介護福祉士の受験に必要な実務者研修は、受講料が数万円〜十数万円かかります。ただ、そのまま全額を自己負担している人は少なくありません。使える制度は主に4つ——①雇用保険の教育訓練給付金、②都道府県・市町村の補助、③勤務先の資格取得支援、④求職者支援制度です。特に①は雇用保険法60条の2に定めのある制度で、支給要件期間が3年以上あることなどが条件になります。この記事は、条文と制度の枠組みから「自分はどれが使えるか」を判定できるように整理します。受験ルート全体は介護福祉士の実務経験ルートへ。
結論:まず「雇用保険に3年入っているか」を確認する
| 制度 | だれが使えるか | 確認先 |
|---|---|---|
| 教育訓練給付金(雇用保険法60条の2) | 支給要件期間3年以上の被保険者等。指定講座であること | ハローワーク |
| 自治体の補助 | 都道府県・市町村が独自に実施。介護人材確保の事業 | 都道府県の介護担当課・福祉人材センター |
| 勤務先の資格取得支援 | 事業所の制度による | 勤務先の規程(返還義務の有無を確認) |
| 求職者支援制度 | 雇用保険を受給できない求職者 | ハローワーク |
順番としては、①ハローワークで教育訓練給付の対象か確認 → ②自治体の補助を調べる → ③勤務先の制度を確認。①と②は併用できない場合があるので、窓口で重複の可否を確認してください。
線①:教育訓練給付金——条文が定める条件
雇用保険法60条の2第1項は、教育訓練給付金を「厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合……において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する」と定めています。要点は3つです。
①厚生労働大臣が指定する教育訓練であること。どのスクールの講座でも対象になるわけではありません。指定講座かどうかを、申し込む前に確認する必要があります。
②修了すること。受講しただけでは支給されず、修了の証明が必要です(受講中の場合の扱いは省令で定められています)。
③支給要件期間が3年以上あること。60条の2第2項が定義しており、同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者として雇用された期間(過去に被保険者だったことがある人は、その期間を通算した期間)とされています。ただし、過去に教育訓練給付金を受けたことがあるときは、その基準日前の被保険者期間は除いて算定されます(同項2号)。
対象者は、受講開始日(基準日)に一般被保険者または高年齢被保険者である人(1項1号)、および被保険者でなくなった日から省令で定める期間内にある人(同項2号)です。つまり離職後でも一定期間内なら使えるということです。
給付の額について、60条の2第4項は受講のために支払った費用に「百分の二十以上百分の八十以下の範囲内において厚生労働省令で定める率」を乗じた額(上限あり)と定めています。実際の給付率と上限額は省令で定まり、講座の区分によって変わるので、必ずハローワークで確認してください。
線②:自治体の補助——「介護人材の確保」の枠
都道府県・市町村は、介護人材を確保するための事業として、研修受講料の補助や貸付を行っていることがあります。名称や条件は地域ごとに異なりますが、よくある形は次のとおりです。
- 受講料の一部を補助(上限額あり)
- 貸付+一定期間の就業で返還免除(例:修了後に県内の事業所で一定期間働けば返さなくてよい)
- 就職を条件とした支援(介護施設への就職が前提)
探し方は、「都道府県名+実務者研修+補助」「都道府県名+介護 修学資金」で検索するか、都道府県の福祉人材センターに問い合わせるのが確実です。予算に限りがあり、募集期間が決まっていることが多いので、年度の早い時期に確認するのがコツです。
貸付型は「返還免除の条件」をよく読んでください。県内の事業所で◯年勤務といった条件があるため、転居の予定がある人には向きません。
線③:勤務先の資格取得支援——返還義務を必ず確認
事業所が受講料を負担する、または立て替える制度です。もっとも自己負担が小さくなる方法ですが、「取得後◯年勤務しなければ返還」という条件が付いていることが多くあります。
確認すべき点は次のとおりです。
| 確認項目 | 見るところ |
|---|---|
| 負担の形 | 全額支給か、一部か、貸付か |
| 返還義務 | 何年勤務すれば免除か。自己都合退職の場合はどうなるか |
| 受講中の勤務 | スクーリングの日を勤務扱いにできるか、有給か欠勤か |
| スクールの指定 | 事業所が提携しているスクールに限られるか |
| 他制度との併用 | 教育訓練給付と併用できるか |
とくに「スクーリングの日を勤務扱いにできるか」は、金額と同じくらい重要です。研修は通学が必要な日があるため、その日をシフトからどう外すかが続けられるかどうかを左右します。
スクールを選ぶときは、受講料だけでなく①保有資格による免除の可否 ②スクーリングの日程と回数 ③教育訓練給付の指定講座かどうかの3つを並べて比べてください。ユースタイルカレッジは介護福祉士国家試験に向けた実務者研修を提供しているスクールのひとつで、免除の可否や開講日は申込前に確認できます。受講料・日程・給付制度の対象かどうかはスクールと地域・時期によって変わるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。
