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公務員の講演料・原稿料はなぜ申請より少なく振り込まれる?所得税法204条の源泉徴収10.21%、確定申告で精算(還付もある)、申請書には税引前を書く——手取りの試算つき 2026

キャリア・横断
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公務員の副業で最も許可が出やすいのが「講演」と「執筆」です。そして最初に戸惑うのが、受け取った講演料・原稿料が申請書に書いた金額より少ないこと。これは発注者が所得税を源泉徴収しているためで、所得税法204条1項1号は「原稿・デザインの報酬、講演料」などを支払う者に源泉徴収を義務づけ、205条で税率を10%(復興特別所得税を含めて10.21%)、1回の支払が100万円を超える部分は20%(20.42%)と定めています。この記事は、公務員・教員が許可を得て受け取る講演料・原稿料について、「手取りの計算」「源泉徴収と確定申告の関係」「申請書に書く金額」「経費と所得の区分」を整理します。許可の取り方は公務員の兼業許可申請の書き方、確定申告の手順は副業の確定申告のやり方へ。


結論:講演料・原稿料は10.21%引かれて振り込まれる。引かれた分は確定申告で精算(還付もある)。申請書には「源泉徴収前の額」を書く

項目 内容
源泉徴収の対象 原稿料・講演料・デザイン料・著作権使用料など(所得税法204条1項1号)。データ入力・翻訳は対象外のことが多い(政令の範囲による)
税率 10.21%(1回の支払100万円超の部分は20.42%)
手取り 5万円の講演料→44,895円が振込(消費税の扱いは契約による)
所得の区分 雑所得(継続・規模が大きければ事業所得)
確定申告 給与以外の所得(収入-経費)が年20万円超で必要。20万円以下でも源泉徴収分の還付を受けるなら申告できる。住民税の申告は別途必要
申請書に書く金額 源泉徴収前の報酬額(発注者が提示した額)

線①:なぜ引かれるのか——204条と205条

所得税法204条1項は、居住者に「原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもの」を支払う者に、支払の際に所得税を徴収して翌月10日までに国に納付する義務を課しています。205条1号で税率は100分の10、同一人に対する1回の支払が100万円を超える部分は100分の20。これに復興特別所得税(2.1%)が上乗せされ、実務上は10.21%・20.42%です。

徴収するのは発注者(自治体・出版社・企業・団体)で、本人の意思で「引かないでほしい」とは言えません。発注者は年1回、支払調書を税務署に提出します(本人への交付は義務ではないが、送ってくれる発注者が多い)。


線②:引かれた分はどうなるか——確定申告で精算

源泉徴収は「仮払い」です。年間の所得を確定申告で計算し、本来の税額と源泉徴収された額の差を精算します。

  • 本来の税額>源泉徴収額:差額を納付
  • 本来の税額<源泉徴収額:差額が還付

公務員が許可を得て受ける講演料・原稿料は、経費(交通費・資料代・書籍代)を引いた所得が課税対象です。源泉徴収は経費を引く前の報酬額に10.21%かかっているので、経費が多い年や、給与の税率区分が低い人は還付になることがあります。逆に給与が高く税率区分が20%以上の人は、10.21%では足りず追加納付になります。

所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、源泉徴収された分を取り戻すには申告が必要です(申告すれば副業所得も含めて計算される)。住民税の申告は20万円以下でも必要です。


線③:申請書には「源泉徴収前の額」を書く

兼業許可申請書の報酬欄には、発注者が提示した報酬額(源泉徴収前)を書きます。理由は2つあります。

  1. 自治体が見るのは「報酬が職務に比して相当か」で、税引前の額が基準
  2. 支払調書・確定申告書に載るのは税引前の額なので、申請書と後の実績が一致する

「振込額が申請より少ない」のは源泉徴収のためで、報酬額が変わったわけではありません。年度の実績報告を求める自治体では、支払調書の額(税引前)で報告します。


線④:何が「講演料・原稿料」で、何が違うか

受け取る報酬 源泉徴収 所得区分 許可の類型
講演料・研修講師料 10.21% 雑所得 講演(通りやすい)
原稿料・記事執筆料・監修料 10.21% 雑所得 執筆(通りやすい)
書籍の印税 10.21%(著作権使用料) 雑所得 執筆
デザイン・イラストの報酬 10.21% 雑所得 制作(自治体により扱いが分かれる)
データ入力・翻訳・事務代行 対象外のことが多い 雑所得 従事(許可対象)
講師として雇用される(非常勤講師等) 給与の源泉徴収(乙欄) 給与所得 兼職(教員は教特法17条)
謝礼・交通費名目の支払 実質が報酬なら対象 雑所得 報酬があれば許可対象

「謝礼」「交通費込み」と名目を変えても、実質が講演・執筆の対価なら源泉徴収の対象であり、38条の「報酬」です。名目で許可の要否は変わりません。申請書にも「謝礼」ではなく報酬として書きます。


