PR

栄養教諭・学校栄養職員の副業|17条が使えるのはどちらか(教特法2条)と、栄養士法6条の名称独占に注意する 2026

キャリア・横断
記事内に広告が含まれています。

レシピの発信、食育の記事監修、献立作成の受託——栄養教諭・学校栄養職員の専門性は、副業として需要のある領域です。ただ始める前に確認すべき線が2本あります。①栄養教諭は教特法の「教員」に含まれるので17条の兼職承認が使える一方、学校栄養職員(栄養士・管理栄養士として配置される職員)は含まれないので38条だけになる。②「管理栄養士」「栄養士」の名称を使って業務を行うには免許が要る(栄養士法6条)——この2つです。この記事は、教特法2条・17条、地公法38条、栄養士法1条・6条の条文を根拠に、栄養教諭と学校栄養職員それぞれの副業の線を整理します。事務職員との違いは学校事務職員の副業へ。


結論:栄養教諭は17条が使える。学校栄養職員は38条だけ

論点 栄養教諭 学校栄養職員
教特法17条の兼職承認 使える(2条2項の「教員」に明記) 使えない(教育公務員に当たらない)
根拠条文 教特法17条+地公法38条 地公法38条1項のみ
人事委員会の許可基準 17条で扱う場合は「よることを要しない」(17条3項) そのまま適用される
時間外勤務手当 支給されない(給特法3条2項) 支給される(給特法の対象外)
名称の使用 免許がなければ「管理栄養士」「栄養士」の名称で業務を行えない(栄養士法6条)

線①:栄養教諭は「教員」——条文で確認する

教育公務員特例法2条2項は「教員」の範囲を列挙しており、そこに栄養教諭が明記されています(教授・准教授・助教・副校長・教頭・主幹教諭・指導教諭・主務教諭・教諭・助教諭・養護教諭・養護助教諭・栄養教諭・主幹保育教諭・指導保育教諭・主務保育教諭・保育教諭・助保育教諭及び講師)。そして2条1項が、公立学校の学長・校長・教員・部局長並びに教育委員会の専門的教育職員を「教育公務員」と定義しています。

したがって栄養教諭は教育公務員であり、教特法17条1項の「教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には、給与を受け、又は受けないで」従事できるという道が使えます。17条3項により、人事委員会が定める許可の基準によることを要しない点も同じです。

一方、学校栄養職員——栄養教諭の免許を持たず、栄養士・管理栄養士として配置されている職員——は2条2項の列挙に入らないため、教育公務員ではありません。地方公務員法38条1項の許可だけで判断され、38条2項の許可基準がそのまま適用されます。自分がどちらの職なのかは辞令で確認してください。


線②:名称の使用制限——栄養士法6条

副業で「管理栄養士監修」「栄養士が教える」といった打ち出しをする場合、押さえておくべき条文があります。栄養士法6条です。

「栄養士でなければ、栄養士又はこれに類似する名称を用いて第一条第一項に規定する業務を行つてはならない」(1項)
「管理栄養士でなければ、管理栄養士又はこれに類似する名称を用いて第一条第二項に規定する業務を行つてはならない」(2項)

1条1項は栄養士を「栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者」、1条2項は管理栄養士を「管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導」等を行うことを業とする者と定義しています。

つまりこれは名称独占の規定です。免許を持っていれば名称を使えますが、持っていない資格の名称は使えません。栄養教諭の免許と管理栄養士の免許は別物なので、自分が持っている免許を正確に表示することが大切です。「栄養教諭」であることと「管理栄養士」であることは違います。

また、傷病者に対する療養のための栄養指導は管理栄養士の業務として定義されている領域です。個別の疾患を前提にした食事指導を副業で行う場合は、自分の免許の範囲に収まっているかを確認してください。


副業の形と、それぞれの注意点

形 相性 注意点
食育・給食に関する記事の監修 ◎ 免許の表示を正確に。学校名・献立の内部情報を出さない
レシピの作成・提供(業務委託) ◎ 労働時間の通算がなく組みやすい。著作権の扱いを契約で確認
食育の講演・セミナー ○ 教育に関する内容なので17条で扱える可能性(栄養教諭の場合)
個別の栄養相談 △ 療養のための指導は管理栄養士の業務。免許の範囲を確認
SNSでのレシピ発信(収益化) △ 報酬が発生すれば38条の対象。学校が特定される情報を出さない
給食受託会社での勤務 🔴 本業と利害が近い。競業と見られやすく承認が下りにくい

いちばん相性がよいのは業務委託で受ける監修・レシピ作成です。労働基準法38条1項の労働時間の通算がかからないため、本業の勤務時間と合算されず、作業する時間帯も自分で決められます。

資格を「書く・監修する」側で使う道もあります。みんなの記事監修は、資格を持つ専門家として登録し、記事監修の依頼を受ける形のサービスで、登録時に本人確認と資格証の確認があります。監修料は報酬(雑所得または事業所得)になり、勤務時間として通算されないため、本業の勤務と重ならない形で受けられるのが特徴です。免許の名称は栄養士法6条の名称独占があるので、自分が持っている資格を正確に登録してください。在職中の方は、報酬を受け取る以上、先に承認・許可の手続きを済ませてください。報酬や依頼の条件は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]


守秘義務|給食の情報は「職務上知り得た秘密」

地方公務員法34条1項は「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする」と定めています。栄養教諭・学校栄養職員が扱う情報には、児童生徒のアレルギー情報・持病・体格の記録といった、特に配慮が必要なものが含まれます。

