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教員の退職後、年金と副業収入はどう関係する?在職老齢年金(厚年法46条)で止まるのは「厚生年金に入って働くとき」だけ 2026

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教員を退職した後、年金を受け取りながら働こうとすると必ず出てくるのが「働くと年金が減るのでは」という不安です。いわゆる在職老齢年金の話ですが、ここには多くの人が知らない分かれ目があります。結論から言うと、年金が止まるのは「厚生年金の被保険者として働く場合」だけで、業務委託や講師登録のように厚生年金に加入しない形で得た収入は、いくら増えても在職老齢年金による支給停止の対象になりません。この記事は、厚生年金保険法46条の条文を根拠に、退職後の教員が「年金を減らさずに収入を増やす」ための働き方の選び方を整理します。退職後に残る法律の線は教員の退職後の副業、独立の手順は元教員がオンライン講師で独立する手順へ。


結論:減るのは「厚生年金に入って働いたとき」だけ

働き方 厚生年金の被保険者か 在職老齢年金で年金が止まるか
再任用・再雇用(フルタイム) なる 対象になる
私立学校や塾に雇われる(要件を満たす勤務) なる 対象になる
短時間のパート(適用要件を満たさない) ならない 対象外
業務委託(教材作成・執筆・監修) ならない 対象外=いくら稼いでも止まらない
講師登録(雇用でも請負でもない形) ならない 対象外
個人事業(開業して塾・教室を運営) ならない 対象外

この表がこの記事の要点です。「働くと年金が減る」は、正確には「厚生年金の被保険者として働くと、報酬と年金の合計額によっては減る」ということです。


線①:条文を読む——46条は「被保険者である日」を要件にしている

厚生年金保険法46条1項は、在職老齢年金による支給停止を定めた条文です。冒頭はこう始まります。

「老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日……が属する月において……」

つまり支給停止の仕組みが働く前提は、その人が厚生年金保険の被保険者であることです(このほか、国会議員・地方公共団体の議会の議員である日、70歳以上の使用される者である日も対象に含まれます)。

業務委託で仕事を受ける個人、開業した個人事業主は、厚生年金の被保険者ではありません。国民年金の第1号被保険者になるだけです。したがって46条の要件を満たさず、収入がどれだけあっても老齢厚生年金は止まりません。ここが、退職後の働き方を選ぶうえでもっとも効く分かれ目です。


線②:止まる場合の計算——2つの金額を足して比べる

厚生年金の被保険者として働く場合は、次の2つを足して判定します。条文の定義そのままに整理します。

用語 条文上の意味
総報酬月額相当額 その者の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額
基本月額 老齢厚生年金の額(加給年金額・44条の3第4項の加算額を除く)を12で除して得た額
支給停止調整額 46条3項が「六十二万円とする」と定め、年度ごとに物価変動率等で改定される

そのうえで46条1項は、両者の合計額が支給停止調整額を超えるときは、超えた額の2分の1に相当する部分の支給を停止すると定めています。式にすると次のとおりです。

支給を止められる月額 =(総報酬月額相当額 + 基本月額 − 支給停止調整額)÷ 2

たとえば基本月額が10万円、総報酬月額相当額が40万円なら、合計は50万円。支給停止調整額を下回るので支給停止は生じません。合計が70万円になって初めて、超過分の半分が止まる計算になります。なお46条1項ただし書は、止める額が老齢厚生年金の額以上になるときは全部を停止すると定めています。

支給停止調整額は年度ごとに改定されるため、判断するときはその年度の額を日本年金機構の案内で確認してください。この記事では条文上の「六十二万円」を基準として説明しています。


線③:止まらないもの——老齢基礎年金と加給年金の扱い

誤解が多いところなので分けて書きます。

  • 老齢基礎年金(国民年金部分)は在職老齢年金の対象外です。46条は老齢厚生年金についての規定なので、基礎年金は働いても止まりません。
  • 基本月額の計算から加給年金額は除かれます(46条1項の括弧書き)。ただし老齢厚生年金が全部支給停止になると、加給年金も支給されない扱いになります。
  • 退職して被保険者でなくなれば、支給停止は解除されます。翌月分から通常の額に戻る扱いが基本です。

教員の共済年金はどうなったか

「自分は共済年金だから厚生年金の話は関係ないのでは」と思う方がいますが、2015年10月の被用者年金制度の一元化により、地方公務員共済の年金は厚生年金に統一されています。したがって、退職した教員が受け取る老齢厚生年金についても、在職老齢年金の仕組みは同じように適用されます。一元化前の期間に応じた経過的な加算などはありますが、46条の判定の考え方は共通です。


退職後の働き方を「年金を減らさない」で選ぶ

ここまでを踏まえると、退職後の設計は次のように整理できます。

①年金を満額受け取りたいなら、厚生年金に加入しない形を選ぶ。業務委託・講師登録・個人事業がこれに当たります。教材作成、執筆、監修、オンライン指導、自分で開く教室。いずれも収入が増えても年金は止まりません。

②雇われるなら、適用要件を満たさない範囲にする。短時間のパートで厚生年金の適用要件(勤務時間・賃金・事業所の規模などの条件)を満たさなければ被保険者にならないため、対象外になります。ただし要件は法改正で変わるので、勤務先に確認してください。

③あえて厚生年金に入る選択もある。被保険者として働けば、その期間の保険料を払うぶん将来の年金額が増えます(在職定時改定・退職改定)。健康保険も勤務先の制度に入れます。目先の支給停止を避けるか、将来の年金額と保障を取るかという選択なので、一律にどちらがよいとは言えません。

