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教員の試験監督・採点の副業は1日でも許可が要る?地公法38条と、派遣で単発に入れない理由(派遣法35条の4・年収500万円の線)2026

キャリア・横断
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模試の試験監督、検定の監督、答案の採点——教員にとっていちばん「経験がそのまま使える」副業がこの領域です。1日だけ、あるいは数日だけの単発が多いので、「単発なら許可は要らないのでは」と考える人が少なくありません。結論から言うと、1日だけでも報酬を得るなら地公法38条の許可(教育に関するものは教特法17条の承認)は必要で、回数や期間は関係ありません。もうひとつ知っておくべきなのが、派遣として単発で入る形は、労働者派遣法35条の4の日雇派遣の原則禁止に当たること。試験監督・採点は例外業務のリストに入っていないため、例外になるのは「人」の条件を満たす場合だけです。この記事は、条文でこの2つの線を確認し、契約の形ごとの実務を整理します。土日の組み方は教員が土日だけで副業を組む、申請の全体像は教員の兼業承認申請の書き方へ。


結論:単発でも許可は要る。派遣で入る形は原則禁止に当たる

論点 結論 根拠
1日だけの試験監督に許可は要るか 要る。条文に回数・期間の限定はない 地公法38条1項
無報酬なら 38条の対象外。ただし17条は無報酬でも承認の対象になり得る 教特法17条1項
派遣で単発(30日以内)に入る 原則禁止。試験監督・採点は例外業務に入っていない 派遣法35条の4/施行令4条1項
派遣でも入れる場合 60歳以上/学生/本人の年収500万円以上など「人」の条件を満たすとき 施行令4条2項/施行規則28条の3
直接雇用のアルバイトなら 日雇派遣の規制は関係ない。ただし労働時間は本業と通算される 労基法38条1項
業務委託(在宅採点など)なら 労働時間の通算はない。報酬は雑所得または事業所得 —

線①:「単発だから」は理由にならない

地方公務員法38条1項は、「職員は、任命権者の許可を受けなければ……報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」と定めています。条文にあるのは「報酬を得て」「いかなる事業若しくは事務にも」という2点だけで、「継続的に」「反復して」といった限定はありません。1日限りの試験監督でも、報酬を受け取るなら許可の対象です。

教育に関する内容として教育公務員特例法17条1項の兼職承認で扱う自治体もあります。17条は「給与を受け、又は受けないで」と定めているので、無報酬のボランティアであっても承認の対象になり得る点が38条と違います。どちらの様式で出すかは自治体の運用によるので、先に人事担当に確認してください。

実務でよく聞くのが「1日だけだから黙っていた」というケースですが、これは後で発覚したときに手続違反として扱われる形です。内容が試験監督という健全なものであっても、許可を取っていなければ問題は残ります。


線②:派遣で入る形は日雇派遣の原則禁止に当たる

ここは知られていない論点です。労働者派遣法35条の4第1項は、派遣元事業主が日雇労働者(日々又は三十日以内の期間を定めて雇用する労働者)について労働者派遣を行うことを、原則として禁止しています。例外は2つの入口があります。

入口①「業務」で例外になる場合。施行令4条1項が、専門的な知識・技術・経験を必要とする業務として18の業務を列挙しています。システム設計、機械の設計・製図、事務用機器の操作、通訳・翻訳・速記、秘書、ファイリング、市場調査、財務処理、貿易文書作成、機器の説明、旅程管理、受付・案内、研究開発、事業の企画立案、書籍等の編集、デザイン——といった顔ぶれで、試験監督や採点はこのリストに含まれていません。

入口②「人」で例外になる場合。施行令4条2項が、派遣元が安全衛生その他の雇用管理上必要な措置を講じていることを前提に、次のいずれかに当たるときを例外としています。

  1. その日雇労働者が60歳以上である場合
  2. その日雇労働者が学校教育法1条・124条・134条1項の学校の学生又は生徒である場合(定時制課程に在学する者などを除く)
  3. その日雇労働者およびその世帯について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が厚生労働省令で定める額以上である場合