副業でアレルギー対応のレシピや食育の記事を書くとき、実際の児童の事例をそのまま使わないことは当然として、特定につながる書き方(学校名・地域名・学年と症状の組み合わせ)も避けてください。この義務は退職後も続きます。


申請書の書き方|栄養教諭の場合

17条で扱われる場合、判断されるのは「本務の遂行に支障がないか」です。判断材料を自分から出すのが通る近道になります。

欄 書き方の例
従事する事業・事務の内容 食育に関するWeb記事の監修(月2本程度)/一般家庭向けレシピの作成
契約の形態 業務委託(募集要項の記載どおりに)
従事する日・時間 週休日および勤務時間外に限る。月あたり合計◯時間以内
本務との関係 給食の献立・アレルギー対応の情報は使用しない。本校が特定される表示をしない
資格の表示 「栄養教諭」(または保有する免許名)として表示し、保有しない資格名は用いない
報酬 1件あたりの単価と月の見込み額

「資格の表示」の行を自分から書いておくと、栄養士法6条の名称独占を理解したうえで活動する姿勢が伝わります。


学校栄養職員の場合|まず許可基準を読む

学校栄養職員は17条を使えないので、地公法38条2項に基づく人事委員会規則の許可基準がそのまま適用されます。従事時間の上限・報酬額の上限・認められる業種などが定められていることがあるため、申請書を書く前に基準を入手して読むのが実務の第一歩です。

また学校栄養職員は給特法の「教育職員」ではないため、時間外勤務手当が支給されます。副業を考える前に、本業の時間外が適正に申告・支給されているかを確認するのも一つの判断です。


税金|業務委託は自分で申告する

雇用の形なら給与所得、業務委託なら雑所得または事業所得です。監修料・原稿料は所得税法204条1項1号により源泉徴収されるのが通常なので、確定申告で精算すると還付になることもあります。支払調書・振込明細は保管してください。

副業の所得が年20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告は必要です。経費に入るのは、調理に使った食材費のうち業務分、撮影機材、通信費、書籍代など。自宅で行う場合の按分は経費の家事按分を参照してください。


よくある質問

Q1. 栄養教諭と学校栄養職員は何が違いますか?

栄養教諭は教員免許(栄養教諭免許)を持つ「教員」で、教特法2条2項に明記されています。学校栄養職員は栄養士・管理栄養士として配置される職員で、教育公務員には当たりません。辞令で確認してください。

Q2. 管理栄養士の免許も持っています。両方名乗れますか?

保有している免許であれば名乗れます。栄養士法6条は「〜でなければ、その名称を用いて業務を行つてはならない」という名称独占の規定なので、持っている資格を正確に表示する分には問題ありません。

Q3. 「元管理栄養士」「栄養のプロ」といった表現はどうですか?

栄養士法6条は「これに類似する名称」も対象にしています。免許を持たないのに紛らわしい名称で栄養の指導を業として行うことは避けてください。判断に迷う表現は使わないのが安全です。

Q4. 給食のレシピをそのままブログに載せてもいいですか?

献立や調理の情報が職務上知り得たものであれば、地公法34条1項の問題になり得ます。学校の献立をそのまま出すのではなく、一般家庭向けに作り直したものを出すのが安全です。

Q5. 食育の講演を頼まれました。無報酬なら手続は不要ですか?

地公法38条は「報酬を得て」が要件なので無報酬なら対象外ですが、栄養教諭は教特法17条が「給与を受け、又は受けないで」と定めているため、無報酬でも承認の対象になり得ます。所属に確認してください。

Q6. 給食受託会社でのアルバイトは認められますか?

本業と利害が近く、競業と見られやすいため、承認が下りにくい形です。事前に相談してください。

Q7. 個別の栄養相談を副業で受けられますか?

傷病者に対する療養のための栄養指導は、栄養士法1条2項が管理栄養士の業務として定義している領域です。自分の免許の範囲に収まるか、一般的な食生活の情報提供にとどめるかを確認してください。

Q8. 私立学校の栄養教諭でも同じですか?

私立は地方公務員ではないので38条・17条は適用されず、就業規則の副業規定に従います。栄養士法6条の名称独占は公立・私立を問わず適用されます。


まとめ|「どちらの職か」と「どの免許か」を先に確認する

栄養教諭は教育公務員特例法2条2項の「教員」に明記されているので、17条の兼職承認が使え、17条3項により人事委員会の許可基準に縛られない道があります。学校栄養職員は教育公務員に当たらないため、地公法38条1項の許可だけで判断され、38条2項の許可基準がそのまま適用されます。まず辞令で自分の職を確認してください。もう一つの線が栄養士法6条の名称独占で、保有していない資格の名称を用いて業務を行うことはできません。食育の監修・レシピ作成は業務委託で受けると労働時間の通算がかからず組みやすい形です。守秘義務(地公法34条1項)は退職後も続くので、児童生徒のアレルギー情報など職務上知り得た情報は使わないでください。


参考にしている主な一次情報:教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)第2条・第17条/地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条・第38条/栄養士法(昭和22年法律第245号)第1条・第6条/公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和46年法律第77号)第3条/所得税法(昭和40年法律第33号)第204条。条文はe-Gov法令検索で確認しています。

※情報は執筆時点のものです。承認・許可の運用と様式は自治体ごとに異なります。手続の前に所属の教育委員会・人事担当にご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました