看護師の副業で「病院の外」で資格を活かせる形が、企業の健康管理室・健診・特定保健指導・産業保健の仕事です。派遣法上、企業の健康管理室・健診会場は「病院等」ではないので派遣もでき、30日以内の単発派遣も看護師なら可。さらに特定保健指導の面接・記事監修などは業務委託で、労働時間の通算に乗りません。ただし産業保健には「保健師」でなければ就けない職(産業保健師)と、看護師でも就ける職の線があり、求人の読み方で迷うところです。この記事は、派遣法施行令2条4号・4条1項19号、労働安全衛生法(健康診断・保健指導)、高齢者医療確保法(特定保健指導の実施者)を根拠に、看護師の産業保健・健診の副業を「資格の線」「契約の形」「本業との関係」「税金」で整理します。派遣・単発の基本は看護師の派遣・単発バイトは副業にできる?へ。
結論:健診・企業の健康管理室は派遣・単発・直接雇用のどれでも可。特定保健指導の「指導」は保健師・管理栄養士・一定の看護師。業務委託の監修・執筆は通算なし
| 仕事 | 資格の線 | 契約の形 | 通算 |
|---|---|---|---|
| 健診(採血・計測・問診) | 看護師で可 | 健診機関に雇用/派遣(病院等以外なら可・単発も可) | あり(雇用・派遣) |
| 企業の健康管理室(常駐・日勤) | 看護師で可。産業保健師の職は保健師免許が要件の求人が多い | 雇用/派遣 | あり |
| 特定保健指導(面接・継続支援) | 医師・保健師・管理栄養士。看護師は一定の実務経験がある者に限り当面可(法令の経過措置) | 業務委託が多い | なし(業務委託) |
| イベント救護・学校の健診補助 | 看護師で可 | 雇用/派遣(単発可) | あり |
| 産業保健の記事監修・研修資料 | 看護師で可 | 業務委託 | なし |
| ストレスチェックの実施者 | 医師・保健師・一定の研修を修了した看護師等 | 業務委託/雇用 | 形による |
線①:資格——「看護師で可」と「保健師が要る」
産業保健の現場には、看護師の業務(保助看法5条)で足りる仕事と、保健師(同2条)の業務として位置づけられる仕事があります。法律上、企業の健康管理室に置かれる「産業保健師」に保健師免許が必須と定める規定はありませんが、求人の多くが保健師免許を要件にしています。一方、健診の採血・計測・問診、健康管理室での応急対応・健康相談の補助は看護師の業務として募集されます。
特定保健指導(高齢者の医療の確保に関する法律に基づく、メタボリックシンドロームの該当者への指導)は、厚生労働省令で実施者が医師・保健師・管理栄養士と定められ、看護師は「一定の保健指導の実務経験を有する者」として当面の間認められています(経過措置)。求人で「特定保健指導・看護師可」とある場合、この経過措置の範囲です。
ストレスチェックの実施者は、労働安全衛生法66条の10が「医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者」と定め、省令で一定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師が加えられています。看護師は研修修了が条件です。
線②:契約の形——派遣・単発ができる場所
派遣法施行令2条4号は看護業務の派遣を病院等・助産所・老健・介護医療院・居宅で禁じていますが、企業の健康管理室・健診会場・イベント会場・学校はこの一覧にないので派遣が可能です。さらに施行令4条1項19号により、看護師の業務(病院等以外)は日雇派遣の例外業務で、30日以内の単発派遣も年収要件なしでできます(准看護師は対象外)。健診の繁忙期(4〜6月・9〜11月)に単発で入る形は、この仕組みに乗っています。登録する派遣元には、本業のシフトと「夜勤明けは不可」の条件を最初に伝えておきます。
特定保健指導・監修・研修資料は業務委託が中心で、労働基準法38条の労働時間の通算に乗らず、夜勤のある本業でも組みやすい形です。
線③:本業との関係
- 民間病院:就業規則の副業規定。「同業他社での就労」の規定は、企業の健康管理室・健診機関を「同業」と見るかが分かれる。確認して届出
- 公立病院:地方公務員法38条の許可。特定保健指導・監修は「報酬を得て事務に従事」で、公益性から許可が出やすい類型。雇用の健診は許可が出にくい
- 労働時間の通算:健診・健康管理室の雇用・派遣は通算。夜勤明けの当日は入れない(夜勤専従の看護師の副業)
- 守秘義務:健診・保健指導で知った受診者の情報は保助看法42条の2の対象。本業に持ち込まない
産業保健の副業を組む手順
- 本業の届出・許可:副業先(健診機関名・企業名・委託元)・形(雇用/派遣/業務委託)・曜日時間・「夜勤明けは入れない」
- 資格の確認:特定保健指導なら実務経験の要件、ストレスチェックなら研修修了。看護師で可の仕事から入る
- 単発から:健診の繁忙期に単発派遣(病院等以外なら年収要件なし)で現場を知る
- 業務委託に広げる:特定保健指導の面接・継続支援、企業向けの健康セミナー、記事監修。案件の相場はランサーズのようなクラウドソーシングで「看護師 監修」「産業保健 記事」などと検索すると把握できる(受注は届出・許可の後に)[PR]
- 賠償責任保険:看護職賠償責任保険に個人で加入。副業先の保険の範囲も確認。健診の採血事故・保健指導の助言の責任は、契約の形で負い方が変わる
1年の組み方|健診の繁忙期を軸にする
| 時期 | 産業保健の副業 |
|---|---|