免除で下げる|制度で決まっている部分
実務者研修は、すでに持っている資格によって一部科目が免除されます。免除があると受講時間が減り、受講料も下がるのが一般的です。
| 持っている資格 | 免除の傾向 |
|---|---|
| なし(無資格) | 免除なし=最も高い |
| 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級) | 一部科目が免除 |
| 介護職員基礎研修 | 免除の範囲が大きい |
| 喀痰吸引等研修 | 該当科目が免除されることがある |
免除を受けるには修了証明書の提出が必要です。古い研修の修了証を紛失している場合は、実施機関に再発行を依頼してください。申し込む前に手元の修了証を全部そろえることが、いちばん確実な節約になります。
費用を下げる順番|チェックリスト
- 手元の修了証を全部集める(免除の材料。紛失は再発行を依頼)
- ハローワークで教育訓練給付の対象か確認(支給要件期間3年以上か・指定講座か)
- 都道府県の補助・貸付を調べる(募集期間と返還免除の条件)
- 勤務先の支援制度の規程を読む(返還義務・スクーリングの扱い)
- スクールを3つ比べる(受講料・免除後の金額・スクーリングの日程・指定講座か)
- 併用の可否を窓口で確認(給付金と自治体補助が重複できるか)
この順番でやると、「申し込んだ後に給付の対象外だと分かった」という失敗を防げます。指定講座でないスクールに申し込むと、給付金は使えません。
税金|給付金と補助金の扱い
雇用保険の給付は非課税とされており、教育訓練給付金も課税の対象になりません。一方、勤務先が受講料を負担した場合の扱いは、業務上必要な研修として会社が負担するものか、個人への経済的利益とみなされるかで変わります。給与として課税されるケースもあるため、勤務先の経理に確認してください。
自分で全額を負担し、かつ副業として介護の仕事を業務委託で行っている場合、その事業に関連する研修費は必要経費に入る余地があります。ただし資格取得のための費用は「家事費」とされて経費にならない扱いが基本なので、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
よくある質問
Q1. 教育訓練給付はいくら戻りますか?
雇用保険法60条の2第4項は「百分の二十以上百分の八十以下の範囲内において厚生労働省令で定める率」と定めており、実際の率と上限額は講座の区分ごとに省令で定まります。ハローワークで確認してください。
Q2. 支給要件期間3年は、同じ職場で3年という意味ですか?
60条の2第2項は「同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者として雇用された期間」とし、過去に被保険者だった期間を通算できると定めています。転職していても通算されることがあるので、ハローワークで照会してください。
Q3. 過去に教育訓練給付を使ったことがあります。
60条の2第2項2号により、前回の基準日前の被保険者期間は算定から除かれます。また同条5項は、基準日前の省令で定める期間内に給付を受けたことがあるときは支給しないと定めています。前回からの間隔を確認してください。
Q4. 離職中でも使えますか?
60条の2第1項2号により、被保険者でなくなった日から省令で定める期間内であれば対象になり得ます。期間を過ぎていないかハローワークで確認してください。
Q5. どのスクールでも給付の対象ですか?
対象は「厚生労働大臣が指定する教育訓練」に限られます。申し込む前に、その講座が指定講座かどうかを必ず確認してください。
Q6. 自治体の補助と給付金は併用できますか?
制度によって異なります。重複して受けられない場合があるので、それぞれの窓口で確認してください。
Q7. 勤務先の支援を使うと辞められなくなりますか?
返還義務の条件次第です。「取得後◯年勤務」といった条件が一般的なので、規程を読んでから使ってください。
Q8. 研修費用は確定申告で経費にできますか?
資格取得のための費用は家事費とされ経費にならない扱いが基本です。事業に直接必要な研修かどうかで判断が分かれるため、税務署にご確認ください。
まとめ|申し込む前に3つ確認する
実務者研修の費用は、制度を使えば大きく下げられます。中心になるのが雇用保険法60条の2の教育訓練給付金で、指定講座であること・修了すること・支給要件期間が3年以上あることが条件です。給付率は「20%以上80%以下の範囲で省令が定める率」なので、実額はハローワークで確認してください。これに加えて自治体の補助(貸付型は返還免除の条件に注意)、勤務先の支援(返還義務とスクーリングの扱いを確認)があります。そして制度以前に効くのが保有資格による科目免除——申し込む前に手元の修了証を全部そろえるのが、いちばん確実な節約です。申し込んでからでは給付の対象を変えられないので、順番を間違えないでください。
参考にしている主な一次情報:雇用保険法(昭和49年法律第116号)第60条の2(教育訓練給付金)/社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第40条。条文はe-Gov法令検索で確認しています。
※情報は執筆時点のものです。給付率・上限額・対象講座・自治体の補助内容は省令や年度の予算によって変わります。手続の前にハローワーク・都道府県の窓口でご確認ください。