手取りの試算|講演料5万円・原稿料3万円・年6回の例

数字は考え方を示す概算です。

  • 年間の報酬:講演5万円×3回+原稿3万円×3回=24万円
  • 源泉徴収:24万円×10.21%=24,504円(振込合計は215,496円)
  • 経費:交通費・資料代で年3万円とすると、所得は21万円
  • 所得税:給与と合算して税率区分で計算。区分が10%なら約21,000円→源泉徴収24,504円との差額約3,500円が還付。区分が20%なら約42,000円→約17,500円を追加納付
  • 住民税:所得21万円×約10%=約21,000円。普通徴収を選べば自宅に納付書(許可済みなら特別徴収でも問題なし)

支払調書が複数枚になる年は、源泉徴収額の拾い漏れで還付を取り損ねることがあります。帳簿づけと申告書の作成(源泉徴収額の入力を含む)を一か所で済ませたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]


1年の流れ|講演・執筆の副業と税金のカレンダー

時期 やること
受注の前 兼業許可申請(報酬は税引前の見込み額)
受注・納品のたび 請求書(報酬額・消費税の区分)を出す。振込額と源泉徴収額を記録。交通費・資料代の領収書を保存
翌年1月 発注者から支払調書が届く(届かなくても自分の記録で申告できる)。本業の源泉徴収票を受け取る
翌年2月16日〜3月15日 確定申告。雑所得として報酬・経費・源泉徴収額を入力。住民税の徴収方法を選ぶ
翌年4月〜 還付なら指定口座に入金(申告から1〜2か月)。追加納付なら3月15日まで
翌年6月 住民税の決定。年度の許可更新の申請に前年の実績(支払調書の額)を書く

講演・執筆の案件をどう見つけるか

講演は所属の紹介・学会・自治体間のネットワークで依頼が来る形が多く、執筆は出版社・メディア・クラウドソーシングで募集されています。行政手続・防災・教育・福祉など、公務員の経験が活きる一般向け解説の案件は、ランサーズのようなクラウドソーシングで「行政 記事」「防災 執筆」などと検索すると相場が把握できます(受注は許可の後に)。クラウドソーシング経由の記事執筆でも、発注者が源泉徴収をする場合としない場合があるので、報酬明細で確認してください。[PR]


よくある質問

Q1. 源泉徴収されているから確定申告は不要?

違います。源泉徴収は仮払いで、給与以外の所得が20万円を超えれば確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は必要で、還付を受けるなら確定申告をします。

Q2. 発注者が源泉徴収していない。自分で納める?

発注者が個人(源泉徴収義務者でない)などの場合は徴収されません。その場合も確定申告で所得を申告して納税します。徴収の有無は発注者側の義務の問題で、本人の申告義務は変わりません。

Q3. 消費税はどうなる?

報酬に消費税相当額を上乗せする契約かどうかは発注者との取り決めによります。源泉徴収は原則として消費税込みの額にかかりますが、請求書で報酬と消費税が区分されていれば税抜額を対象にできます。免税事業者(課税売上1,000万円以下)なら消費税の納税義務はありません。

Q4. 許可の範囲を超えて講演料が増えた

申請時の見込みを大きく超えた時点で人事に報告してください。年度の実績が許可の前提と大きく違うと、次年度の許可に影響します。

Q5. 支払調書が届かない。源泉徴収額が分からない

請求額と振込額の差が源泉徴収額です。請求書・通帳の記録から計算できます。発注者に問い合わせれば支払調書の写しを送ってもらえることが多いです。

Q6. 自治体からの講演依頼(他の自治体の研修講師)も源泉徴収される?

自治体も源泉徴収義務者です。講演料から10.21%が引かれます。自分の所属自治体からの講演は職務(または職務関連)として扱われることが多く、報酬の形が違います。


まとめ|「引かれた額は仮払い、申請書は税引前、確定申告で精算」

公務員が許可を得て受ける講演料・原稿料は、所得税法204条・205条により10.21%(100万円超の部分は20.42%)が源泉徴収されて振り込まれます。引かれた分は確定申告で精算され、経費や税率区分によって還付にも追加納付にもなります。申請書には源泉徴収前の額を書き、年度の実績は支払調書の額で報告する。これで「申請より少ない振込」の疑問は消えます。公務員全体の副業の考え方は公務員の副業ガイドをどうぞ。


参考にしている主な一次情報:所得税法(昭和40年法律第33号)第204条・第205条/所得税法施行令 第320条(源泉徴収の対象となる報酬・料金の範囲)/東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(復興特別所得税)/地方公務員法 第38条(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「報酬・料金等の源泉徴収」「給与所得者で確定申告が必要な人」。

※情報は執筆時点のもので、源泉徴収の対象となる報酬の範囲は政令の定めによります。個別の案件の扱いは発注者・税務署にご確認ください。

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