| 4〜6月 | 企業・学校の定期健診の繁忙期。単発派遣・直接雇用の募集が多い |
| 7〜8月 | 健診の結果に基づく特定保健指導の初回面接が始まる(業務委託) |
| 9〜11月 | 秋の健診の繁忙期。インフルエンザの集団接種の補助の募集も |
| 12〜3月 | 特定保健指導の継続支援・評価。記事監修・研修資料の作成(在宅) |
雇用・派遣の健診は繁忙期に集中し、業務委託の保健指導・監修は通年。両方を組み合わせると、本業の夜勤のシフトに合わせて年間の副業の量を調整できます。
仕分け表|産業保健・健診の副業を「資格・契約・通算」で見る
| やりたい形 | 資格 | 派遣法 | 通算 | 本業側 |
|---|---|---|---|---|
| 繁忙期に健診の単発派遣 | 看護師で可 | ◎(19号・年収要件なし) | あり | 届出・許可 |
| 企業の健康管理室に週1で派遣 | 看護師で可(保健師要件の求人もある) | ◎ | あり | 届出・許可 |
| 特定保健指導を業務委託で | 経過措置の範囲(実務経験) | 関係なし | なし | 許可が出やすい |
| ストレスチェックの実施者 | 研修修了の看護師 | 形による | 形による | 届出・許可 |
| 健康記事の監修 | 看護師で可 | 関係なし | なし | 許可が出やすい |
資格を「書く・監修する」側で使う道もあります。みんなの記事監修は、資格を持つ専門家として登録し、記事監修の依頼を受ける形のサービスで、登録時に本人確認と資格証の確認があります。監修料は報酬(雑所得または事業所得)になり、勤務時間として通算されないため、夜勤や不規則勤務と組み合わせやすいのが特徴です。在職中の方は、本業側の許可・届出の手続きを先に済ませてください。報酬や依頼の条件は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]
税金|雇用・派遣は給与、委託は報酬
健診機関・派遣元からの報酬は給与所得(2か所給与)、特定保健指導・監修の報酬は雑所得(源泉徴収されることがある)。給与以外の所得が年20万円を超えれば所得税の確定申告、給与が2か所以上なら年末調整されない側の給与収入と他の所得の合計が20万円を超えれば確定申告、20万円以下でも住民税の申告が必要です。繁忙期の単発を複数の健診機関で入れると源泉徴収票が複数枚になります。帳簿と申告書を一か所で済ませたい場合は、弥生のクラウド確定申告ソフトのような会計ソフトを使う方法があります(料金・対応範囲は公式サイトでご確認ください)。[PR]
よくある質問
Q1. 保健師免許がないと産業保健の副業はできない?
健診・健康管理室の看護業務・監修・研修は看護師で可能です。「産業保健師」として常駐する職は保健師免許を要件にする求人が多く、特定保健指導は経過措置の範囲で看護師が可能です。
Q2. 健診の単発派遣は年収500万円以上でないとできない?
看護師の業務(病院等以外)は施行令4条1項19号の例外業務なので、年収要件は不要です。准看護師は対象外です。
Q3. 特定保健指導の「実務経験」とは?
厚生労働省令で定める保健指導の実務経験の要件があり、委託元(保険者・事業者)が確認します。求人の要件欄で確認してください。
Q4. 企業の健康管理室は「同業他社」?
病院の就業規則の文言次第です。「医療機関での就労」を禁じていれば、企業の健康管理室は医療機関ではないので当たらないと整理されることが多いですが、本業に確認してください。
Q5. 健診の単発で「採血のみ」と「問診あり」で何が違う?
どちらも看護師の業務です。問診・結果説明の補助は受診者の情報を扱うので守秘義務の意識が要り、健診機関のマニュアルに従います。単価は機関・地域で異なるので募集で確認してください。
Q6. 本業が公立病院。健診の副業は許可が出る?
雇用の健診は「報酬を得て事務に従事」で許可が出にくい傾向。特定保健指導・監修・セミナーの業務委託は公益性から許可の余地があります。
まとめ|病院の外は派遣・単発も可。「保健師が要る職」と「看護師で可の職」を分け、業務委託は通算なし
看護師の産業保健・健診の副業は、企業の健康管理室・健診会場が派遣法の禁止場所に入っていないので派遣・単発(年収要件なし)・直接雇用のどれでも組め、特定保健指導・監修・研修は業務委託で労働時間の通算に乗りません。資格の線は、産業保健師(保健師要件の求人)・特定保健指導(経過措置)・ストレスチェック(研修修了)で、健診・健康管理室の看護業務は看護師で可。本業の届出・許可と夜勤明けの組み方を押さえれば、病院の外で資格を活かせる形です。派遣・単発の基本は看護師の派遣・単発バイトは副業にできる?をどうぞ。
参考にしている主な一次情報:保健師助産師看護師法 第2条・第5条・第42条の2/労働者派遣法施行令 第2条・第4条/労働安全衛生法 第66条・第66条の7・第66条の10(健康診断・保健指導・ストレスチェック)/高齢者の医療の確保に関する法律 第18条・第24条、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(実施者)/労働基準法 第38条/地方公務員法 第38条(いずれもe-Gov法令検索)/国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」。
※情報は執筆時点のもので、特定保健指導の実施者の経過措置・求人の資格要件・本業の就業規則は個別に異なります。実際に動く前に、本業の人事担当と副業先にご確認ください。