3号の具体的な額は施行規則28条の3が定めており、2項で「五百万円とする」と明記されています。算定の仕方は同条1項で、本人の1年分の賃金その他の収入(1号)、または主として配偶者等の収入により生計を維持する者に限り、本人と生計を一にする配偶者等の1年分の収入を合算した額(2号)とされています。

つまり教員の場合、本人の年収が500万円以上であれば3号に該当して派遣での単発が可能になります。年収が500万円に届かない場合は、この例外を使えません。ここは自分の年収で変わる部分なので、派遣会社に登録する前に確認してください。


契約の形で何が変わるか

形 日雇派遣の規制 労働時間の通算 所得区分
試験実施団体に直接雇われる(アルバイト) 関係ない 本業と通算される 給与所得
派遣会社から派遣される 30日以内は原則禁止・例外に当たるか要確認 本業と通算される 給与所得
業務委託(在宅採点・作問など) 関係ない 通算されない 雑所得または事業所得

いちばん扱いやすいのは業務委託の在宅採点です。日雇派遣の規制がかからず、労働時間の通算もなく、作業する時間帯も自分で決められます。週休日の振替が入っても調整しやすいので、教員の勤務形態と相性がよい形です。

逆に、会場での試験監督を直接雇用のアルバイトで受ける場合は、労働基準法38条1項により本業と労働時間が通算されます。週休日に入れるのが基本ですが、週の労働時間が長くなりすぎないか確認してください。


気をつける3つ|利害・守秘・信用

①自校の生徒が受ける試験は避ける。自分の勤務校の生徒が受験する模試の監督や採点は、公平性の面で問題になり得ます。募集の段階で会場や担当範囲を確認し、重なるなら断るのが安全です。

②試験問題・答案の情報を持ち出さない。試験問題は公表前の秘密情報であることが多く、守秘義務の対象になります。地方公務員法34条1項の職務上知り得た秘密とは別に、委託元との契約上の守秘義務が課されるのが通常です。授業のネタとして問題を使う、といった行為も契約違反になり得ます。

③申請書に「自校の生徒は対象としない」と書く。自分から制約を書いておくと、承認する側の判断材料になります。教特法17条1項が「本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合」という作りである以上、材料を出すのは申請する側です。


申請書の書き方|単発の試験監督・採点版

欄 書き方の例
従事する事業・事務の内容 模擬試験の試験監督業務/答案の採点業務(在宅)
従事先 実施団体名。派遣の場合は派遣元と派遣先の両方
契約の形態 直接雇用(アルバイト)/業務委託/派遣のいずれか
従事する日 週休日に限る。年間◯回程度(試験の実施日に合わせるため不定期)
従事する時間 1回あたり◯時間、年間の合計◯時間以内
本務への影響 勤務校の生徒が受験する会場・答案は担当しない。学校行事と重なる日は従事しない

単発の仕事は日程が先に決まるので、年間の上限回数を書いて包括的に承認をもらう形が運用しやすくなります。都度申請が必要かどうかは自治体によるので、最初に確認しておくと後が楽です。

試験監督や採点のような単発の仕事は、募集が試験の時期に集中するため、年間を通した収入にはなりにくい面があります。決まった時間の収入を作りたい場合、オンラインで教える仕事を組み合わせる方法もあります。たとえばよみかきそろばんくらぶのオンライン先生募集は、自宅からZoomで個別に指導する形で、雇用契約でも業務請負契約でもない講師登録という契約形態です(源泉徴収は行われないため、所得額によっては自分で確定申告をすることになります)。労働時間の通算がない形なので、本業の勤務時間と合算されるアルバイトとは扱いが変わります。月曜〜土曜の7〜21時の中から可能な時間を選ぶ形で、応募には大卒であること・長期(最低3年以上)続けられることといった条件があり、Zoomに必要な機材や回線は自分で用意します。在職中の方は、契約の形にかかわらず先に承認・許可の手続きを済ませてください。条件や募集状況は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]


時期|募集が出るタイミング

試験監督・採点の募集は、試験の実施時期に合わせて出ます。模試は年間を通じて実施されますが、受験学年向けの模試が増える秋から冬、入試シーズンの1〜3月、検定試験の実施月に募集が集中します。採点は試験の直後に短期間で行われるため、日程が固まっており、動かしにくいのが特徴です。