収入の見込みが支給停止調整額に届かない水準なら、そもそも支給停止は生じないので、この選択に悩む必要はありません。まず自分の基本月額を確認し、合計が支給停止調整額を超えそうかを試算するのが最初の一歩です。

オンラインで教える仕事は、雇用契約ではなく「講師登録」という形をとるところもあります。たとえばよみかきそろばんくらぶのオンライン先生募集は、自宅からZoomで個別に指導する形で、雇用契約でも業務請負契約でもない講師登録という契約形態です(源泉徴収は行われないため、所得額によっては自分で確定申告をすることになります)。厚生年金の被保険者にならない形なので、この記事のとおり在職老齢年金による支給停止の対象からは外れます。月曜〜土曜の7〜21時の中から可能な時間を選ぶ形で、応募には大卒であること・長期(最低3年以上)続けられることといった条件があり、Zoomに必要な機材や回線は自分で用意します。条件や募集状況は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。[PR]


年金以外に見ておく3つ|住民税・国保・扶養

年金の支給停止ばかり気にして、こちらを見落とす人が多いところです。

①退職の翌年の住民税。住民税は前年の所得に対してかかります。現役最後の年の所得に対する住民税が、収入が下がった翌年に来るため、退職1年目の負担が重くなります。

②国民健康保険料。こちらも前年所得で決まります。共済の任意継続と国保のどちらが安いかは所得と扶養家族の数で変わるので、退職前に両方の額を比較してください。

③配偶者の扶養。配偶者を扶養に入れている場合、自分が被扶養者の要件から外れる/入れる、といった変化が生じます。健康保険の被扶養者の認定基準には年金収入も含まれます。


税金|年金も副業収入も申告の対象

公的年金等は雑所得として課税されます。年金の収入金額が一定額以下で、他の所得も少額であれば確定申告不要制度の対象になりますが、副業の所得がある場合は、その分を含めて申告が必要になることが多いです。業務委託・講師登録の報酬は雑所得または事業所得になり、源泉徴収されないこともあるため、自分で集計する前提で考えてください。

経費として計上できるのは、業務に使ったパソコン・通信費・教材費・交通費のうち業務分です。自宅の家賃・光熱費の按分は経費の家事按分を参照してください。事業として続けるなら、開業届と青色申告承認申請を出すことで控除の選択肢が広がります。


よくある質問

Q1. 業務委託なら本当に年金は減りませんか?

厚生年金保険法46条1項は「被保険者である日」を要件にしています。業務委託で仕事を受ける個人は厚生年金の被保険者ではないため、在職老齢年金による支給停止の対象になりません。ただし所得税・住民税・国民健康保険料には反映されます。

Q2. 支給停止調整額は今いくらですか?

条文は「六十二万円とする」と定めたうえで、年度ごとに物価変動率等に応じて改定されると規定しています。判断の際は、その年度の額を日本年金機構の案内でご確認ください。

Q3. 老齢基礎年金も止まりますか?

止まりません。46条は老齢厚生年金についての規定です。

Q4. 再任用で働くと年金は止まりますか?

厚生年金の被保険者になる勤務であれば対象になります。ただし、総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整額を超えなければ停止は生じません。まず合計額を試算してください。

Q5. 止まった年金は後で戻ってきますか?

支給停止された分が後から支給されるわけではありません。ただし被保険者でなくなれば以後の支給停止は解除されます。また被保険者として納めた保険料は、将来の年金額に反映されます。

Q6. 年金を繰下げると在職老齢年金はどうなりますか?

繰下げ待機中は年金を受け取っていないため支給停止の問題は生じませんが、在職により支給停止される額に相当する部分は繰下げによる増額の対象にならない扱いがあります。繰下げを検討する場合は年金事務所で試算してもらってください。

Q7. 教員時代の共済期間はどう扱われますか?

2015年10月の被用者年金一元化により厚生年金に統一されています。一元化前の期間についても、老齢厚生年金として在職老齢年金の判定に含まれます。詳細はねんきん定期便や年金事務所でご確認ください。

Q8. 妻(夫)の扶養に入りながら業務委託で働けますか?

健康保険の被扶養者の認定基準は保険者ごとに定められており、年金収入と事業収入の合算で判断されます。認定基準は保険者に確認してください。


まとめ|分かれ目は「厚生年金に入るかどうか」

在職老齢年金で老齢厚生年金が止まるのは、厚生年金保険法46条1項が定めるとおり、その人が厚生年金の被保険者である場合です。業務委託・講師登録・個人事業のように厚生年金に加入しない形で得た収入は、金額にかかわらず支給停止の対象になりません。止まる場合の計算は「総報酬月額相当額+基本月額−支給停止調整額」の2分の1で、支給停止調整額は条文上62万円と定められ年度ごとに改定されます。老齢基礎年金は対象外です。年金を満額受け取りながら収入を増やしたいなら、雇われない形を選ぶ——これが条文から導かれる答えです。そのうえで、将来の年金額と健康保険の保障を取るためにあえて被保険者になる選択もあり、どちらが有利かは金額次第です。


参考にしている主な一次情報:厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第46条(在職老齢年金)・第44条/被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)。条文はe-Gov法令検索で確認しています。

※情報は執筆時点のものです。支給停止調整額は年度ごとに改定され、厚生年金の適用要件も法改正で変わります。個別の試算は年金事務所・日本年金機構の案内でご確認ください。この記事は特定の年金受給の判断を勧めるものではありません。

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