して、元の施設に福祉用具を納入する会社に入った

退職後2年間は38条の2により、離職前5年間に在籍した組織への契約に関する働きかけができません。元の施設の担当から外れるか、2年経過後に公的な調達手続で対応します。

Q4. 在職中に開業の準備(法人設立)をしてもいい?

法人を設立して自分が役員に就けば、公立は38条の「営利企業の役員を兼ねる」、民間は就業規則の副業規定の対象です。設立は退職後にするか、在職中に設立するなら許可・届出を取ってください。市場調査・物件探し・資金計画は報酬の出ない準備なので対象外です。

Q5. 介護タクシーで独立したい

道路運送法の許可(一般乗用旅客自動車運送事業・福祉輸送限定など)と二種免許が必要です。介護保険の通院等乗降介助として報酬を受けるには、訪問介護事業所の指定も要ります。


まとめ|独立は自由。法人と指定が要り、古巣への営業と利用者の情報だけは避ける

介護職の独立・開業は自由ですが、介護保険事業は法人+指定が前提で、人員基準を自分が満たすかの確認から始まります。公立施設出身には38条の2(退職後2年間の古巣への働きかけ禁止)、民間出身には誓約書、全員に社会福祉士及び介護福祉士法46条の秘密保持義務(永続)が残ります。前職の利用者リストを使わず、ケアマネを通じた正規の手続で利用者を得る——これが地域で続く事業所の条件です。在職中の線引きは介護士の副業はどこまでOK?をどうぞ。


参考にしている主な一次情報:介護保険法(平成9年法律第123号)第70条(指定居宅サービス事業者の指定・申請者の要件は都道府県条例)/指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(訪問介護の人員基準・サービス提供責任者)/社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第45条・第46条/地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条・第38条・第38条の2/道路運送法 第4条・第43条(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「退職金と税」「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、指定基準の細目・自治体の再就職規制の範囲・誓約書の内容は個別に異なります。実際に動く前に、指定権者(都道府県・市)と所属の人事担当にご確認ください。

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