年度の初めに承認を取っておき、募集が出たら受ける、という順番にしておくと、「申請が間に合わなくて受けられない」を防げます。単発の仕事は応募から実施までが短いことが多いので、先に手続きを済ませておく価値があります。


税金|形によって申告の仕方が変わる

直接雇用・派遣なら給与所得として源泉徴収されます。本業の年末調整では副業分は精算されないので、翌年の確定申告で2か所分の源泉徴収票を使って合算します。業務委託の在宅採点なら雑所得または事業所得で、報酬から源泉徴収される場合もあります。

副業の所得が年20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告は必要です。単発を年に数回受けただけでも、この点は変わりません。経費に入るのは、会場までの交通費(実費が支給されない場合)、採点に使う文具・パソコン・通信費のうち業務分です。


よくある質問

Q1. 1日だけの試験監督でも本当に許可が要りますか?

報酬を得るなら要ります。地公法38条1項に回数・期間の限定はありません。「単発だから」は例外の根拠になりません。

Q2. 交通費だけ支給される場合は「報酬」ですか?

実費弁償としての交通費は報酬とは別に扱われるのが一般的ですが、判断は自治体によります。実費を超える額が支払われる場合は報酬性が問題になり得るので、事前に確認してください。

Q3. 派遣で単発の試験監督に応募しようとしたら断られました。

労働者派遣法35条の4の日雇派遣の原則禁止に当たるためと考えられます。試験監督は施行令4条1項の例外業務に入っていないので、例外になるのは60歳以上・学生・年収500万円以上といった「人」の条件を満たす場合です(施行令4条2項・施行規則28条の3)。

Q4. 年収500万円以上なら派遣で単発できますか?

施行規則28条の3第2項が定める額は500万円で、本人の1年分の収入がこれ以上であれば施行令4条2項3号に該当します。ただし派遣元が雇用管理上必要な措置を講じていることも要件なので、最終的には派遣会社の確認になります。

Q5. 在宅採点なら勤務時間の通算はありませんか?

業務委託であれば労働時間の通算はありません。ただし雇用契約で在宅採点をする場合は通算されます。契約書の名称ではなく実態で判断されるので、指揮命令の有無を確認してください。

Q6. 自校の生徒の答案を採点することになったら?

担当を代えてもらうよう申し出るのが安全です。公平性の疑いを生む形は、法律以前に信用の問題になります。

Q7. 採点のアルバイトは「教育に関する」ものとして17条で扱えますか?

教育に関する事務として扱われる可能性はありますが、判断は自治体の運用によります。営利企業からの報酬なので38条でも扱われ得ます。どちらの様式かは人事担当に確認してください。

Q8. 学校の業務として頼まれた試験監督は副業になりますか?

勤務先の業務として命じられたものは副業ではありません。外部の団体から報酬を受けて行う場合が副業です。


まとめ|「単発」は手続を省く理由にならない

試験監督・採点は教員の経験が活きる副業ですが、1日だけでも報酬を得るなら地公法38条1項の許可(教育に関するものは教特法17条1項の承認)が必要です。条文に回数・期間の限定はありません。もうひとつ、派遣で30日以内の単発として入る形は労働者派遣法35条の4の原則禁止に当たり、試験監督・採点は施行令4条1項の例外業務に入っていないため、例外になるのは60歳以上・学生・年収500万円以上(施行規則28条の3)といった「人」の条件を満たす場合だけです。扱いやすいのは業務委託の在宅採点で、日雇派遣の規制も労働時間の通算もかからず、時間帯を自分で決められます。年度初めに年間の上限回数で承認を取っておくと、募集が出たときに逃さずに受けられます。


参考にしている主な一次情報:地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条・第38条/教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)第17条/労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第35条の4/同法施行令(昭和61年政令第95号)第4条/同法施行規則(昭和61年労働省令第20号)第28条の3/労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条。条文はe-Gov法令検索で確認しています。

※情報は執筆時点のものです。許可・承認の運用と様式は自治体ごとに異なります。派遣の可否は派遣元事業主の判断も関わるため、応募前に派遣会社にご確認ください。

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